【同一労働同一賃金】2024年度派遣労使協定の「地域指数」一部訂正に対応を!

厚生労働省は、派遣労働者の同一労働同一賃金を労使協定に基づき実施する場合に用いる「地域指数」の一部に、誤りがあることを発表しました。誤った数字に基づき労使協定を締結した派遣元においては、2024年9月30日までに必要な対応を行わなければなりません。派遣元が講じるべき具体的な対応と、政府による支援の概要を確認しましょう。

2024年度の派遣労使協定方式に用いられる「地域指数」一部訂正の概要

2021年4月よりすべての企業に同一労働同一賃金が適用され、派遣労働者にも例外なく適用されています。派遣労働者の同一労働同一賃金では、派遣先の通常の労働者との均等・均衡待遇を図る「派遣先均等・均衡方式」と、一定の要件を満たす労使協定により待遇を決定する「労使協定方式」のいずれかの方法で派遣労働者の待遇を確保することが、派遣元事業主の義務とされています。
厚生労働省のデータによると、派遣元のおよそ90%が「労使協定方式」を選択しているとのことですから、今回の「地域指数」一部修正に伴う影響は決して小さなものではないでしょう。

派遣労使協定方式の「地域指数」とは?

労使協定方式では、職種別の基準となる平均的な賃金に、派遣労働者の能力と経験に基づく指数と、就業地域の指数(地域指数)を掛け合わせて、適正な賃金水準を算出します。「地域指数」とは、労使協定方式における派遣労働者の賃金決定に大きく影響する数字なのです。

2024年度派遣労使協定方式の「地域指数」訂正箇所

地域指数には、都道府県別とハローワーク別の2種類あり、派遣元の労使がいずれかを選択することとしています。今回、このハローワーク別地域指数(434所分)のうち、275所について誤りがあることが分かりました。誤って低く算定されていたものが121所、誤って高く算定されていたものは154所とのことです。具体的な訂正箇所は、新旧表よりご確認いただけます。

2024年9月30日までに、労使協定再締結と差額補てんの対応を

ハローワーク別地域指数の訂正に伴い、派遣労働者の賃金水準が訂正後の一般賃金水準に満たない派遣元には、訂正後の指数による一般賃金水準以上となるよう、労使協定を再締結するとともに、年度当初から協定再締結までの期間における差額(現行協定と訂正後の指数による一般賃金水準との差)を補う対応が求められます。
労使協定の改定を行う場合の準備期間として、2024年9月30日までが経過措置期間(この期間内は現行協定も有効)に設定され、派遣元ではこの期間に必要な対応を講じることになります。

労使協定の見直しを行う派遣元を対象とする助成金が創設

ハローワーク別地域指数の誤り及びその訂正に伴い、厚生労働省は、派遣元における修正対応に対する支援として助成金制度を創設します。本助成金は、人材確保等支援助成金の下に、時限措置として位置づけられます。
現時点で判明している助成金概要を確認しましょう(2024年6月27日時点)。

対象となる取り組み

・訂正後の指数による一般賃金水準以上とするための労使協定を再締結
・年度当初から協定再締結までの期間における差額を補う対応
※現行協定に基づく自社の賃金額が訂正後の指数による一般賃金水準以上ではあるものの、同水準に対する自社の賃金額の相対優位度を維持するために賃金引上げを行う場合も対象とする方針

助成額

上記の対象となる取組を実施した場合、「雇用する派遣労働者の人数によらず共通してかかる経費」「雇用する派遣労働者の人数に応じてかかる経費」の負担が生ずることに鑑み、以下のように設計
① 賃金制度の整備に係る基本経費:5万円
② 雇用する派遣労働者(1人当たり):1万円
※ただし、実際の負担額が①②の合計額を超えざるを得ない場合には、実費を上限として支給することができることとする

参考:
厚生労働省「令和6年度に適用される一般労働者の賃金水準に係る職業安定局長通達の 一部訂正(ハローワーク別地域指数)について

厚生労働省「派遣労働者の同一労働同一賃金について

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