2024 年4月より障害者の法定雇用率が2.5%、2026年7月より2.7%と段階的に引き上げられます。そこで、障害者雇用の基本の考え方として法定雇用率の算定方法、障害者雇用納付金制度について解説します。
1.障害者 法定雇用率とは
障害者雇用促進法(正式名称:障害者の雇用の促進等に関する法律)では、常時雇用する従業員数に応じて一定割合以上の障害者を雇用することを義務付けています。この割合を法定雇用率といいます。
障害者雇用促進法における障害者とは、身体障害、知的障害、精神障害、その他の心身の機能の障害があるため、長期にわたり職業生活に相当の制限を受ける、または職業生活を営むことが著しく困難な人をいいます。
障害者雇用促進法は、障害者の職業の安定を図ることを目的とし、障害者の雇用の安定を実現するための具体的な方策を定めた法律です。
2023年5月現在、民間企業の法定雇用率は2.3%です。
2.法定雇用率 カウント方法
障害者雇用率制度上での障害者の定義は、障害者雇用促進法で定める障害者のうち、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳を持つ人をさします。また、短時間労働者(週所定労働時時間20時間以上30時間未満)は、1人を0.5人としてカウントします。
重度身体障害者、重度知的障害者は1人を2人としてカウントします。短時間勤務の重度身体障害者、重度知的障害者は1人としてカウントします。
参考:厚生労働省「障害者雇用率制度について」
例えば、下記のように計算をします。
企業の条件
・所定労働時間が20時間以上の従業員数:100人(そのうち、短時間労働者は50人)
・雇用する障害者は2人(短時間労働者である重度知的障害者が1人、重度ではない身体障害者が1人)
総従業員数は、短時間労働者が1人あたり0.5人とカウントされるため、75人となります。
法定雇用率を満たすための障害者の人数は、75×2.3%=1.725人となり、2人雇っているこの企業は法定雇用率を満たしています。
3.2024年4月からの改正点
2024 年4月より障害者の法定雇用率が2.5%に引き上げられる予定です。
また、長時間勤務は難しいという障害者が一定数いるということを背景に、2024 年4月より、週所定労働時間が10 時間以上20 時間未満の精神障害者、重度身体障害者および重度知的障害者についても0.5 人としてカウントするという改正が施行されます。
さらに、2026年7月より2.7%と段階的に引き上げられます。法定雇用率の引き上げが続くことから、各企業は障害者を雇用するための準備や施策を検討する段階にあるでしょう。