【勤怠管理】兼業・副業の労働時間把握に、「労働者からの自己申告制」導入検討

働き方改革の中で推進される兼業・副業は、ウィズコロナの働き方としても注目されつつありますが、企業においてはなかなか手放しで容認できない事情もあるようです。兼業・副業に係る現場の懸念事項のひとつに「労働時間の管理・把握が困難である」ことが挙げられますが、この点について政府は、企業への負荷を軽減させる方向で調整を進めています。

「労働者の自己申告制」を制度化し、企業は「簡便な労働時間管理」で対応

兼業・副業者に係る労働時間管理については、原則として事業主が異なる場合にも通算し、上限規制の適用や割増賃金の算出を検討することになっています。しかしながら、労働者の兼業・副業の有無や就労の実態を企業側が正しく把握することは困難であることから、労働時間通算の原則やその運用についてはかねてよりその妥当性が議論されてきました。

この点、2020年6月16日に開催された第39回未来投資会議において、「新たに労働者からの自己申告制を設け、その手続及び様式を定める」といった方針が示されると共に、企業における「簡便な労働時間管理の方法」が提案されました。具体的な内容は、資料よりご確認いただけます。

出典:首相官邸「未来投資会議_第39回配布資料

兼業・副業者の労働時間管理は原則自己申告とし、企業においては従来通りの勤怠管理で対応可能な方向で制度設計が進められています。ご紹介した資料の内容は未だ決定事項ではありませんが、兼業・副業を容認する企業では、こうした方針に則ったルール作りを進めていけると良いでしょう。

兼業・副業に係る労働時間管理、諸外国ではどうしてる?

今号でご紹介した第39回未来投資会議の資料によると、労働時間の自己申告制創設には、諸外国の勤怠管理ルールも少なからず影響していることが分かります。今後、日本で整備しようとしている兼業・副業の労働時間は「上限規制の観点から、本業と兼業・副業で通算する」としつつも、労働時間の管理方法については「自己申告」を原則とするもので、これはフランス、ドイツ、イギリスに倣った制度とのことです。

兼業・副業に係る諸外国の労働時間管理については、「副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方に関する検討会」の報告書内で言及されています。2017年4月の欧州委員会の報告書によると、当時のEU加盟国における状況は下記の通りとのことです。

  1. 労働者ごとに時間規制を適用する(異なる事業主に雇用されていても労働時間は通算される)・・・15か国
  2. 契約ごとに時間規制を適用する(事業主が異なれば、労働時間は通算されない)・・・ 10か国
  3. 同一事業主であれば契約が複数あっても労働者ごとに時間規制を通算して適用し、
    異なる事業主であれば契約ごとに時間規制を適用し、労働時間を通算しない・・・3か国

参考:厚生労働省「「副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方に関する検討会」の報告書を公表します

上記のうち、日本は①の方式となりますが、通算ルールを適用する国ではいずれも「労働者の自己申告」が原則とされており、労働者からの情報提供が義務化されています。
また、同報告書で日本が現地視察を行ったとするフランス、ドイツ、オランダではいずれも「割増賃金の算定に当たっては、労働時間は通算しない」としています。

割増賃金に関しては言及がされていない

こうした諸外国の方針に則り、このたび公開された「簡便な労働時間管理の方法」案でも、自己申告に基づく本業先と兼業・副業先間の労働時間の調整により、本業先ではそもそも割増賃金が生じない様な仕組みが提案されています。一方で、「兼業・副業先においては、従来通り割増賃金の支払いが生じるのか」という点については何ら言及されておらず、今後の展開に注目が集まるところです。兼業・副業の労働時間管理や割増賃金ルールについては、最新情報が入り次第、打刻ファーストにてご紹介していきます!

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