雇用関係助成金が不支給となる「労働関係法令違反」とは?

3月、4月になると、助成金活用のご相談が多く寄せられるようになります。こうした背景には、ちょうど新たな雇用関係助成金の内容が確定・公表される時期であるということもありますが、それ以上に、春先には「職場をより良くするために、前向きに取り組みたい」というご意欲に満ち溢れる事業主様が増えてくるのかな、とも感じとることができます。雇用関係助成金申請に向けた取り組みは、企業にとって非常に前向きな行動です。私も社会保険労務士として微力ながらもお手伝いさせていただきたいと考えていますが、ご相談に先立ち、事業主様にご確認いただきたいことをお伝えさせていただきます。

まずは「各雇用関係助成金に共通の要件等」をご確認ください

ひと口に「雇用関係助成金」と言っても実に様々なものがあり、必要となる取り組みもそれぞれに異なりますが、すべての雇用関係助成金に共通する支給要件を満たさなければ先に進むことができません。まずは各共通要件を確認することから始めましょう。

「受給できない事業主」 9つの要件

雇用関係助成金を受給できない事業主の要件として、パンフレットには9項目が明記されています。該当する場合には、助成金申請に必要な取り組みをして、手順通りに申請を行ったとしても、不支給となります。主な要件には、「過去の不正受給」や「労働保険料未納」、「労働関係法令違反」等があります。詳細は、以下よりご確認いただけます。

参考:厚生労働省「雇用関係助成金に共通の要件等

不支給要件に該当するかどうかの確認は、どうやって行われる?

「たとえ「受給できない事業主」に該当しても、申告しなければバレないのではないか?」と考える方もいらっしゃるかもしれません。しかしながら、このあたりは審査上、管轄労働局長による確認がしっかり行われるようです。具体的には、「ハローワークシステムの活用」「警視庁又は道府県警察本部に対する照会」等の方法が挙げられます。不支給要件への該当・非該当に係る確認方法は、厚生労働省が公開する共通要領に明記されています。

助成金申請の大原則「適正な労務管理」ができていますか?

雇用関係助成金の共通要件に記載された「受給できない事業主」に該当しないことが確認できたら、ようやく助成金申請に向けたスタート地点に立つことができます。とはいえ、すぐに対象の取り組みに着手できるというわけではありません。下準備はまだまだ続きます。
雇用関係助成金申請に向けた第一歩は、「適正な労務管理の徹底」です。ひと口に「適正な労務管理」と言っても、曖昧であまりピンと来ないかもしれませんが、例えば以下についての状況はいかがでしょうか?

✓ 労働者に、労働条件通知書を交付していますか?
✓ 労働者名簿・出勤簿・賃金台帳の法定3帳簿を作成していますか?
✓ 就業規則は届け出ていますか?その内容は最新の法改正に対応していますか?
✓ 最低賃金を下回っている労働者はいませんか?
✓ 残業代に未払いはありませんか?
✓ 労働時間は適正ですか?
✓ 休憩・休日を確保できていますか?

具体的に挙げればキリがありませんが、一つひとつの状況を確認し、必要に応じて是正しておく必要があります。というのも、雇用関係助成金の審査では、申請時に提出された書類を通じて、その会社の労務管理の実態が細かく確認されるからです。
上記の他、「勤怠管理」に関しても、2019年4月1日より「客観的方法による労働時間把握」が使用者の義務とされています。雇用関係助成金の申請上、対象労働者の「出勤簿」の提出を求められるケースがほとんどですから、確実に対応しておかなければなりません。
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