【同一労働同一賃金】業界別マニュアルを厚生労働省が発表!派遣業、印刷業等の対象者の多い会社は2020年までに対策を

働き方改革の柱の一つである「同一労働同一賃金」が、2020年(中小企業では2021年)4月より適用となります。
現場においては「まだ先のこと」と対応を後回しにしがちですが、諸々の体制整備には時間を要することから、早めの着手が不可欠です。

このたび公開された業界別マニュアルを元に、具体的な手立てを考えていきましょう!

2020年「同一労働同一賃金」施行に向け厚生労働省がマニュアルをリリース

厚生労働省から公開されたマニュアル『不合理な待遇差解消のための点検・検討マニュアル』は、パートタイム・有期雇用労働者等の数又は割合が高い業界(スーパーマーケット業、食品製造業、印刷業、自動車部品製造業、生活衛生業、福祉業、労働者派遣業)について、企業が円滑に同一労働同一賃金の対策を進めることができるよう作成されました。また、上記7業界に加え、「業界共通編」も用意されております。

出典:厚生労働省「不合理な待遇差解消のための点検・検討マニュアル(業界別マニュアル)

2020年「同一労働同一賃金」施行に向けた業界共通の対策

業界共通編では、まず同一労働同一賃金の背景にあるパートタイム・有期雇用労働法について概要を把握し、不合理な待遇差の点検・検討に向けた基本的な考え方、具体的な手順を全84ページからしっかり理解していきます。

資料によれば、同一労働同一賃金対策については、いずれの業界においても下記の4段階で検討を進めるべきとのことです。

2020年「同一労働同一賃金」施行に向けた対策_第1段階

社内の労働者を社員タイプごとに区分し、それぞれの社員タイプの特徴を「労働契約期間」・「1週間の労働時間」をもとに整理します。これよって、パートタイム・有期雇用労働法の対象となる労働者を雇用しているかを確認します。

2020年「同一労働同一賃金」施行に向けた対策_第2段階

社員タイプごとに、個々の待遇の「適用の有無」と「決定基準」を整理し、通常の労働者と短時間・有期雇用労働者との間での「違い」を確認します。

2020年「同一労働同一賃金」施行に向けた対策_第3段階

個々の待遇ごとに、以下の手順で均等・均衡を点検します。

1.均等待遇の対象となる短時間・有期雇用労働者に対しては、全ての待遇について決定基準が通常の労働者と「同一」であるかを確認します。
2.均衡待遇の対象となる短時間・有期雇用労働者に対しては、「適用の有無」あるいは「決定基準」に「違い」がある場合には

(a) 当該待遇の「性質・目的」を確認・整理し
(b)「性質・目的」に適合する考慮要素を3考慮要素の中から特定し
(c) その考慮要素に基づき、「違い」を適切に説明できるかを検討します

2020年「同一労働同一賃金」施行に向けた対策_第4段階

均等待遇の場合で待遇の決定基準が異なる場合や、均衡待遇の場合で「違い」が適切に説明できない場合には、是正策を検討します。

出典:厚生労働省「不合理な待遇差解消のための点検・検討マニュアル(業界別マニュアル)

2020年「同一労働同一賃金」施行に向けた業界別マニュアルで対策を具体的に検討

「業界共通編」で理解した内容を元に、「業界別編」でより業種に特化した体制整備を考えていきます。

公開されているマニュアルの業界は、パートタイム・有期雇用労働者等の数又は割合が高い業界である、スーパーマーケット業、食品製造業、印刷業、自動車部品製造業、生活衛生業、福祉業となっています(2019年4月10日時点)。
加えて、「改正労働者派遣法の対応に向けて」ということで、派遣労働者の処遇改善に向けた資料も公開されています(こちらに関しては別記事にてご紹介します)。

「業界別編」については、いずれも基本的な内容は重複するものの、『「職務の内容」「職務の内容・配置の変更の範囲」の同一性の判断例』については業界に特化した事例が紹介されています。
このあたりは、正規・非正規の待遇差の根拠となる重要な部分となりますから、業界に則した理解が求められます。必ず確認しておきましょう。

以下は、「福祉業界編」マニュアルからの抜粋です。

出典:出典:厚生労働省「不合理な待遇差解消のための点検・検討マニュアル(業界別マニュアル)

2020年「同一労働同一賃金」施行に向け、業界における待遇の実態調査もチェック

加えて、マニュアルの最終章では、業界における待遇の実態に関する調査結果が添付されています。
基本給や手当等について、雇用形態別にどのように決定し、支給しているかが分かりやすくまとめられています。
もちろん、「本調査結果=合理的な待遇差」というわけではないのですが、業界の実態を把握する上では参考になる情報です。

パートやアルバイトを多く活用する事業場においては特に、早期に同一労働同一賃金対策に着手していくことが肝心です。
今号でご紹介したマニュアルをご活用いただき、同一労働同一賃金を理解することから始めましょう。

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