2024年能登半島地震に伴う雇用調整助成金特例措置の概要が公表されました

2024年1月1日に発生した能登半島地震により、石川県を中心とする北信越には依然として甚大な被害が発生しています。政府はこのたびの震災を大規模災害復興法に基づく「非常災害」に指定し、対応を強化する方針を固めました。雇用分野では、雇用調整助成金の特例措置に関する情報が公開されています。さっそく概要を確認しましょう。

能登半島地震に伴う雇用調整助成金特例措置について

雇用調整助成金とは、経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、労働者に対して一時的に休業、教育訓練又は出向を行い、労働者の雇用の維持を図った場合に、休業手当や賃金等の一部を助成するものです。直近では、コロナ禍の事業主支援として、段階的な特例措置が講じられてきたことが記憶に新しいかと思います。厚生労働省は2024年1月11日付で、このたびの能登半島地震に伴う経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされ、雇用調整を行わざるを得ない事業主には、以下の雇用調整助成金の特例措置が適用される旨を公表しました

対象となる事業主

対象は、「地震に伴う経済上の理由により休業、教育訓練(以下「休業等」)又は出向を行う事業主」です。地震による直接的な被害そのものは経済上の理由に当たりませんが、災害に伴う以下のような経営環境の悪化については経済上の理由に該当するとして、それによって事業活動が縮小して休業等を行った場合は助成対象となります

  • 取引先の地震被害のため、原材料や商品等の取引ができない
  • 交通手段の途絶により、来客がない、従業員が出勤できない、物品の配送ができない
  • 電気・水道・ガス等の供給停止や通信の途絶により、営業ができない
  • 風評被害により、観光客が減少した
  • 施設、設備等の修理業者の手配や修理部品の調達が困難で、早期の修復が不可能

特例措置の概要

① 生産指標の確認期間を、3ヶ月から「1ヶ月」に短縮
最近1か月の販売量、売上高等の事業活動を示す指標(生産指標)が、前年同期に比べ、10%以上減少していれば、生産指標の要件を満たします。
② 最近3ヶ月の雇用量が、対前年比で増加していても助成対象
通常、雇用保険被保険者及び受け入れている派遣労働者の雇用量を示す雇用指標の最近3ヶ月の平均値が、前年同期比で一定程度増加している場合は助成対象となりませんが、その要件を撤廃します。
③ 災害発生時に事業所設置後1年未満の事業主についても助成対象
災害発生時において雇用保険適用事業所設置後1年未満の事業主については、生産指標を災害発生時直前の指標と比較します。
④ 計画届の事後提出を可能に
通常、助成対象となる休業等又は出向を行うに当たり、事前に計画届の提出が必要ですが、計画届の提出日が2024年3月31日までの間である場合は、計画届を事前に提出したものとみなします。
これにより、2024年1月1日以降に開始された休業等や出向についても遡及して助成対象となります。

参考:厚生労働省「雇用調整助成金

石川・富山・福井・新潟の対象企業は助成率引き上げの方針も

この他、速報として、石川・富山・福井・新潟の対象企業に適用される助成率及び支給日数上限にも特例措置が講じられる方針であることも報道されています。

  • 助成率:中小企業で5分の4(現行は3分の2)、大企業で3分の2(現行は2分の1)に引き上げ
  • 支給日数の上限:年間300日に拡充(現行は年間100日)
    ※1人あたりの日額上限8,490円に変更はない見込み

助成率引き上げ、支給日数上限の拡充に関しては、今後、厚生労働省より正式な発表があるものと思われます。
また、石川労働局では、職業対策課に雇用調整助成金特別相談窓口を開設し、必要な対応を行っています。

引き続き、最新情報をお伝えしてまいります

新年早々、日本を襲った能登半島地震。犠牲者は日を追うごとに増え、依然として被害の全容も掴めない厳しい状況が続いているとのこと、被災者の皆様に心よりお見舞いを申し上げます。打刻ファーストでは引き続き、被災地の事業主様や働く方々にお役立ていただける最新情報をお伝えしてまいります。

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