共働き家庭が増える中、「シャドウワーク」という言葉が注目されています。
元々は専業主婦の苦労を伝えるためによく使われていた言葉ですが、「シャドウワーク」の意味はそれだけに止まりません。
果たして、シャドウワークとはどのような労働を指すのでしょうか。本記事で解説します。
目次
シャドウワークとは?
シャドウワークとは、専業主婦の家事労働など基本的に報酬を受けない仕事で、誰かが賃労働をすることのできる生活の基盤を維持するために不可欠な労働を指します。オーストリアの哲学者、イヴァン・イリイチの造語です。直訳すると「影の仕事」ですが、日本の社会学者 鶴見和子さんに「影法師の仕事」と訳されました。
具体的なシャドウワークとは?例をご紹介
生活費基盤を維持するものとして、家事・妊娠や出産・子育て・介護等が含まれます。
また、サービス残業や通勤時間・職場の付き合いの飲み会参加・自己啓発に充てる時間・ボランティア等も、同じく賃金の払われない労働です。実は、これらも同様に「シャドウワーク」とされる場合があるのです。
シャドウワークは悪者?一般論は「減らすべきもの」
これまでシャドウワークといえば、「減らすべきもの、なくなれば良いもの」とされていました。
専業主婦の家事労働が典型的な例で、主婦の仕事は評価をされず搾取されているといった見方が多く、「賃金が支払われず正当に評価されにくい労働。生産性を落としてしまうもの」といった捉え方をされてきました。すなわち悪者として扱われてきたのです。
しかし、最近は新しいシャドウワークの見方が出てきています。
会社の組織に縛られない活動によって、新しいアイデアが生まれたり、組織が活性化するという事例が出てきたからです。必ずしも減らすべきものという訳ではなく、活発に行うものとして捉えようとする動きもあります。
メリットにも!?プラスとなるシャドウワークとは
シャドウワークがメリットとなる、その最たる例は、ボランティア活動です。
ボランティアは賃金が支払われないものが多く、それらはシャドウワークです。しかし、そこで得られた経験や価値観が仕事に活かせる可能性については、みなさんも理解できるのではないでしょうか。新しいものの見方た価値観を身に付けることで、新しいアイデアを産むことが予想できます。また、会社の組織とは別に、気の合うもの同士で集まる集団の中から新しい活動やビジネス的なメリットが生まれる場合もあるでしょう。
昨今、組織の活性化を目的として、多様性を重視する傾向にあります。シャドウワークも他者との差別化、評価される経験として捉えられる場合があるのです。
シャドウワーク=経験とも。活かすか活かさないかはあなた次第
長らく「シャドウワーク」についてはネガティブな意見・見方が多いものでしたが、前述のようにそれは変わりつつあります。
賃金が払われない労働だからといって、全て評価されないもの、減らすべきものとは言い切れないのです。あなたの行なっているシャドウワークは、どうでしょうか?
あなたにしかない経験となっているかもしれませんし、ポジティブなポイントを見つけることもできるでしょう。そういったプラスのシャドウワークを見つけて、多様性に富んだ組織を作り上げましょう。