労働者派遣事業許可申請における3つの壁とタイムリミット

改正労働者派遣法の施行により、新たな基準に基づく「労働者派遣事業許可申請」に頭を悩ませている事業主様は少なくないのではないでしょうか?現在、届出により特定派遣事業を営んでいる場合、今の形態で事業を継続できるのは【平成30年9月29日】までとなっています。「煩わしい手続きは、正直やりたくない」「年明けからやれば良い」そう思っている方は注意が必要です。なぜなら「間に合わない」可能性が潜んでいるからです。

派遣事業許可申請における「欠格事由」「専ら派遣の禁止」とは?

労働者派遣事業許可申請を自社で行うにせよ、代行を依頼するにせよ、まずは重要な要件をすべて満たしていなければ許可を得ることは出来ません。さっそくセルフチェックをしてみましょう。

Ⅰ 欠格事由

欠格事由の詳細は下記よりご確認いただけます。

参照:厚生労働省「労働者派遣事業を適正に実施するために-許可・更新等手続マニュアル-」_「05 欠格事由」

色々と難しそうなことが書かれていますが、申請に先立つ重要事項ですので、一つひとつ確認しましょう。もっとも、個人もしくは法人の役員として、これまでに罰金以上の罰則や許認可取消、破産暦がなければ、上記に該当する可能性は低いと言えましょう。

Ⅱ 専ら派遣ではないこと

労働者派遣事業許可申請に関わるご質問として、よくあるのが「専ら派遣」についてです。「専ら派遣」とは、派遣労働者を特定の会社(1社または複数社)に限定して派遣することを指します。「ウチは大丈夫」と思っていても、現状取引先が非常に限定されており、意図せずとも「専ら派遣」と判断されかねないような労働者派遣事業を行っている会社というのは、実際のところ少なくありません。

許可申請に際し「専ら派遣」に該当するか否かは、下記3つの観点を基準に実態から判断されることになります。

1.定款等の当該事業目的が専ら派遣となっている

2.派遣先の確保のための努力が客観的に認められない

3.他の事業所からの労働者派遣の依頼を、正当な理由なく全て拒否している

「欠格事由」「専ら派遣」に関する判断基準についてよく分からない場合には、事前に労働局に確認をとっておく必要があります。この部分で躓いてしまうと、申請に進むのは困難です。

申請に向けて超えるべき3つの壁_「事業所要件」「資産要件」「教育訓練計画」

ご存じの通り、このたびの改正法施行により、平成30年9月30日以降、労働者派遣事業を営むことはぐんと難しいものになりました。その背景にあるのが、申請時に満たすべき「厳しい基準」。労働者派遣事業の許可基準は、下記に挙げられる通り、多岐に渡ります。

参照:厚生労働省「労働者派遣事業を適正に実施するために-許可・更新等手続マニュアル-」_「06 許可基準」

上記マニュアルには細々とした要件がいくつも記載されていますが、大きな柱は「事業所要件」「資産要件」「教育訓練計画」です。これらの点については、すでにこちらの記事でも触れていますので、今一度ご確認ください。

【参考記事】:「改正労働者派遣法に対応できてますか?労働者派遣事業許可申請クリアのための3つのポイント」

「現状、事業所要件をクリアできているのか」「資産要件を満たすことができないが、何か手立てはあるのか」「教育訓練計画はどのように考えるべきか」等の疑問解消には、労働局への相談の他、社会保険労務士によるコンサルティングをご活用いただくとスムーズです。

自社内のみで悶々と悩んでいては、申請が一向に前に進まず、時間だけが経過してしまいます。とはいえ、「どうにかなるだろう」ととりあえず申請書類だけを作成して提出したところで、再考、再提出を求められるだけです。特に「教育訓練計画」については、なぜ必要なのか、相応しい取り組みはどのようなものかを理解した上で策定しなければ、見当違いな内容に仕上がってしまいます。この点、専門家によるサポートは不可欠です。

この他、「求められる要件自体がよく分からない」という場合にも、弊事務所が分かりやすく対応させていただきますので、どうぞご安心ください。

労働者派遣事業許可申請に必要な書類とは?

労働者派遣事業許可申請に伴い、必要になる書類は多種多様です。下記より提出書類・添付書類一覧をご覧いただければ一目瞭然ですが、書類によっては細かな注意点等もあり、正しく揃えるにも難儀するでしょう。

参照:厚生労働省「添付資料一覧」

厚生労働省「労働者派遣事業関係業務取扱要領・様式・各種報告書」

上記の作成・手配を、すべて自社で対応できるでしょうか?

もちろん、労働局に問い合わせれば逐一回答は得られるでしょうが、それも度々となれば担当者にはかなり大きな負担となります。

申請自体は、対役所の手続きに不慣れな方であっても、手間を惜しまず時間をかければ、いずれ許可を得ることは可能でしょう。しかしながら、その過程に要する時間的負担や想定される事務処理量、それに伴うストレスを軽減させたいと考えるのであれば、社会保険労務士の活用が必須となります。もちろんコストはかかりますが、その分時間的、精神的なゆとりを手に入れ、本業に集中できるとすれば・・・。企業が発展していくためにどちらを選ぶべきかは、もはや言うまでもないでしょう。

なぜ、「年内」の着手が必須なのか?

冒頭でもご紹介しましたが、届出により特定派遣事業を営んでいる場合、今の形態で事業を継続できるのは【平成30年9月29日】までとなっています。「まだ1年近くもあるんだから、急いで取り掛かることはないだろう」とゆったり構えている事業主様も少なくありませんが、それでは経過措置が終了する平成30年9月30日に間に合わなくなる可能性があります。

なぜかといえば、労働者派遣事業の許可申請後の審査等には、丸々2ヵ月程かかるためです。まずは労働局における申請内容の調査・確認から始まり、厚生労働省における審査、さらに労働政策審議会の意見聴取等の手続きを経る必要があります。つまり、順調にいっても、「10月中の申請→来年1月1日付許可」が最短です。もちろん、申請書類の準備が審査の過程がスムーズでなければさらに時間がかかることになるでしょう。

加えて、経過措置が終了する来年については、年明け以降、申請数がぐんと増えることが予想されています。そうなれば、通常よりもさらに時間を要することになることは明らかです。

こうした背景から、労働者派遣事業許可申請を円滑に進めるためにも、要件さえ満たせるのであれば、手続きへの着手は早い方が得策であると言えます。何かと慌ただしい年末年始を迎える前に、今、申請準備を始められてはいかがでしょうか?

IEYASUでは「労働者派遣事業許可申請」の相談・申請代行をご紹介しております。
ご興味がある方は一度ぜひこちらよりお問い合わせください。

【お問い合わせ】IEYASU労働者派遣事業許可申請_相談窓口

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