社労士が指摘するテレワーク時の労働時間に関するトラブルと対策

コロナ禍が長期化し、テレワークを継続している会社も多い中、テレワーク特有の労務問題も表面化してきています。

具体的には、リモート環境だからこその労務管理の難しさ、ちゃぶ台やダイニングチェアで長時間パソコン作業を行ったことによる腰痛の増加(労災扱いとなる可能性大)、通勤手当廃止による就業規則の不利益変更など、問題は多岐に渡っています。

本稿では、「労働時間」に焦点を当て、テレワークだからこそ発生する長時間労働・不規則労働の事例、および、その予防・改善策について解説をさせて頂きます。

筆者の実務経験として、大きな論点は3つあります。

テレワーク労働時間問題(1)ちょこっと労働問題

第1は、「ちょこっと労働問題」です。

テレワークでは、自宅でパソコン作業を行うため、仕事に対して真面目で責任感がある人ほど、「ちょこっと労働」をしてしまいがちです。

すなわち、業務用のパソコンが手に届く所にあるため、終業時間後に「重要なクライアントからメールがきたので、そのメールだけ返信をしておこう」とか、「しまった!!あのタスクをやるのを忘れていたから、10分で終わるのでそれだけ終わらせてしまおう」といったような形で、短時間とはいえ、つい仕事を行ってしまうということです。

労働基準法上、労働時間は1分単位で管理する必要があるため、このような「ちょこっと労働」も、もちろん労働時間となります。残業代が支払われていなければ、未払い残業となってしまいます

その結果、労基署の調査があった際や、従業員と裁判になった場合には、メールの送信履歴やパソコンの操作ログが「動かぬ証拠」となり、使用者には、未払い残業代の精算を求められたり、刑事罰や行政指導を受けるなど、様々なリスクが発生することとなります。

このようなリスクを回避するためには、まずは会社から従業員へ「原則として、終業時間後には業務を行ってはならない」ということを周知徹底する必要があります。

従業員によっては、周知徹底をしても、「どうせパフォーマンスだろう」と聞き流したり、「俺は会社のためを思ってやっているんだ」と開き直ったりする場合もあります。そのような従業員に対しては、会社側としてもスルーせず、まずは注意や指導を行い、それでも改善がされなければ、業務命令違反や、勤怠の虚偽申告として、懲戒処分を行うことも可能です。

ただし、緊急かつ重大な案件で、どうしても終業時間後に対応をしなければならない業務が発生する場合があると思います。そのような場合には、事前(やむを得ない場合は事後)に上長の許可を得ることと、その労働時間を確実に出勤簿に反映させることを徹底すべきです。

IEYASUを含め、多くのクラウド勤怠管理システムは1日において複数回の打刻に対応しています。このような「ちょこっと労働時間」を正確に管理するためも、クラウド勤怠システムの導入が望ましいと言えるでしょう。

テレワーク労働時間問題(2)モバイル労働問題

第2は、「モバイル労働問題」です。

前述した「ちょこっと労働問題」にも類似しますが、テレワークの開始に伴い、「チャットワーク」「Slack」「Line Works」などのビジネスチャットを導入した会社も多く、これらのソフトにはスマートフォンのアプリも用意されているため、業務時間外に、ついスマートフォンで届いたメッセージを確認したり、返信をしたりしてしまう従業員も少なくないようです。

このモバイル労働への対応としては、まずは、私用のスマートフォンに業務用のアプリをインストールしないよう会社から指導することが考えられます。

緊急対応などの可能性を想定し、完全にアプリを遮断出来ない場合には、緊急時の連絡用には日常業務と違うアプリを使うとか、同一アプリ内であっても、緊急時専用のグループを作り、そのグループに投稿があった場合だけ内容確認するといった対応が想定されるでしょう。

そして、実際に緊急事態が発生し、モバイル労働を行った時には、その時間はもちろん労働時間になります。

IEYASUなどのクラウド勤怠管理システムは、スマートフォンのアプリからの打刻や、LINE打刻、LINE WORKS打刻、slack打刻にも対応していますので、モバイル労働開始時・終了時の打刻もスムーズです。

テレワーク労働時間問題(3)離席と休憩時間問題

第3は、「離席と休憩時間問題」です。

テレワークを行っていると、どうしても業務時間中に日常生活が混在してしまいます。

テレワークであっても業務時間中は業務に専念することは大前例ですが、実際には、宅急便が届いた、子どもが話しかけてきた、雨が降りそうなので洗濯ものを取り込んだ、など、様々な理由で離席をする(せざるを得ない状況になる)ことが生じます。

このような離席に対し、どこまでがいわゆる「小休止」で、どこからが賃金の発生しない法的な「休憩」扱いになるのかの線引きは、なかなか難しい問題です。

基本的な考え方としては、たとえば、「トイレに行く」とか「コーヒーを淹れる」といった時間は、オフィス勤務時で休憩扱いにはしていなかたと思いますので、テレワークでもそれと同様に考えて良いと思います。

一方で「宅急便」「子どもの相手」「洗濯もの」といった対応はテレワーク特有のものなので、個人の裁量に任せると、どうしても従業員間で不公平が生じてしまいます。

ですから、たとえば「15分以上の離席は休憩扱いとする」というように、会社側で客観的な基準を定めることが望ましいでしょう。

あるいは、本人の判断である程度柔軟な勤務を認めることが可能な業務内容であれば、テレワークにおいては出張時などと同様、「みなし労働時間制」を利用することができますので、こういった小休止や休憩も含めて所定労働時間勤務したと「みなす」という対応も合理的です。

このような場面においても、IEYASUなどのクラウド勤怠管理システムは役立ちます。複数回の休憩打刻や、みなし労働時間制などの特殊な勤務体系を前提とした勤怠集計にも多くのクラウド勤怠管理システムが対応をしているため、テレワークに最適な勤怠管理を無理なく行なうことができるのです。

まとめ|ルール構築とシステム導入の両輪で対応を

テレワークは、業務と日常生活が近接するため、オフィス勤務時には想定されなかったような労働時間の管理に対する疑問点やトラブルが発生しがちです。

しっかりとしたルールの構築と、クラウド勤怠管理システムの導入・運用を両輪にして、リスクが無く、従業員にとっても快適なテレワーク環境を是非実現してください。

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ABOUTこの記事をかいた人

ポライト 社会保険労務士法人

「社員から信頼される会社作りをサポートする」を経営理念に掲げている社会保険労務士法人です。目下は、電子タイムカードやクラウド給与計算ソフトなどのHR-Techの活用や導入支援に力を入れており、お客様企業の効率改善や残業削減に貢献していきたいと考えています。