速報!2025年度新設の育児休業関連新制度「出生後休業支援給付」「育児時短就業給付」を解説

打刻ファーストでは、すでに直近で成立した改正雇用保険法及び改正育児・介護休業法の概要を解説していますが、これに加えて2024年6月5日成立の「子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案」にも、雇用保険法の重要な改正案が盛り込まれていますのでご紹介します。今号で解説するのは、2025年度新設の「出生後休業支援給付」「育児時短就業給付」の2制度についてです。

育休取得中も一定期間、休業前の手取り額を保証する「出生後休業支援給付」

「出生後休業支援給付」とは、子の出生直後の一定期間以内に、被保険者とその配偶者がそれぞれ14日以上の育児休業を取得した場合、被保険者の休業期間について28日間を限度に、通常の育児休業給付に「休業開始時賃金の13%相当額」を上乗せして受けられる支援制度です。

なお、配偶者が専業主婦(夫)の場合や、ひとり親家庭の場合等には、配偶者の育児休業の取得を求めずに支給されます。

「子の出生直後の一定期間」とは?

前述の通り、出生後休業支援給付を受けられる育休取得期間は、「子の出生直後の一定期間」とされています。具体的には、男性は子の出生後8週間以内、女性は産後休業後8週間以内を指します。男性の場合、子の出生から8週間以内に最大4週間まで取得できる育休制度として2022年10月より施行された「出生時育児休業(産後パパ育休)」と併せての活用が想定されます。

関連記事:『改正育児・介護休業法が成立!注目の「男性版産休制度」は2022年10月の施行予定

「休業開始前賃金の13%相当額」とは、どういう意味?

本給付の支給金額となる「休業開始時賃金の13%相当額」の根拠ですが、これは「子の出生直後の一定期間」における通常の育児休業給付の支給額が「休業開始時賃金の67%」であることから、合算して80%となるように制度設計されたためです。社会保険料や税等の控除を考慮すると、給与所得者が手にする手取り額は、一般的に総支給額の80%ですから、つまりは「一定期間、休業前の手取り額を保証しましょう」という意図があるのです。

「育児時短就業給付」により、育児中の労働者が前向きに時短勤務を選択できるように

「育児時短就業給付」とは、2歳未満の子を養育する雇用保険被保険者が時短勤務をしている場合、時短勤務中に支払われた賃金額の10%を支給する制度です。時短勤務を選択することによる賃金低下を補うことで時短勤務の利用を促進する一方、給付対象となる子の年齢を「2歳未満」に限定することで時短勤務の長期化・固定化を防ぐという観点に配慮されています。

「育児に伴う時短勤務」というと、女性労働者をイメージされる方も多いかもしれませんが、もちろん男性労働者であっても要件を満たす限り対象となります。

育児時短就業給付の支給要件

育児時短就業給付は、以下の2要件を満たすことで受けることができます。

① 2歳未満の子どもを育てる時短勤務者であること
② 時短勤務の開始日より前の2年間に、雇用保険被保険期間が12ヶ月以上あること

なお、対象労働者の労働日数や労働時間に要件は設けられていません。

育児時短就業給付の給付額

前述の通り、時短勤務中の各月に支払われた賃金額の10%が、賃金の上乗せされる形で支給されます。ただし、時短勤務後の賃金と給付額の合計が時短勤務前の賃金を超える場合、給付率の引き下げが行われますので注意する必要があります。

2025年度以降の法改正対応を万全に

2025年度以降、両立支援関連の法改正がいくつか予定されており、企業においては諸制度の内容を十分に理解し、対応していくことになります。今号でご紹介した「出生後休業支援給付」「育児時短就業給付」については、今後、実務対応を踏まえた詳細が公表される予定です。打刻ファーストでも順次ご紹介してまいりますので、引き続き最新情報をチェックしてまいりましょう。

関連記事:
速報!2025年以降施行予定の改正育児・介護休業法
改正雇用保険法が可決・成立!企業実務への影響は?

参考:こども家庭庁「子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案の概要

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