【勤怠管理】副業・兼業者労働時間に関わる「通算ルール」が変わります

2018年3月に政府が打ち出した「働き方改革実行計画」で副業容認の方針が示されて以降、企業においては今後ますます注目される副業・兼業。
御社では、従業員のダブルワークを認めているでしょうか?

副業・兼業導入に際し、しばしば問題となるのは「複雑な労働時間管理」ですが、現行の「通算ルール」が見直され、今後はより運用しやすい方法へと変更される見込みとのこと。

さっそく、現段階で判明している方向性を確認しましょう。

副業・兼業者の労働時間管理 現行の「通算ルール」

まずは現状、副業・兼業者の労働時間がどのように管理されているか、ポイントを確認しておきましょう.

■ 事業場(事業者)が異なっても労働時間関連の諸規定は通算して適用(労働基準法第38条)

労働時間を通算した結果、労働基準法第32条又は第40条に定める法定労働時間を超えて労働させる場合、使用者は自社で発生した法定外労働時間について、

・同法第36条に定める時間外及び休日の労働に関する協定(いわゆる 36(サブロク)協定)を締結
・同法第37条に定める割増賃金を支払う

■ 労働基準法上の義務を負うのは、当該労働者を使用することにより、法定労働時間を超えて当該労働者を

『労働させるに至った使用者』
= 『通算により法定労働時間を超えることとなる所定労働時間を定めた労働契約を時間的に後から締結した使用者』

※ 通算した所定労働時間が既に法定労働時間に達していることを知りながら労働時間を延長するときは、先に契約を結んでいた使用者も含め、延長させた各使用者

文字で説明すると少々分かりにくいですが、打刻ファーストでは副業・兼業者の労働時間通算ルールを事例で解説しています。ぜひご一読ください。

参考:打刻ファースト「【勤怠管理】副業・兼業者を雇い入れる際の適切な労働時間管理とは?

副業・兼業者の労働時間管理はどう変わる?

このように、現状複雑となる副業・兼業者の労働時間管理ですが、第8回「副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方に関する検討会」ではより容易な運用とすべく、見直しに関わる具体的な案が出されています。
未だ選択肢の例示にとどまりますが、今後のルール改定の方向性として把握されておくと安心です。

時間外労働の上限規制への対応について

□ 労働者の自己申告を前提に、通算して管理することが容易となる方法を設ける
(例:日々ではなく、月単位などの長い期間で、副業・兼業の上限時間を設定し、各事業主の下での労働時間をあらかじめ設定した時間内で収めること)
※実務的には、各企業において、自社と副業・兼業先の労働時間を通算した上限時間を就業規則に盛り込むなどの対応をとることが望ましい

□ 労働者自身が月の総労働時間をカウントし、上限時間に近くなったときに各事業主に申告すること

割増賃金の支払いについて

□ 労働者の自己申告を前提に、通算して割増賃金を支払いやすく、かつ時間外労働の抑制効果も期待できる方法を設ける
(例:使用者の予見可能性のある他の事業主の下での週や月単位などの所定労働時間のみ通算して、割増賃金の支払いを義務付けること)
=実質、他企業での就労時間を正しく把握することは困難であることから、契約の先後関係や所定外労働時間の実労働の順序によらず、労働者からの自己申告と自社での労働時間の通算を採用することが現実的

□ 各事業主の下で法定労働時間を超えた場合のみ割増賃金の支払いを義務付ける
=労働時間管理の煩雑さが解消されるほか、自社の労働時間のみを考慮すればよいことになり運用しやすい
ただし、合、現行の解釈における取扱いを変更することになることから、労働者の保護に欠けることのないよう配慮が必要

その他、詳細は下記よりご確認いただけます。

出典:厚生労働省「第8回「副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方に関する検討会」資料

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このように、副業・兼業者の労働時間管理については、現行の厳密な通算ルールを撤廃し、「事業者ごとに運用しやすい柔軟な制度設計」「副業・兼業に従事する労働者自身の自己管理」を基本とする方向で見直しが行われているところです。
新ルールの内容が固まり次第、打刻ファーストでもご紹介します。

副業・兼業者の労働時間管理の基本は、各事業所での適切な勤怠管理にあり!
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