【速報】2028年より予定される雇用保険適用拡大!「週所定労働時間10時間以上」で雇用保険加入へ

社会保険適用拡大が着々と進む一方で、雇用保険適用拡大に関わる検討も始まっています。労働政策審議会雇用保険部会報告の素案では、雇用保険の加入要件である週所定労働時間数について、現行の「20時間以上」から「10時間以上」に緩和すべき旨の方針がまとめられました。雇用保険適用拡大に係る背景と今後の動向を展望しましょう。

雇用保険被保険者要件となる労働時間数が「週10時間以上」へ緩和

2023年12月13日開催の労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会で公開された「雇用保険部会報告(素案)」によると、週所定労働時間20時間以上の雇用労働者を適用対象としている現行の雇用保険制度について、「週所定労働時間10時間以上20時間未満」の労働者にも適用することとし、事業主の準備期間等を勘案して2028年度中の施行が予定されている旨が明記されています。雇用保険適用拡大の背景には、雇用労働者の中で働き方や生計維持の在り方の多様化が進展していること、さらに雇用のセーフティネットを拡げる観点があるとのことです。

適用拡大による被保険者は、基本手当の他、育児休業給付や教育訓練給付等の対象に

適用拡大により新たに被保険者となる者は、適用要件を満たした場合、現行の被保険者と同様に失業等給付(基本手当等、教育訓練給付等)、育児休業給付、雇用保険二事業の対象とすることとし、給付水準も同じ考え方に基づき設定される見込みです。また、現行の被保険者と同様の給付等の仕組みとすることを踏まえ、保険料率、国庫負担割合についても現行の被保険者と同等の水準として設定すべきとされています。

適用拡大に伴い、基本手当の支給等に関する基準も見直される見込み

雇用保険適用範囲の拡大後の基本手当の支給等に関する基準等について、原則的には現行の取扱いが維持されることになりますが、週所定労働時間に関わる適用基準が従来の「20 時間以上」からその半分の「10時間以上」に緩和されることを踏まえ、以下の観点から必要な見直しが行われる予定です。

① 被保険者期間の算定基準
・ 現行のとおり、離職日から2年間に被保険者期間が12ヶ月以上
※特定受給資格者又は特定理由離職者の場合は、1年間に6ヶ月以上
・ その上で、「1ヶ月として被保険者期間に算入されるための基準」については、以下の通り見直し
[現行]
離職日から1ヶ月ごとに区切っていった期間に賃金の支払の基礎となった日数が11日以上又は賃金の支払の基礎となった労働時間数が80 時間以上ある場合

[適用拡大後]
離職日から1ヶ月ごとに区切っていった期間に賃金の支払の基礎となった日数が6日以上又は賃金の支払の基礎となった労働時間数が40 時間以上ある場合

② 失業認定基準及び自己の労働により収入がある場合の取扱い
[現行]
・ 失業状態にあることの確認(失業認定)時、労働時間が4時間以上の日については認定を行わない
・ 労働時間が4時間を下回る日については、労働によって得た収入額に応じて基本手当を減額調整

[適用拡大後]
・ 1日当たりの労働時間が2時間(週10 時間相当)の日について失業認定を行わない
・ 2時間未満の労働により収入を得た場合でも、一般的には少額であることを踏まえ、簡素化等の観点から基本手当の減額調整は行わない

③ 賃金日額の法定の下限額
[現行]
賃金日額の下限額は、週所定労働時間20時間以上という現行の適用基準が労働基準法の法定労働時間(40 時間)の2分の1であることを踏まえ、下方の屈折点(給付率が80%から逓減し始める点)の額の2分の1とされている

[適用拡大後]
下方の屈折点の額の4分の1に見直し(週所定労働時間10時間が法定労働時間週40時間の4分の1であるため)

参考:厚生労働省「第189回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会_雇用保険部会報告(素案)

雇用保険適用拡大に伴い、新たに500万人が加入見込み。現場においては対応検討を

週所定労働時間10時間以上まで適用拡大した場合、新たに加入することとなる被保険者見込数は最大500万人となります。各現場においても、相当数の対象者が生じることが予測されるため、今後、雇用保険に係る事務処理や保険料負担を踏まえた上で、対応を検討する必要があります。
雇用保険適用拡大に関わる詳細については最新情報が入り次第、改めて打刻ファーストでお伝えします。

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