長時間労働の是正は進みつつある?5つのポイントから見えた「中小企業の“働き方改革”の現状」

政府主導で働き方改革が推進される中、大企業と中小企業とではその取り組みに確実な温度差があるように感じられます。「働き方改革なんて、所詮大企業だけのもの」「中小企業にそんな余裕はない」と思われがちですが、実際のところはどうなのでしょうか?

本号では、中小企業における働き方改革の実態を考えることにしましょう。

中小企業における働き方改革の第一歩は、「実態」を知ることから

働き方改革の事例については、既にいくつかの媒体で報告されているものの、その中心は大企業における取り組みです。そもそも、大企業と中小企業とでは財源・マンパワー共に、状況が大きく異なりますから、「参考にしたくとも出来ない」といったケースが多いのではないでしょうか。

参考:経団連「働き方改革事例集」

例えば、従業員数30名以下の中小企業では、働き方改革についてどのように捉えているのでしょうか?そして、実際にどのような取り組みがされているのでしょうか?中小企業の働き方改革に関わる疑問を解消する調査結果が、下記よりご確認いただけます。まずは「知ること」から、御社の働き方改革が始まります。

参考:商工中金「中小企業の「働き方改革」に関する調査(2017 年 1 月調査)」

「長時間労働の管理・抑制」への取り組みがみられる一方、依然進まぬ「テレワーク導入」

前出の資料から分かるメインの5つをまとめます。

◇ 中小企業における雇用不足は深刻化しており、働き方改革によって業務効率化や生産性の向上が図るべき必要性は大企業以上

◇ 「長時間労働の管理・抑制」「社員教育」「自己啓発の支援」「シニア層の活用」は、調査対象の半数程度が何らかの制度の導入・取り組みの実施をし、一定の効果を得ている

◇ 「子育て世代の支援」「妊娠・出産期の女性支援」「介護離職の防止」は、制度の導入は進む一方、対象者不在により依然として機能しないケースが目立つ

◇ 「在宅勤務」「モバイルワーク」「サテライトオフィス」は、業務遂行における実運用の難しさが課題となり、制度化が進んでいない

◇ 「副業・兼業の容認」は、本業への支障が懸念されるため、取り組みには消極的

同資料では、働き方改革において注目される12の取り組みについて、「従業員規模別」「業種別」の各取り組み・制度の導入・実施状況のデータを確認することができます。同規模かつ同業の会社の状況を知ることは、御社における働き方改革を考える上で、有益であると言えそうです。

【参考記事】副業禁止は「変化に対応できない」会社のサイン

働き方改革の内容と共に、考えるべきこととは?

働き方改革を進める上では、「取り組みの内容」以上に「労使の意識改革」が重要となります。これまで当たり前だった常識、働き方を変えるためには、従業員の意識の変化、新しい企業風土作りが不可欠です。

具体的にどのような施策が功を奏すかは会社の状況によって異なりますが、例えば「トップが直々に従業員向けにメッセージを発信」「定時帰りを奨励する環境作り」「チームとしての働き方改革の推進」等が挙げられます。中小企業ならではの良さのひとつに、「トップの意向が組織に浸透しやすい」ことがあります。この点で、中小企業においては大企業以上に、働き方改革を円滑に進めるための前提が備わっていることになります。

加えて、「御社における課題の洗い出し」を丁寧に行うことも大切です。他社の好事例を御社にそのまま適用できるかといえば、必ずしもそうではありません。課題に則した施策を検討できなければ、せっかくの働き方改革も何の意味を持ちません。

まとめ_中小企業こそ積極的に改革を

遅々として進まぬイメージの中小企業における「働き方改革」ですが、今回ご紹介した資料を見る限り、少しずつではありますが進展しつつあるようです。御社の「働き方改革」は、今後どのような展開を迎えるのでしょうか?同業他社や大企業に遅れをとる前に、積極的かつ具体的な検討をオススメします。改革の一手に「システム化」は欠かせない、避けられない選択肢であることをお伝えしておきます。

【参考記事】採用に苦戦する企業は「テレワーク導入」に注目!勤怠管理も忘れずに

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