【これだけ読めばOK】人事が抑えるべき2020年労基法改正、労務管理ポイント総まとめ

働き方改革元年が足早に過ぎ去り、間もなく新しい年を迎えようとしています。オリンピックイヤーとなる2020年は、東京を中心に一層柔軟な働き方の実現が目指されることに加え、2020年も引き続き順次施行される働き方改革関連法対応として、現場では更なる検討・施策が求められることになります。
今一度、人事担当者がおさえておくべき2020年労務管理のポイントを総復習しておきましょう。

働き方改革2020 労務管理はいつから何が変わる?

2020年に企業が対応すべき人事・労務管理の法改正項目は、多岐に渡ります。表では、従業員数50名未満の中小企業・小規模事業者も例外なく対応すべきポイントを赤字で記していますので、参考にしてみてください。

働き方改革関連法における「大企業」、「中小企業」「特定の法人(電子申請義務化への対応)」の定義については、下記にてご判断いただけます。中小企業の定義を上回る企業は「大企業」となります。


出典:京都労働局「働き方改革関連法の主な内容と施行時期


出典:厚生労働省「2020年4月から特定の法人について電子申請が義務化されます

2020年法改正対応!中小企業における働き方改革で注力すべき3点

さて、表中に挙げた項目はいずれも確実に対応しなければならないポイントですが、今号では特にいずれの企業においても重要視すべき、

◎ 時間外労働の上限規制
◎ 派遣労働者への待遇改善措置
◎ 賃金請求権の消滅時効期間「2年」→「3年」

にクローズアップしましょう。

■ 全ての企業に「時間外労働の上限規制」適用|上限を超える残業は罰則対象に

大企業では既に2019年4月より義務化されている「時間外労働の上限規制」が、中小企業にも適用されることになります。

残業時間の原則は、従来通り「月45時間・年360時間」であることに変わりありませんが、
臨時的な特別の事情があり、労使が合意する場合でも、超えることのできない上限が設定されました(ただし、一部適用猶予・除外とされる業務あり)。

  • 年720時間以内
  • 複数月平均80時間以内(休日労働を含む)※(「2ヵ月平均」「3ヵ月平均」「4ヵ月平均」「5ヵ月平均」「6ヵ月平均」が全て1ヵ月当たり80時間以内)
  • 月100時間未満(休日労働を含む)
  • 月45時間の原則を超えることができるのは「年間6ヵ月」まで

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■ 派遣労働者への「同一労働同一賃金」対応は、会社規模関係なく2020年4月施行

大企業においては、パート・アルバイト、契約社員等への「同一労働同一賃金」適用が2020年4月から開始され、中小企業においては2021年4月からの対応となります。ただし、派遣労働者への待遇改善措置の義務化は、会社規模を問わず全ての企業で2020年4月の施行となる点にご注意ください。

具体的には、派遣元事業主は

  • 「派遣先均等・均衡方式」(派遣先の通常の労働者との均等・均衡待遇の確保)
  • 「労使協定方式」(一定の要件を満たす労使協定による待遇の確保)

のいずれかの待遇決定方式により、派遣労働者の待遇確保を実現させなければなりません。

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■ 未払賃金請求権の消滅時効が現行の「2年」から「3年」へ延長

賃金等請求権の消滅時効については、改正民法の施行に伴い、かねてより議論されてきたテーマです。債権の消滅時効が原則5年に統一されることを受け、賃金債権の消滅時効に関しても同様の扱いとするか否かが焦点となっていました。
この点、2019年12月24日に開催された第157回労働政策審議会労働条件分科会において、

  • 将来的に「5年」とする方向性を示しながらも、
  • 当面の間は現行の労基法第 109 条に規定する記録の保存期間に合わせて「3年」の消滅時効期間とすることで、企業の記録保存に係る負担を増加させることなく、未払賃金等に係る一定の労働者保護を図るべき

旨の見解が公益委員によって示されました。2019年12月25日時点で未だ確定事項ではありませんが、この内容でまとまり、2020年4月の施行となる見込みです。

参考:厚生労働省「第157回労働政策審議会労働条件分科会(資料)

未払賃金問題は多くの企業における労務課題ですから、消滅時効の延長が及ぼす現場への影響は決して小さなものではないでしょう。改正法施行までの時間は限られていますが、これから対策として重要となるのは

  • これまでの未払賃金を可能な限り清算しておくこと
  • 今後、意図せず未払賃金を生じさせないために労働時間制や勤怠管理を見直すこと

です。後者については、労働時間制を誤って運用した結果として、未払賃金が生じることがあります。また、勤怠管理についても、ガイドラインに定められる「客観的かつ適切な労働時間の把握方法」を実践し、正しく把握できる様にしていかなければなりません。

もちろん、無料のクラウド勤怠管理システムIEYASUなら、ガイドラインを遵守しつつ、多様な働き方にもしっかり対応可能です。

2020年から始める中小企業の働き方改革対応 その他のポイント

さて、これまでは2020年より中小企業において特に重視すべき働き方改革への対応を解説しました。表中にあるその他の項目については、すでに打刻ファーストにて解説していますので、社内体制整備の際の参考にしてみてください。

〇 ハローワークインターネットサービスがリニューアル

打刻ファースト『【2020年1月】ハローワークが変わる!求人票の変更点と企業の留意点|インターネットサービスと記載事項の充実

〇 36協定 新様式での届出(中小企業)

打刻ファースト『【中小企業は2020年4月以後締結分から】新「36協定」をさらに詳しく解説【労働基準法改正2019】

〇 身元保証契約の極度額(上限額)設定

打刻ファースト『【2020民法改正】採用時の『身元保証契約』に関わる見直しが必要です

〇 職場の受動喫煙防止対策

打刻ファースト『職場の受動喫煙防止対策、徹底へ|2020年4月施行の改正健康増進法により喫煙室設置が義務化

「2020年を目前に、何から始めて良いのか分からない」という場合には、労務管理の専門家・社会保険労務士の活用も視野に入れ、御社の働き方改革を総合的かつ戦略的に進めてまいりましょう!

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ABOUTこの記事をかいた人

HM人事労務コンサルティング 丸山博美

起業したての小さな会社支援を得意とする社労士事務所、HM人事労務コンサルティング代表・丸山と申します。 創業当初の事業主様に不足しがちな「経験」「人脈」「知識」を、 社会保険労務士という立場からサポートいたします。 労務関連の手続きやご相談、就業規則作成、助成金申請・・・等々、どんなことでもお気軽にご相談ください!東京はもちろん、日本全国からのご依頼に対応させていただきます。