【同一労働同一賃金】派遣労働者の福利厚生と教育訓練、労使協定方式でも「派遣先均等・均衡」が必要な項目とは?

派遣労働者の同一労働同一賃金を実現する上では、賃金や賞与、退職金の他、福利厚生や教育訓練に関わる検討も欠かすことはできません。派遣労働者に対する同一労働同一賃金への対応は、概ね派遣先均等・均衡方式か労使協定方式かで区別されますが、「福利厚生・教育訓練」については労使協定方式であっても派遣先との均等・均衡を図るべき項目があるため注意が必要です。

同一労働同一賃金における、派遣労働者の福利厚生・教育訓練の考え方

派遣労働者の同一労働同一賃金で目指されるのは、通常の労働者と非正規雇用労働者との間にある「不合理と認められる待遇差の解消」です。この目標に向け、「派遣先均等・均衡方式(派遣先の通常の労働者との均等待遇・均衡待遇を確保)」と「労使協定方式(派遣元における労使協定に基づいて待遇を決定)」のいずれかの方式に基づき、派遣元・派遣先双方が協力して、派遣労働者の待遇を決定する必要があります。

しかしながら、派遣労働者の福利厚生・教育訓練については、冒頭で触れたとおり「労使協定方式であっても」派遣先との均等を図らなければならないポイントがあります。

派遣先の給食施設・休憩室・更衣室については、派遣先の労働者に利用の機会を与える場合には、派遣労働者にも利用の機会を与えることが義務づけられています。(労働者派遣法第 40 条第3項)

業務の遂行に必要な能力を付与するために派遣先が実施する教育訓練については、派遣先の労働者と同種の業務を行う派遣労働者に対しても、実施することが義務づけられています。(労働者派遣法第 40 条第2項)

「教育訓練」と「福利厚生」に均等均衡の義務が生じる

つまり、業務遂行に必要な「教育訓練」、福利厚生のうち「給食施設」「休憩室」「更衣室」について、派遣先は協定対象派遣労働者にも実施、もしくは利用を許可しなければならないというわけです。同時に派遣元にも、これらの待遇に係る派遣先の通常の労働者との間の均等・均衡の義務が生ることになります。

加えて、派遣先は、自ら設置及び運営し、その雇用する労働者が通常利用している診療室や保育所、図書館、保養施設等、「給食施設」「休憩室」「更衣室」以外の施設を派遣労働者にも利用させるよう配慮しなければなりません。

「労使協定方式」に関わる、その他の教育訓練・福利厚生の考え方

労使協定方式を導入する場合、前述の派遣先での業務遂行に必要な研修、さらに給食施設、休憩室、更衣室以外の教育訓練・福利厚生については、派遣元で対応を検討する必要があります。その際の考え方が、マニュアル内に下記の通り定められています。

  • 派遣元は、雇用する通常の労働者(派遣労働者を除きます。)と同一の支給要件を満たす労使協定の対象となる派遣労働者に対しては、転勤者用社宅、慶弔休暇等の法定外の休暇、病気休職等の福利厚生の利用を認めなければなりません。
  • 派遣元は、雇用する通常の労働者(派遣労働者を除きます。)に対する教育訓練の実施状況を確認し、派遣労働者と派遣元の通常の労働者(派遣労働者を除きます。)との間の均等待遇・均衡待遇を確保し、必要な場合には派遣労働者にも実施します。

参考:厚生労働省「不合理な待遇差解消のための点検・検討マニュアル~改正労働者派遣法への対応~

同一の教育訓練もしくは相違に応じた教育訓練を

教育訓練については、さらに掘り下げると、
現在の職務の遂行に必要な技能・知識を習得するために実施するものについて、

  • 通常の労働者と職務の内容が同一である短時間・有期雇用労働者には、通常の労働者と同一の教育訓練を実施しなければならない

また、

  • 職務の内容に一定の相違がある場合においては、その相違に応じた教育訓練を実施しなければならない

という解釈になります。 

同一労働同一賃金ガイドラインには、派遣労働者の待遇について「問題となる例・ならない例」が解説されているので、対応の際の参考にされてみてください。

参考:厚生労働省「同一労働同一賃金ガイドライン

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ABOUTこの記事をかいた人

HM人事労務コンサルティング 丸山博美

起業したての小さな会社支援を得意とする社労士事務所、HM人事労務コンサルティング代表・丸山と申します。 創業当初の事業主様に不足しがちな「経験」「人脈」「知識」を、 社会保険労務士という立場からサポートいたします。 労務関連の手続きやご相談、就業規則作成、助成金申請・・・等々、どんなことでもお気軽にご相談ください!東京はもちろん、日本全国からのご依頼に対応させていただきます。