フレックス?裁量労働?それとも高プロ?労働者をがっちり管理しない、柔軟な働き方を考える

2019年より進められてきた働き方改革の影響か、それともコロナ禍におけるテレワークの普及を受けてか、最近では事業主様から「労働者をガチガチに管理しない、柔軟な働き方をさせることはできないだろうか」とのご相談を受ける機会が増えています。柔軟な働き方を実現するための労働時間制度はいくつかありますが、それぞれの概要を正しく理解し、適切に導入することが大前提となります。今号では、ご相談時に話題に上がることの多い、フレックスタイム制、裁量労働制、高度プロフェッショナル制に関わる基本を解説しましょう。

始業・終業時刻と1日の労働時間を労働者が決める「フレックスタイム制」

比較的幅広い業種で導入できて、柔軟な働き方の実現につながるとして、まず連想されるのが「フレックスタイム制」でしょう。フレックスタイム制とは、一定の期間についてあらかじめ定めた総労働時間の範囲内で、労働者が日々の始業・終業時刻、労働時間を自ら決めることのできる制度です。

導入に際しては、「就業規則等への規定」「労使協定の締結」が必要となっていて、あらかじめ以下の内容を定めておかなければなりません。

①対象となる労働者の範囲
②清算期間
③清算期間における総労働時間(清算期間における所定労働時間)
④標準となる1日の労働時間
⑤コアタイム(任意)
⑥フレキシブルタイム(任意)

フレックスタイム制は、ラッシュアワーを避けて通勤したい人や保育園の送り迎えをする人に最適な労働時間制です。また、今号でご紹介する他の労働時間制と異なり、対象業種・業務の定めなく導入できる点も魅力的です。しかしながら、清算期間を軸とした時間外労働の取扱いや給与計算の複雑さ等、導入に伴って生じる企業側の管理・実務対応がネックとなってか、導入率は企業全体の7%弱にとどまっているのが実情です(2023年度時点)。

参考:厚生労働省「フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引き

「裁量労働制」は、みなし時間での労働が可能となる一方、限定的な対象業務に注意が必要

裁量労働制は、日々厳密に労働時間管理をするのではなく、あらかじめ労使間で定めたみなし時間を働いたものと考える労働時間制です。賃金も、原則としてみなし時間を基準に算出します。「厳密に労働時間管理をしなくて良い」ということで、前向きに導入を検討される事業主様は少なくありませんが、以下の点に注意が必要です。

✓ 対象となる業務が限定的
裁量労働制は、誰にでも適用できるわけではありません。対象業務は、以下の2要件を前提とします。
・ 業務の性質上、その遂行の方法を大幅に当該業務に従事する労働者の裁量に委ねる必要がある
・ 業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をすることが困難である
裁量労働制には、専門業務型と企画業務型の2種類があり、それぞれで適用対象となる業務が具体的に定められています。詳細は、参考URLからリーフレットにてご確認ください。

 

✓ 使用者による具体的な指示ができない
対象業務の前提要件にもある通り、裁量労働制では「業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をすること」が認められません。実務上、導入時にこの点がネックになるケースは多々あります。

 

✓ 導入手順が複雑
裁量労働制の導入に際し、労使協定の締結・届出、労働契約や就業規則等を整備、本人の同意、さらに企画業務型であればこれらに加えて労使委員会の設置・決議等も必要となります。

 

✓ 深夜・休日労働については別途賃金支払いが必要
裁量労働制であっても、深夜・休日労働については割増賃金の支払いが必要です。よって、労働時間管理が完全に不要となるわけではありません。

 
参考:厚生労働省「裁量労働制の概要

導入手順の厳格化に加え、適用対象を限定的とする「高度プロフェッショナル制度」

高度プロフェッショナル制度とは、高度の専門的知識等を有し、職務の範囲が明確で一定の年収要件を満たす労働者の同意を前提に、労働基準法上の「労働時間」「休憩」「休日及び深夜の割増賃金」に関する規定を適用しないものとして扱うことのできる制度です。ともすれば「時間外労働の上限規制」の抜け道ともなり得る制度ですが、導入手順を厳格化するとともに、適用対象を限定的にすることで、本来とは異なる目的での制度悪用が阻止されています。また、特筆すべきは「年収要件」があることで、具体的には「1,075万円以上」とされています(2024年4月時点)。
2023年3月末日時点で、高度プロフェッショナル制度を導入する事業場は全国で26にとどまります。
高度プロフェッショナル制度の詳細は、リーフレットをご確認ください。

参考:厚生労働省「高度プロフェッショナル制度わかりやすい解説(令和6年4月以降版)

柔軟な労働時間制を導入しても、労働者の健康・福祉確保には最大限の配慮を

今号では、事業主の皆様からのご相談時によく話題に上がる柔軟な労働時間制の概要をご紹介しました。特殊な労働時間制に関しては、いずれも要件や導入のための手順等がありますので、リーフレット等でよくご確認いただき、自社での導入の可否をご検討ください。導入に際してのサポートは、社会保険労務士までお気軽にご相談いただければと思います。
一点、忘れてはならないのが、柔軟な労働時間制を導入し、労働時間管理を労働者に委ねることとなった場合でも、労働者の健康に配慮することは変わらず事業主の義務となることです。事業主は、対象労働者の勤務状況及びその健康状態の把握、必要に応じて健康・福祉確保措置に対応しなければなりません。健康・福祉確保措置とは、具体的に、休暇付与、配置転換、健康診断の実施、産業医等による助言指導又は保健指導、相談窓口の設置等が挙げられます。

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