2023年度版社会保険料率!ひと足お先にまとめてチェック

2月も中旬にさしかかり、企業ではそろそろ新年度に向けた準備に取り組まれる頃ではないでしょうか?
労務管理上、2023年度に対応すべき改正項目として「中小企業における月60時間超の時間外労働の割増賃金率引き上げ」「デジタルマネーによる賃金支払解禁」等が挙げられますが、もうひとつ、「各種社会保険料率の改定」についても忘れずに確認しておきましょう。

2023年度の労災保険料率は前年据え置きの見込み、一方で雇用保険料率は引き上げへ

□ 労災保険料率
各業種の過去3年間の災害発生状況等を考慮して、原則3年ごとに改定されます。直近では2021年度が改定年度に該当し、すでに2023年度までに適用される労災保険料率が決定しています
業種ごとに異なる労災保険料率について、2023年度版の公表はまだありませんが(2023年2月7日時点)、2021年度及び2022年度に適用された保険料率については下記よりご確認いただけます。

参考:厚生労働省「令和4年度の労災保険率について~令和3年度から変更ありません~

□ 雇用保険料率
毎年度、雇用保険財政の状況を踏まえて決定される雇用保険料について、2023年度は引き上げが予定されています。引き上げの背景には、新型コロナウイルス感染拡大とその長期化があり、これに起因する「雇用調整助成金の申請増加」「失業手当の受給者の増加」により雇用保険財政がひっ迫したものと考えられます。
雇用保険料率の引き上げは使用者側だけでなく、労働者側にも影響を与えますので、事前にアナウンスできる様にしましょう。

参考:厚生労働省「令和5年度の雇用保険料率

厚生年金保険料は2017年9月分以降「18.3%」に固定

厚生年金保険料率は、これまで毎年9月分より改定されていました。年金制度改正に基づき、2004年から段階的に引き上げられ、2017年9月を最後に引き上げが終了し、以降「18.3%」で固定されています。2023年度も引き続き、「18.3%」が適用されることになります

2023年3月分(4月納付分)以降の健康保険料率、介護保険料率は改定予定

協会けんぽの健康保険料率は、例年3月分(任意継続被保険者にあっては同年4月分)より見直しが行われています。2023年3月以降の料率に関しても、協会けんぽの各支部の評議会、全国健康保険協会運営委員会で審議が行われ、その結果、静岡県を除く各都道府県で引き上げ、引き下げ改定となる見込みです。正式発表はまだですが、各都道府県の改定案がひと足お先に参考URLよりご確認いただけます。
なお、介護保険料率は全国一律で「1.82%」に引き上げられる予定です。

参考:
協会けんぽ「令和5年度 都道府県単位保険料率の決定について(案)
令和5年度介護保険の保険料率について

いつの給与計算から改定保険料率を適用するの?

各種社会保険料率の改定を踏まえ、改定後の保険料率がいつから適用されるのかを正しく理解しておく必要があります。各保険料率の解説でも触れていますが、改めて適用時期をまとめておきましょう。

労災保険料率・雇用保険料率

労災保険料率・雇用保険料率が改定された場合、「施行日以降、最初に到来する締日により支払われる給与」から適用します。今回、改定雇用保険料率の施行日は2023年4月1日なので、4月1日以降最初に迎える締日の給与計算で、さっそく新しい保険料率を適用します。

少し分かりづらいですが、具体的に考えてみましょう。

・当月締・当月払の場合
4月10日締、4月25日払の場合・・・4月25日支給の給与から

・当月締・翌月払の場合
4月末日締、5月10日払の場合 ・・・5月10日支給の給与から

「締日」基準に留意し、適切に処理できる様に準備を進めましょう。

社会保険料率

社会保険料の徴収・納付は、「翌月徴収・翌月納付」が原則。3月分の保険料の納付期限は4月末日(翌月納付)ですから、4月に支給される給与から徴収することになります(翌月徴収)。なお、会社によっては「当月徴収」とするケースもあるようですが、健康保険法上適切な取扱いとは言えませんので、「翌月徴収」に移行されることをお勧めします。

LINEで送る

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事