2022年4月から!企業が必ずおさえるべき人事労務関連法改正3つのポイント

10月中旬を迎え、ようやく暑さが落ちつき、ぐんと秋めいてきましたね。2021年も少しずつ年末を意識する頃となり、人事労務ご担当者様であれば2022年に向けた準備を進めていくべき時期にさしかかっています。これに関連して、以前の記事では、2022年10月に予定される短時間労働者への社会保険適用拡大について解説しましたが、今号ではこれと併せて企業がおさえるべき2022年度法改正項目を、ピックアップしてまとめておくことにしましょう。

2022年 人事労務関連の重要改正3項目

2022年には、雇用保険や健康保険法、育児・介護休業法、厚生年金保険法等を中心にいくつかの改正が予定されています。すでに打刻ファーストで解説済みのテーマではありますが、企業が特に重視すべき3つの改正項目を改めてまとめます。

○ パワハラ防止措置の義務付け(中小企業で2022年4月1日から ※大企業では2020年6月より施行)
○ 改正育児・介護休業法(すべての企業で2022年4月1日及び10月1日から)
○ 短時間労働者への社会保険適用拡大(従業員数101~500名規模の企業で2022年10月1日から)

パワハラ防止に向け、すべての企業が講じるべき3つの措置

改正労働施策総合推進法が、大企業では2020年6月から、そして中小企業では2022年4月から施行されます。これにより、2022年4月以降、すべての企業に対し、法的に明確化されたパワハラ基準に基づく具体的な防止措置への取り組みが義務づけられます

  • 企業の「職場におけるパワハラに関する方針」を明確化し、労働者への周知、啓発を行うこと
  • 労働者からの苦情を含む相談に応じ、適切な対策を講じるために必要な体制を整備すること
  • 職場におけるパワハラの相談を受けた場合、事実関係の迅速かつ正確な確認と適正な対処を行うこと

関連記事:『2020年6月施行「パワハラ防止法」対応の第一歩は「意識改革」

パワハラ防止に向けた取り組みは、労使がハラスメントの定義を正しく理解することから始まります。その上で、企業は社内体制や対応マニュアルの整備に取り組み、万が一の際に機能する仕組み作りを検討していく必要があります。

2022年4月から段階的に変わる!複雑多岐に渡る改正育児・介護休業法を正しく理解

2022年の人事労務改正項目の目玉といえば、何といっても「改正育児・介護休業法」でしょう。すでにいくつかの記事で取り上げていますが、今一度、いつから・何が変わるのかを確認しましょう。

2022年4月1日~

*雇用環境整備、個別の周知・意向確認の措置の義務化
⇒育児休業を取得しやすい雇用環境の整備
⇒妊娠・出産(本人または配偶者)の申し出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置
*有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和
⇒「引き続き雇用された期間が1年以上」の要件が撤廃に
(ただし、1年未満の労働者は労使協定の締結により除外が可能)

2022年10月1日~

*産後パパ育休(出生時育児休業)の創設
⇒原則休業2週間前までの申し出で、子の出生後8週間以内に4週間までの休業取得可能(2分割取得可)
*育児休業の分割取得

2023年4月1日~

*従業員数1,000人超の企業に対し、育児休業取得状況の公表義務化

 

企業においては、法改正項目を正しく理解した上で、必要な制度設計や労働者への周知徹底、相談対応への準備を進めましょう。併せて、前述の改正パワハラ防止法に関連して、マタニティハラスメント及びパタニティハラスメントも考慮した対応を検討しておくと安心です。

関連記事:
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従業員数101~500名規模企業では、社会保険適用拡大への対応を検討

すでに2016年10月から「501名以上規模の企業」を対象に開始されている短時間労働者への社会保険適用拡大については、今後、2022年10月から「101名~500名規模企業」、さらに2024年10月から「51名~100名規模企業」へと対象企業が広がっていく見込みです。新たに対応が必要となる企業においては、以下の挙げる対象労働者の定義を正しく理解し、参考記事で解説した通り、早期から準備を進めるのが得策です。

✓ 週の所定労働時間が20時間以上30時間未満
✓ 月額賃金が8.8万円以上
✓ 2ヵ月を超える雇用の見込みがある
✓ 学生ではない

関連記事:『従業員数101名以上の企業必見!2022年10月の社会保険適用拡大に備え、一年間で準備すべきこととは?

2022年は、人事労務関連で対応すべき重要な法改正が盛りだくさんです。打刻ファーストでは、引き続き、企業に役立つ最新情報を発信してまいりますので、ぜひ取り組みの参考にしてみてください。「何から手を付けて良いのか分からない!」「余力がない!」という場合には、社会保険労務士までご相談ください!
⇒労務相談はコチラから

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