2023年4月から何が変わる?労働・社会保険関連の変更点まとめ

3月も下旬にさしかかり、新年度の準備に向けて何かと慌ただしく過ごされている方も多いのではないでしょうか?4月は「変化の月」ということで、労働・社会保険関連では法律や制度の改正が例年多くみられる月です。主な改正については既に把握されているかと思いますが、今一度、子育てや雇用等の分野における変更点を確認しておきましょう。

2023年度から「異次元の少子化対策」が動き出します

2023年4月より、子育て関連の施策が変わります。かねてより公表されてきた「出産育児一時金の支給額引き上げ」の他、「子ども家庭庁」設立により、岸田総理大臣が実施を表明する「異次元の少子化対策」の実現に向けた検討と取り組みが進められていく見込みです。

出産育児一時金の支給額が引上げ

2023年4月1日より出産育児一時金の支給額が、子ども一人あたり、現行の「42万円(産科医療補償制度の対象外となる出産の場合は40.8万円)」から「50万円(産科医療補償制度の対象外となる出産の場合は48.8万円」」に引き上げられます
出産育児一時金とは、公的医療保険の被保険者または被扶養者が、妊娠85日(妊娠4か月)以上で出産した場合、出産に要する経済的負担を軽減するために一定額が支給される制度です。

2023年4月1日に「子ども家庭庁」設立

2022年の出生数が過去最少となり、ますます深刻化する少子化を背景に、子育て支援策の拡充が図られます。今後のこども・子育て政策について、2023年3月末までに示されるパッケージ案を元に、2023年4月に発足する「子ども家庭庁」を司令塔として、必要な政策の実施が進められていきます。2023年3月17日に行われた記者会見では、対策の基本理念として第一に「若い世代の所得を増やす」こと、そして「社会全体の構造や意識を変える」こと、さらに「全ての子育て世帯をライフステージに応じて切れ目なく支援する」の3点が示されました。このうち、「社会全体の構造や意識を変える」こととして、育休を取りやすい職場づくりや育児休業制度の充実が目指され、企業実務にも大きな影響を与えることとなりそうです。

社会保険料率が改定

例年のことになりますが、2023年3月分(4月納付分)以降、健康保険料率、介護保険料率が変更となります。給与計算に直接的に関わる変更なので、具体的な数字の他、いつの給与から変更するのかについても確実におさえておきましょう。

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さらに、現物給与(食事)の価額改正にも留意しましょう

関連記事:『2023年4月より現物給与(食事)の価額改正!「まかない」は現物給与の可能性があります

2023年度2大改正「月60時間超残業の割増賃金率引上げ」と「給与デジタル払い解禁」

雇用関連では、「月60時間を超える時間外労働の割増賃金率の引上げ(中小企業)」と「給与ぼデジタル払い制度の開始」が主な改正点となります。すでに報道等で大きく取り上げられている他、打刻ファーストでも解説させていただいた項目のため、対応済みの現場がほとんどかと思いますが、「まだこれから」という場合はお早めに社会保険労務士までご相談ください。

関連記事:『2023年4月の2大改正!「中小企業における割増賃金率引き上げ」と「給与のデジタル払い」をチェック

企業規模を問わず、月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率が「50%」へ

大企業では既に2010年4月1日より適用となっている月60時間超の時間外労働に係る割増賃金率引き上げですが、2023年4月1日以降は中小企業に講じられてきた適用猶予措置が終了します。これにより、企業規模を問わず、月60時間超の法定時間外労働に対する割増賃金率として「50%」以上の率を設定しなければならなくなります。
現場において特に問題となりそうな「月60時間超」の考え方については、以下の記事にてまとめていますのでご一読ください。

関連記事:『2023年4月1日から適用となる中小企業の割増賃金率引き上げ!「月60時間超」のカウント方法

導入企業では、いわゆる「〇〇ペイ」での給与の一部または全額の受け取りが可能に

現状、給与の支払方法としては、原則「現金払い」、または労使同意の元「銀行口座等への振込」が認められています。この点、2023年4月以降は「デジタルマネーでの支払い」が選択肢に加わり、労働者の同意を得た場合に、いわゆる「〇〇ペイ」等のアプリ口座を給与振込先として指定できるようになります。「給与のデジタル払い」はすべての企業において対応しなければならないわけではありませんが、支払手数料削減が可能となる他、より幅広いニーズに応える制度として注目されています。

関連記事:
2023年4月解禁予定の「給与のデジタル払い」必要な企業対応は?
【給与のデジタル払い】企業における導入手順と就業規則、労使協定、同意書

2023年4月から変わることを踏まえた対応を

新年度目前。慌ただしい季節ではありますが、4月から変わることに留意し、現場において対応すべきことに目を向けましょう。以下URLには、今号で解説したテーマを始めとして、私たちの生活に関わりのある労働・社会保険関連のトピックスがまとめられていますので、ぜひご確認ください。

参考:厚生労働省「厚生労働省関係の主な制度変更(令和5年4月)について

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