テレワーク時の長時間労働対策として、注目したい「つながらない権利」とは?

ウィズコロナ時代の働き方として、企業において幅広く導入されるテレワーク。感染拡大防止の観点ではもちろん、家庭生活と仕事の両立がしやすくなることで働き方改革の一環としても支持されていますが、一方で「どこでも仕事ができる状況」が生み出されることによる長時間労働化が問題視されるようになりました。そんな中、注目を集めるのが「つながらない権利」です。

柔軟な働き方の実現を目指す上で必ず留意したい、「つながらない権利」とは?

「つながらない権利」とは、文字通り、プライベートの時間において会社や仕事とのつながりを遮断する権利のこと。コロナ禍でテレワーク勤務が可能となり、自宅で就業できる環境が整うと、どうしても仕事とプライベートの境界が曖昧になりがちです。そうなると、気になるのが「労働時間の長時間化」。実際のところ、テレワークに伴い「出社勤務時よりも長時間労働となった」「休憩時間の確保が難しくなった」等のケースが増加傾向にあることは、以下の関連記事でご紹介した通りです。

関連記事:『コロナ禍のテレワークで問題視される長時間労働 傾向と対策は?

「つながらない権利」は、諸外国において法制化の流れ

日本においてはコロナ禍のテレワーク拡大を機に頻繁に耳にするようになった「つながらない権利」ですが、コロナ以前からテレワークが普及していた国ではすでに労働者の権利のひとつとして認識され、法制化されているケースも少なくありません。先駆けとなっているのがフランスで、2016年時点で改正労働法に「つながらない権利」を盛り込んでいます。その後、隣国イタリアにおいても同様の法整備が進められました。コロナ禍においては、EUの欧州議会が加盟国に対し「つながらない権利」の法制化を求める、メキシコやアルゼンチン等でも同種の権利を盛り込んだテレワーク法施行規則が交付される等の動きが見られます。

参考:Legifrance「LOI n° 2016-1088 du 8 août 2016 relative au travail, à la modernisation du dialogue social et à la sécurisation des parcours professionnels (1)_Article55

2021年3月改定のテレワークガイドラインに「メール送付抑制」

前述に挙げた諸外国における流れ、さらに各種の調査によって判明したテレワークに伴う労働時間長時間化の実態を踏まえ、日本においても「つながらない権利」を確保するためのルールが検討され始めています。

2021年3月に改定された政府のテレワークガイドラインには、以下の記述が盛り込まれました。

メール送付の抑制等
テレワークにおいて長時間労働が生じる要因として、時間外等に業務に関する指示や報告がメール等によって行われることが挙げられる。このため、役職者、上司、同僚、部下等から時間外等にメールを送付することの自粛を命ずること等が有効である。メールのみならず電話等での方法によるものも含め、時間外等における業務の指示や報告の在り方について、業務上の必要性、指示や報告が行われた場合の労働者の対応の要否等について、各事業場の実情に応じ、使用者がルールを設けることも考えられる。

出典:厚生労働省「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン

「つながらない権利」に留意し、適正なルール作りと勤怠管理の徹底を

「つながらない権利」の確保を考える上では、現場に則した労働時間制度の導入及び就業設定に取り組み、その上で「就業時間外の原則業務禁止」を命じられる様な体制を整備する必要があります。

もちろん、こうした体制整備の一環として「労働時間の適正把握」は不可欠となるでしょう。この点、無料のクラウド勤怠管理システム「IEYASU」なら、日々の勤怠管理はもちろん、労働者の勤怠分析に役立つレポート機能や残業アラート、業務進捗の把握を可能とする日報機能等、テレワーク時の長時間労働解消にお役立ていただける各種機能をご活用いただけます。

企業における体制整備と並んで、重要となるのは「労使の意識改革」。仕事を命じる側である経営陣、管理職が「つながらない権利」を十分に留意すべきことはもちろんですが、働く側にも働く時間を自身で管理しようという姿勢が求められます。働き方を柔軟な形に変化させていくためには、働き方に対する人々の意識、考え方にもまた、柔軟性を持たせなければなりません。

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