子どもが生まれた時に必要な「健康保険証交付申請手続き」を解説

従業員もしくはその配偶者が出産すると、会社側に健康保険証交付申請手続きの依頼がくることがあります。ここでは、協会けんぽ加入のケースを例に、会社はいつまでに、どのような手続きを行わなければならないのかを理解しておきましょう。

赤ちゃんの健康保険証発行手続きは「健康保険被扶養者(異動)届」で

健康保険証の交付を受けるためには、生まれた赤ちゃんを被扶養者とする手続きが必要です。赤ちゃんの出生日から5日以内に、協会けんぽ宛に「健康保険被扶養者(異動)届」を提出します。以下より、様式や記入例の確認ができます。

 参考:日本年金機構「家族を被扶養者にするとき、被扶養者となっている家族に異動があったとき、被扶養者の届出事項に変更があったとき

期限内の手続きが難しい場合は?

赤ちゃんの被扶養者(異動)届は出生届の手続きを済ませた後に行いますが、この出生届は「出生日から14日以内」に住所地となる市区町村に届け出ることになっています。そのため、被扶養者(異動)届が原則的な期限である「5日以内」を過ぎて提出されたとしても、例外的に出生日を被扶養者認定日とする取り扱いがされています

健康保険被扶養者(異動)届は出生後なるべく早期に提出することは大前提ですが、お子さんが生まれた直後は何かと慌ただしく、従業員側からの必要な情報提供が遅れることは珍しくありません。手続きを行う企業のご担当者様であれば、若干期限から遅れてしまったとしても落ち着いて対応できるようにしましょう。

赤ちゃんのマイナンバーはどうする?

2018年3月5日以降、社会保険関係の諸手続きではマイナンバー(個人番号)の記載が求められるようになりました。生まれた赤ちゃんを被扶養者とするための健康保険被扶養者(異動)届でもマイナンバーの記載が求められますが、マイナンバーの通知には出生届提出後2~3週間かかり、通知の到着を待っているとかなりの時間を要します。

赤ちゃんのマイナンバーは、出生届の手続き後、住民票を取得すると、その住民票に記載されています。よって、有料にはなりますが、従業員には出生届を提出した後に住民票を取得してもらい、赤ちゃんのマイナンバーを提出してもらえるよう、あらかじめ依頼しておくとスムーズです。ただし、何らかの事情で住民票の取得が難しく、届書提出時点でマイナンバーが不明である場合には、備考欄に「出生のため、マイナンバーが不明」であることを記載することで対応します

参考:厚生労働省「年金分野におけるマイナンバーの取扱等に関するQ&A

 共働きの場合、赤ちゃんはどちらの扶養に入るの?

従業員の中には、共働きの夫婦の間に生まれた赤ちゃんは、どちらの扶養に入れるべきなのかを迷われる方もいらっしゃるかもしれません。この点、厚生労働省が2021年4月末日付で「夫婦共同扶養の場合における被扶養者の認定について」の通達を発出していますので、確認しておきましょう。

原則となるのは、「被保険者の年間収入(過去の収入、現時点の収入、将来の収入等から今後1年間の収入を見込んだものとする)が多い方の被扶養者とする」といった取り扱いです。ただし、夫婦双方の年間収入の差額が年間収入の多い方の1割以内である場合は届出によって決定することができますので、赤ちゃんをどちらの被扶養者としても構わないとされています。ただし健康保険組合では、本通達に依らない明確な基準を設けていることもありますので、必ず確認するようにしましょう。

夫婦がそれぞれ国民健康保険、被用者保険に加入している場合、原則として「被用者保険の被保険者については年間収入を、国民健康保険の被保険者については直近の年間所得で見込んだ年間収入を比較し、いずれか多い方を主として生計を維持する者とする」とされています。ただし、国民健康保険では赤ちゃんを加入させることで保険料が増加しますので(「扶養」の考えがないため)、収入差がないような場合には被用者保険で被扶養者の手続きをする方が負担は少なく済みます。

 参考:厚生労働省「夫婦共同扶養の場合における被扶養者の認定について

 

赤ちゃんの健康保険証交付手続きは、そう頻繁にあるものではないため、実務上でも取り扱いに迷われることが多々あるようです。いざという時にスムーズに対応するために、基本的な理解を深めておかれると安心ですね!

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