【学校の働き方改革】2019年夏、教員の「夏休み取得ルール」の見直しが急務!

児童・生徒が長期休暇を迎える夏休み期間は、普段多忙を極める教員にとって、働き方の改善に着手しやすい時期と言えるでしょう。
文部科学省は各都道府県教育委員会に向け、教員の夏休み取得に関わる通知を出し、「夏休み」を主軸とした教員の働き方改革推進を促しています。

さっそく概要を確認しましょう。

文科省が出した、教員の夏休み取得に関わる通知の趣旨

このたび、文科省が2019年6月28日付で各都道府県教育委員会に通知した内容は、「学校における働き方改革の推進に向けた夏季等の長期休業期間における学校の業務の適正化」について。
学校が長期休暇を迎える夏、教員も十分な休みを確保できる様、現場における体制整備に努めるべき旨が記載されています。

現状、児童・生徒が学校に登校して授業をはじめとする教育活動を行う期間と、児童・生徒が登校しない長期休業期間とでは確実に繁閑の差が生じています。
こうした実態から、学校では年間を通じた業務の在り方に着目し、効果的に労働時間の削減を進めようという目的の元、教員の夏休み確保に向けた取り組みが求められることになります。

教員による夏休みの「まとめ取り」は17年ぶりに復活

このたび働き方改革の一環として取り組むことになる、学校の夏休み期間中に教員がまとまった休みを確保するという施策は、実はかつて行われていたものでした。ところが、2002年に学校週5日制の完全実施が実現したタイミングで、「教員の休み過ぎ」が指摘されることを回避するために、夏休みのまとめ取り方式が廃止されています。夏休みの間、休暇取得の代わりに求められたのは研修や教材・授業研究、中学校であれば部活動指導であり、結果的には教員の働き過ぎを加速させることになったのでした。

今回、2019年6月28日に「夏季等の長期休業期間における学校の業務の適正化」を求める通知が出されたことを受け、教員の夏期休暇取得に関わる見直しを求めた2002年7月14日付の通知「夏季休業期間等における公立学校の教育職員の勤務管理について」は廃止されます。

学校の先生たちにとっては、実に17年ぶりに夏休みのまとめ取りが復活するのです。

教員の夏休みを確保するための工夫とは?

教員が適正に夏休みを取得するためには、働き方の改善が急務となります。

このたび出された通知には、学校業務の適正化に向けた取り組みとして下記の項目が明記されています。

学校閉庁日の設定等について

教師が確実に休日を確保できるよう、下記の工夫を行う

・地方公共団体の条例に基づく週休日の振替の期間を長期休業期間にかかるようにする
・長期休暇期間における一定期間の学校閉庁日を設定する

夏季等の長期休業期間における業務について

◎ 研修
・単に教員等が受講する研修の絶対量のみが増加し,教員等の多忙化に拍車をかけるようなことにならないよう,教員等の資質の向上に資する効果的・効率的な研修が体系的に整備されるよう配慮する(研修内容の簡素化、オンライン研修の実施など)

・初任者研修や中堅教諭等資質向上研修については、夏季等の長期休業期間における実施時間及び日数を弾力的に設定すること
・いずれの研修においても目的を明確にし、効率的で質の高いものとなるよう、内容や実施方法に工夫を行うこと

◎ 部活動について
・部活動指導員や外部人材の積極的な参画を図ること
・週当たり2日以上の休養日を設けること
・ある程度長期の休養期間(オフシーズン)を設けること
・1日の活動時間は長くとも3時間程度とし、できるだけ短時間に、合理的でかつ効率的・効果的な活動を行うこと
・夏季休暇中の大会については、生徒や顧問等の過度な負担にならないよう、加えて、夏季休業期間をはじめとする長期休業中に、生徒が部活動以外にも多様な活動を行うことができるよう、文部科学省から各主催団体に向けて検討・見直しを促している

◎ 児童・生徒の学習活動について
・夏季等の長期休業期間中に授業日を設定する固有の意味や必要性の有無を検討する
・長期休業期間中等に学校の外部において教師の立ち合いや引率を伴わずに実施する総合的な学習の時間の学習活動について、教職員が緊急連絡に備えるためのみを理由として学校で待機することのないようにする

出典:文部科学省「学校における働き方改革の推進に向けた夏季等の長期休業期間における学校の業務の適正化等について(通知)(令和元年6月28日)

この他、たびたび議論されている「一年単位の変形労働時間制」導入については、休日のまとめ取りの実現に向けて地方公共団体の判断で柔軟に導入できる様、文部科学省が主体となって制度改正を行っていくとのことです。

参考:打刻ファースト「【教員の働き方改革】変形労働時間制の導入は慎重に【労働基準法改正2019】

2019年夏から変わる、教員の夏休み。現場においては、さっそく対応に向けた準備を進めていく必要があります。労働時間削減の第一歩となる「適切な勤怠管理」は、クラウド勤怠管理システムIEYASUの活用がお勧めです。

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