速報!2025年以降施行予定の改正育児・介護休業法

数ある労働関連法令の中でも、近年たびたび改正が重ねられる育児・介護休業法。改正項目含め、最新の内容を正しく把握できているでしょうか?直近では2025年4月1日施行の「常時雇用労働者数1,000人超の事業主に対する育児休業取得状況に関する公表義務付け」が記憶に新しいところですが、2024年度中にも再改正が予定されており、2025年度以降施行となる見込みです。今号では、ひと足お先に改正予定を確認しておきましょう。

2025年度以降施行予定の改正育児・介護休業法ポイントチェック

育児・介護休業法の改正については、すでに厚生労働大臣から労働政策審議会に対する諮問が行われ、これに対し概ね妥当との答申がなされています。主な内容を、テーマごとに確認しましょう。

子の年齢に応じた両立支援に対するニーズへの対応

◎ 子が3歳になるまでの両立支援の拡充
・テレワークを活用促進するため、事業主の努力義務とする。
・短時間勤務制度について、1日6時間を必置とした上で、他の勤務時間も併せて設定することを促進するとともに、短時間勤務制度を講ずることが困難な場合の代替措置にテレワークを追加する。
◎ 子が3歳以降小学校就学前までの両立支援の拡充
・各職場の事情に応じて、事業主が柔軟な働き方を実現するための措置の選択肢(始業時刻等の変更、テレワーク等、短時間勤務制度、保育施設の設置運営等、新たな休暇の付与)から労働者が選択可能なものを2以上選択して措置を講じる義務を設け、労働者はその中から1つ選べることとする。
・労働者は権利として子が小学校就学前まで所定外労働の制限(残業免除)を請求できることとする。
◎ 子の看護休暇制度の見直し
・感染症に伴う学級閉鎖等や子の行事参加(子の入園式、卒園式及び入学式を対象)にも利用できるようにし、請求できる期間は、小学校3年生修了時までとする。

仕事と育児の両立支援のための労働者への面談等、個別の意向の聴取と配慮の新設

◎ 育児期の両立支援のための定期的な面談
・子が3歳になるまでの適切な時期に労働者に対して制度の説明と取得意向を確認するための面談等(現行の妊娠・出産等の申出時と同様に、書面の交付等も可能とする。)を行うことを事業主に義務付ける。
・制度の利用中に労働者の家庭や仕事の状況が変化することもあるため、労働者が選択した制度が労働者にとって適切であるかを確認する等の目的で、最初の利用時以降にも定期的な面談等を実施する。
◎ 個別のニーズに配慮した両立支援
・子に障害がある場合等の要介護状態の判断基準について今後さらに検討する。
・事業主に、妊娠・出産の申出時や子が3歳になるまでの適切な時期の面談等の際に、労働者の仕事と育児の両立に係る個別の意向の聴取とその意向への配慮を義務付ける。
◎ 心身の健康への配慮
・仕事と育児の両立のためにフレックスタイム制やテレワークなどを活用する際に、育児負担と相まって、夜間の勤務や長時間労働等を理由に心身の健康の不調が生じることのないよう、育児期の労働者について、事業主が配慮を行うと共に、労働者にセルフケアを促す。

次世代育成支援に向けた職場環境の整備

◎ 次世代育成支援対策推進法を令和17年3月末まで延長
◎ 企業の取組促進のため、一般事業主行動計画について、男性の育児休業取得率や時間外労働に関するPDCAサイクルの確立や数値目標の設定を義務付け
◎ 「男女とも仕事と子育てを両立できる職場」を目指す観点から、一般事業主行動計画策定指針を見直し
◎ 「くるみん」などの認定基準を見直し

仕事と介護の両立支援制度の周知の強化等

◎ 事業主に以下の措置を講ずることを義務付け
・介護に直面した労働者が申出をした場合に、両立支援制度等に関する情報の個別周知・意向確認
・介護に直面するよりも早期(40歳等)の情報提供
・研修や相談窓口の設置等の雇用環境の整備
◎ 介護期の働き方について、テレワークを事業主の努力義務に

 

出典:厚生労働省「第67回労働政策審議会雇用環境・均等分科会_(参考資料1-3) 仕事と育児・介護の両立支援対策の充実について(建議) 概要

育児・介護休業法に関わるより一層の理解を

今号では、2025年以降施行予定の改正育児・介護休業法に関わる概要をご紹介しました。各改正項目の具体的な施行時期については、確定し次第改めて「打刻ファースト」内でご紹介します。
冒頭でも触れた通り、育児・介護休業法については近年頻繁に改正法が施行されていることから、現場における理解不足、対応漏れ等が問題となりがちです。折を見て、社内規程が最新の内容になっているか、法に則した実務対応ができているかを確認されることをお勧めします。

とりわけ、介護関連の諸制度については法改正までに十分に理解を深めておく必要があります。通常、介護休暇や介護休業は、利用者の少なさから「とりあえず社内規程に記載があるが、実はよく分からない制度」の典型となりがちです。しかしながら、2025年度改正では、40歳到達による介護保険加入時等に「従業員に対する介護休業等の両立支援制度に関する情報提供」が義務付けられる予定です。事業主側が「知らなかった」では済まされませんから、正しく対応できるように準備を進めましょう。

LINEで送る

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事