「ワクチン休暇」創設続々。新型コロナウイルスワクチンの一般接種開始に先立ち、企業は必要な検討を

現在、医療従事者を中心に新型コロナウイルスワクチンの接種が進んでいます。今後は徐々に一般接種も開始される見込みですが、報道で見聞きする限りでは接種後の副反応を想定しておく必要がありそうです。こうした中、従業員のワクチン接種を推奨すべく、新たに「ワクチン休暇」創設に向けた検討を進める企業も出てきているようです。

接種翌日の接種部位の疼痛は、90%を超える被接種者が自覚

新型コロナウイルスワクチンについては、すでに2月17日以降、先行接種対象者(主に医療従事者)への接種が進められています。厚生労働省の検討部会では、先行接種対象者の副反応の報告や接種者の健康調査結果に関わる資料をまとめ、公開しています。

資料からは、「接種翌日の接種部位の疼痛は90%を超える被接種者が自覚」「1回目接種後の発熱(37.5℃以上)は3.3%であったが、2回目は38.0%と高率」「各種副反応は接種当日よりも翌日が最も頻度が高い」「副反応の発現頻度は異なり、若年者・女性が高い傾向にある」等、新型コロナウイルスワクチンの副反応の傾向を具体的に見てとることができます。もちろん、接種後の副反応や健康状態については個人差による部分が大いに関係しますが、企業としてはこうした傾向を踏まえて、今後、従業員がワクチンを接種しやすい環境整備に目を向ける必要があるでしょう

参考:厚生労働省「第56回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和3年度第2回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)資料

ワクチン休暇に奨励金・・・企業の体制整備の状況は?

新型コロナウイルスワクチンの接種奨励に向けた検討を進める企業は、現状さほど多くないかもしれませんが、報道等では徐々に、会社独自の取り組みが伝えられるようになってきました。

久保井インキ株式会社では特別有給休暇と奨励金制度を導入

大坂に本社、東京に営業所を構える久保井インキ株式会社では、従業員が新型コロナウイルスワクチンを接種する場合、特別有給休暇を付与し、ワクチン接種が完了したときに奨励金一万円を支給することを表明しました。同社は、ワクチン接種の推奨と更なる感染対策の徹底を通じ、医療従事者への負担軽減、さらには世界中が目指す新型コロナウイルス感染収束に貢献したいというメッセージを発信しています。

参考:久保井インキ株式会社「従業員の新型コロナワクチン接種に特別有給休暇と奨励金制度を導入します

山梨県は、全国に先駆けて新型コロナウイルスワクチン副反応休業助成金を創設

新型コロナウイルスワクチン接種推奨のための取り組みは、自治体においても広がってくる見込みです。山梨県は全国の自治体の中でいち早く新型コロナウイルスワクチン副反応休業助成金を創設し、ワクチンの副反応による休業に対応する姿勢をみせています。以下の助成制度について、6月からの申請受付開始を目指して準備が進められています。

◎ 助成対象者(①~③全てを満たす者)
① 労働者、個人事業主
② 山梨県内でワクチンの接種を受け、副反応と思われる症状により休業した者
③ 休業中、給与、事業所得、休業手当、傷病手当金等公的な給付金が得られない者
(有給休暇を取得した者は対象外)

◎ 助成内容(1回目、2回目の接種をいずれも対象)
① 助成金額 1日4千円(ただし、接種1回につき連続する2日を限度とする)
② 助成対象日(助成を行う休業日)
接種を受けた日の翌日及び翌々日のうち休業した日
(ただし、接種当日に接種後に予定されていた勤務を休業することとなった場合は、接種当日及び翌日のうち休業した日)

出典:山梨県「新型コロナウイルスワクチン副反応休業助成金の創設について

特別な制度創設はできなくとも、ワクチン接種に際しては有給休暇取得奨励を

従業員のワクチン接種を見据えた休暇制度や奨励金制度の新設が難しい場合でも、前向きな検討が可能です。例えば、ワクチン接種日やその後の数日間についてはあらかじめ有給休暇取得奨励期間としてアナウンスしておくことで、従業員はワクチン接種を前向きに検討できるようになります。こうした方針を打ち出すことで、同時に、進まぬ有休取得の現状打破を狙うことができるため、会社にとっても有意義な施策となり得ます

もちろん、各人の接種日や業務分担の調整等の問題はありますが、こうした手間を惜しんで従業員のワクチン接種が進まない結果、職場に感染者が発生してしまえばまさに本末転倒。労働者の健康確保、さらにはコロナ禍の円滑な事業継続の観点からも、企業として最大限取り組めることに目を向けていくのが得策です。

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