時間外労働の上限規制の「年720時間」とは?【労働基準法改正2019】

本コラムでは、時間外労働の上限規制について、分かりにくいポイントを一つひとつ解説していきます。

今号では、「特別条項付36協定締結時の時間外労働の上限(特例)」について、「年720時間まで(法定休日労働を含まず)」の解釈に注目しましょう!

関連記事:打刻ファースト『時間外労働の上限規制の「2~6ヵ月平均で80時間以内」とは?【労働基準法改正 2019】

ポイントチェック!時間外労働の上限規制について

まずは、時間外労働の上限規制のポイントを復習しておきます。

✓労働時間の大原則:1日8時間、1週40時間

✓36協定締結時の時間外労働の限度時間:1ヵ月45時間、1年360時間(いずれも法定休日労働を含まず)

✓特別条項付36協定締結時の時間外労働の上限(特例)
⇒ 年720時間まで(法定休日労働を含まず)
ただし、1ヵ月では法定休日労働を含み100時間未満、2ヵ月ないし6か月月の平均で法定休日労働を含み80時間以内
⇒ 特例の適用は年間6ヵ月まで

特別条項付36協定を締結することで、法定の限度時間を上回る時間外労働が可能になります。しかしながら、労基法改正により、従来の様に実質無制限に時間外労働が認められるわけではなくなることは、既に皆さんご存知の通りです。

「年720時間=月平均60時間」ではありません

「特別条項付36協定締結時の時間外労働の上限(特例)」の要件のひとつに、「年720時間まで(法定休日労働を含まず)」があります。

これを受け、単純に「720時間÷12ヵ月で月60時間までなら問題ないのか!」と考える方もいらっしゃるようですが、これはNGです。「2ヵ月ないし6か月月の平均で法定休日労働を含み80時間以内」の要件がありますから、毎月60時間労働させることは出来ません。一年のうち6ヵ月は、36協定締結時の時間外労働の限度時間である「1ヵ月45時間」の枠に収める必要があります。

「年720時間」でも「法定休日労働を含まず」の意味

西日本新聞の記事に、時間外労働の上限規制のイメージを分かりやすく示した図がありましたので、皆様にもシェアさせてください。
時間外労働の上限は原則月45時間、ただし特例として年間6ヵ月を限度にこれを超える時間外労働が可能となります。

下記のイメージ図は、このたびの改正法の内容をシンプルに表しています。

<解説>
*特例の枠内 
100時間+60時間+80時間+80時間+90時間+70時間=480時間(6ヵ月平均で月80時間)

*原則の枠内
45時間×3ヵ月=135時間 / 35時間×3ヵ月=105時間※7月、10月、11月は月平均35時間
⇒年間の時間外労働時間数はちょうど「720時間」

出典:西日本新聞「残業規制どう変わる?2ヵ月連続80時間超だめ「休日労働」法の抜け穴に

ただし、「時間外労働の上限規制には抜け道がある」との指摘もあります。それは、「年720時間」の要件に付け加えられた「法定休日労働を含まず」の部分です。上記の表中の青色の棒グラフ(1月、2月、7月、10月、11月、12月の各月)に「法定休日労働時間」を加算して、仮に年720時間超となっても法的に何ら問題ないことになります。
※36協定締結時の時間外労働の限度時間である「1ヵ月45時間」にも法定休日労働時間を含めないことになっています

上記の表からは、「時間外労働」の時間数は分かっても、「法定休日労働」の時間数までは把握できません。よって、実際には【年720時間+α(法定休日労働時間数)】が上限となるわけです。

「年720時間」から除外される「法定休日労働」を正しく理解

ところで、御社の「法定休日」が一体いつなのか、皆さんはご存知でしょうか?
「就業規則で「土日」が休日となっているから、土日祝日なのでは・・・」と考える方もいるかもしれませんが、この認識は誤りです。

労働基準法第35条では「労働者に毎週少なくとも1回(もしくは4週間に4回)の休日を与えなければならない」としていることから、週1日(または4週間に4回)の休日を法定休日と考えます。それ以外の休日は、会社が独自に設定する「法定外休日(所定休日)」です。

就業規則上「土日休み」の会社の法定休日が何曜日なのかは、
・就業規則で特定されていればその曜日
・特に特定されていない場合には「1週間のうちで最も後順に位置する休日」
上記のようになります。
※この場合、1週間の始期をどの曜日にするのかが問題となります。就業規則等に定めがあればそれに従い、特に定めのない場合には行政解釈上「日曜日始まり」と考えられています

よって、就業規則で休日が「土日」となっている場合、このすべてが法定休日となるわけではなく、正確には「法定休日1日+法定外休日(所定休日)1日」という解釈になります。ちなみに、法定外休日(所定休日)に労働した時間数は「時間外労働」としてカウントされますので、「年720時間」から除外することは出来ません。

「休日」に関する詳細や、労務管理上適切な休日の設定については、下記の記事で解説されていますので、ぜひ参考にしてみてください。

参考:打刻ファースト『36協定の落とし穴「土曜出勤」に注意!あなたの会社は大丈夫?

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ABOUTこの記事をかいた人

HM人事労務コンサルティング 丸山博美

起業したての小さな会社支援を得意とする社労士事務所、HM人事労務コンサルティング代表・丸山と申します。 創業当初の事業主様に不足しがちな「経験」「人脈」「知識」を、 社会保険労務士という立場からサポートいたします。 労務関連の手続きやご相談、就業規則作成、助成金申請・・・等々、どんなことでもお気軽にご相談ください!東京はもちろん、日本全国からのご依頼に対応させていただきます。