6か月以上雇用した有期契約の社員を正社員に転換したら1人につき最大で72万円が支給される「キャリアアップ助成金」を代表格として、助成金ブームが続いています。しかしながら、不正に助成金の受給を受けようとする事業主やそれを指南する助成金コンサルタントも後を絶たず、助成金の審査は厳しさを増す一方です。
助成金の審査においては様々なチェックポイントがあるので論点の全てをここで網羅することはできませんが、本稿においては、助成金の受給を成功させるための最重要チェックポイントの1つである、「勤怠」および「残業代」について解説をしたいと思います。
目次
助成金の審査では「出勤簿」と「賃金台帳」の提出が求められる
助成金は、「社員を新規に雇用した」「社員の雇用条件を改善した」「社員に対して研修を行った」など、会社が社員のためになることを行った場合に支給されます。
しかしながら、架空の社員を雇用したことにして助成金の支給申請をするような不正を防ぐため、雇用保険番号の登録があるかを確認するのはもちろんなのですが、ダブルチェックの意味で、労働基準法で定められた法定帳簿である「出勤簿」や「賃金台帳」を提出させることで、その社員の実在を確認しているのです。
設立されたばかりの会社でまだ労務管理体制が整っておらず出勤簿や賃金台帳を作成していなかったり、「社員は残業代込みの月給制だから勤怠管理は必要ない」などの理由で出勤簿を付けていなかったりする会社も散見されるようですが、労働基準法違反であることに加え、助成金を支給申請したい場合は、必ず出勤簿や賃金台帳は作成するようにして下さい。
【参考記事】勤怠管理は「義務」になる。まだタイムカードや手書きで消耗してるの?
インターネット上からダウンロードしたひな型を使用したり、自分でエクセルを使って数式を組んだりすることも可能です。コストもかからず手軽にできる反面、どの書式が合法性を満たしているのか、最新の労働基準法に準拠しているのかなどが分からないものが多いのが実情です。エクセルで作った式もいつの間にか崩れてしまったり・・・と、多くの場合、運用がうまくいきません。
そこで、私がおすすめするのは、クラウド勤怠管理(電子タイムカード)とクラウド給与計算ソフトの導入です。
クラウド勤怠管理(電子タイムカード)では、PCやスマホ、カードリーダーなど会社に合わせた最適な方法で打刻ができ、打刻された記録は出勤簿としてプリントアウトすることが可能です。もちろん、そのまま助成金申請の添付資料として労働局やハローワークに提出することも可能です。
クラウド勤怠管理(電子タイムカード)は人数比例で利用料が発生する場合がほとんどですが、IEYASUのように無料で使えるクラウド勤怠管理(電子タイムカード)システムもありますので、是非活用をしてみて下さい。
また、クラウド型の給与計算ソフトは、無料または低コストで利用開始をすることができ、クラウド勤怠管理(電子タイムカード)と相性が良く、API連携したり、CSVデータをインポートすることもできます。法律上の必要記載事項を満たした賃金台帳を出力することができ、これも勿論、そのまま労働局やハローワークに提出ができるものです。
このようなメリットがありますので、助成金を申請したい会社には、クラウド勤怠管理(電子タイムカード)とセットでの導入を検討してみて下さい。
クラウド勤怠管理+クラウド給与計算=残業代の払い漏れゼロへ
クラウド勤怠管理(電子タイムカード)とクラウド型の給与計算をセットで導入しましょうという提案をした理由はもう1つあり、それは、残業代の払い漏れを防ぐということです。
助成金の申請にあたっては、提出された出勤簿と賃金台帳を照合して、残業代の払い漏れがないかを非常に厳しくチェックされます。
残業代の払い漏れが見つかったら、よほど悪質なものでない限り、一発で助成金が不支給になるということは今のところないですが、再計算をして正しい残業代が支払われるまで審査がストップしたり、あまり時間がかかりすぎると申請の取り下げを求められることもあるようです。
そして、不足した残業代を精算して審査が再開されたとしても、労働局の助成金審査官の心証は悪くなりますので、「この会社は残業代の計算を正しく行っていなかったから、他にも何か不正をしているかもしれない」と、審査がより細かく、あるいは厳しくなる可能性があります。
ですから、このような残業代未払いに関する助成金審査のトラブルを避けるため、一発で審査をクリアできるように確実な給与計算を行わなければなりません。
給与計算は複雑なルールに基づいて行われますので、本当の意味で正しく給与計算を行おうと思ったら、エクセルでは現実的には無理で、給与計算ソフトの助けを借りる必要があります。
前述したように、クラウド勤怠管理(電子タイムカード)の打刻記録をクラウド型の給与計算ソフトに流し込めば、設定さえ間違わなければ、比較的簡単な操作で正しく残業代を含めた給与計算を行ってくれますので、残業代の払い漏れを防ぎ、円滑に助成金の審査を進めるという意味でも、クラウド勤怠管理(電子タイムカード)やクラウド型の給与計算ソフトを活用していきたいところです。
【参考記事】残業時間60時間を超えた分は50%割増になること知ってる?
クラウド勤怠管理なら社労士と“共有する”意識が芽生える
助成金の申請代行を社労士に依頼するという会社も少なくはないと思います。
社労士との連携という観点においても、クラウド勤怠管理(電子タイムカード)やクラウド型の給与計算ソフトは優れています。
紙のタイムカードでは手集計をしたり、PDFにしたものを社労士にメールで送ったりしなければならず、ミスや手間の温床になってしまいますが、電子タイムカードやクラウド型の給与計算ソフトならば、社労士とIDを共有すれば、社労士も直ちに内容を確認することができます。ITに強い社労士であれば、社労士のほうでソフトを操作して、申請に必要な出勤簿や賃金台帳の出力を行ってくれるはずです。
助成金は申請期限を過ぎてしまったら一切受理されませんので、スムーズに申請に必要な書類を準備したり、社労士と情報共有していくということは、助成金申請において非常に重要なポイントなのです。
※IEYASUでは顧問社労士用のログインIDを用意することが可能です。
まとめ_助成金申請に必要な勤怠管理と残業代の支払い
助成金の受給を成功させるためには、助成金のリーフレットなどをよく読んで、支給要件を満たした社内施策を行うことも重要ですが、最近は出勤簿や賃金台帳の不備が問題となるケースも増えてきています。
クラウド勤怠管理(電子タイムカード)やクラウド型給与計算ソフトで、確実な勤怠管理および給与計算を行っていきたいですね。
信頼できる社労士をパートナーにすることも成功への確実な一歩です。