タイムカード 押し忘れた!?給与は支払われる?対処・予防策・勤怠管理方法について

「タイムカード押し忘れ問題」は、タイムカードを活用している事業所やアルバイトの多い店舗等ではよく起こるのことではないでしょうか。タイムカードを押し忘れた場合、勤怠集計はどうすれば良いのか?欠勤扱いにしてはいけないのか?対処法や今後の予防策は? そのような疑問に対して詳しくご説明していきます。

■従業員がタイムカードを押し忘れた場合の対処

タイムカード 押し忘れた=欠勤 は違法

実際に勤務をしていたにもかかわらずタイムカードを押し忘れたというだけで欠勤扱いにすることはできません。労働基準法第二十四条に抵触してしまいます。

労働基準法 第二十四条 
賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。(以下略)

また、従業員の労働時間を把握する義務は、使用者側(会社側)に課せられています。
2019年4月1日からの施行させた働き方改革によって労働基準法や関連法の改正により、各企業や事業者に「従業員の労働時間の把握」が義務化されました(長時間労働の実態を把握し、面談の実施、業務分担を検討等の是正措置を取る必要があるため)。

労働安全衛生法 第六十六条の八の三
事業者は、第六十六条の八第一項又は前条第一項の規定による面接指導を実施するため、厚生労働省令で定める方法により、労働者(次条第一項に規定する者を除く。)の労働時間の状況を把握しなければならない。

タイムカードは、あくまでも、労働時間把握のための客観的な記録として用いられているツールにすぎません。従業員が打刻を忘れていたとしても、会社側に労働時間把握義務がある以上、タイムカードを押し忘れたからと言って欠勤扱いにすることはできません。

タイムカード 押し忘れた場合の対処方法は?

打刻漏れを長期間放置していると従業員自身も出退勤時間を思い出せなくなるため、日々打刻状況を確認をしつつ、打刻漏れやミスを出来るだけ早く対応する必要があります。タイムカードの押し忘れが発生した場合には速やかに本人に伝え状況確認を行なった上で訂正を行わなければなりません。

打刻漏れをその都度チェックはしていたが、それでも給与計算に伴う集計時に打刻漏れが発覚した場合、労働時間把握の義務がある会社側は、一方的にみなし労働時間(所定労働時間の8時間など)と決めつけて集計することはできません。本人に確認し、同意を得た上で処理しましょう。

タイムカード 押し忘れに伴う減額について規定整備は可能?

タイムカードを押し忘れた、打刻をしていなかったからと言って、欠勤として1日分の賃金額を控除することはできませんが、就業規則に規定が定められている場合であれば、それに基づき減給することは可能です。
就業規則の中に、タイムカードを押し忘れた場合などの減給に関する規定を定めておくと、1回の打刻漏れの場合は1日分の平均賃金の半額を、複数回の打刻漏れがある場合は一賃金支払期におけるの賃金総額の10分の1の金額を上限に減給することができるため、その範囲内で減額をするのであれば違法になりません。

労働基準法 第九十一条 
就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。

なお、「タイムカードを押し忘れた場合などの減給に関する規定」を具体的に記載していない場合でも、懲戒事由の項目に「会社の定める諸規則に従わない場合」などの記載があれば、タイムカードの押し忘れ・打刻漏れに対しても懲戒処分が可能です。

法律上可能ではありますが、懲戒処分をする際には、予め処分事由と内容・程度を、就業規則や労働契約に定めた上で、それを労働者に事前に知らせておく必要があります。処分の際には、規定に従って、本人に弁明の機会を与える等の適正な手続きを踏んで処分されます(処分の内容が重すぎる場合等には、処分が無効になることもあります)。

単純なタイムカードの押し忘れだけであれば厳重注意に留め、押し忘れが続くようであれば反省文を提出させ、それでも改善されない・故意に申請をしていない場合などは懲戒処分を検討した方が良いでしょう。

■タイムカード 押し忘れさせないための予防策

明日からでも実践できる押し忘れ予防策4選

タイムカードを押し忘れた場合、上記のように給与を適切に支払う必要がありますが、面倒な対応は極力避けたいというのが給与計算担当の本音。そもそもタイムカードを押し忘れさせないための予防策を実施していきましょう!

押し忘れ予防策① 環境の改善

声掛けやリマインド等の人の注意力に頼る対策よりも「タイムレコーダーを押さなければ就業できない」というような環境の改善をまずは実施しましょう。最も効果的な対策は、タイムレコーダーの設置場所を見直すことです。出退勤時の混雑を避けるためには、設置場所を慎重に検討する必要がありますが、職場の出入り口から就業場所までの動線上に設置することで、タイムレコーダーを押さなければ就業できない状況を作ります。

(タイムレコーダーの場合)
・タイムレコーダーを従業員出入口や更衣室の目の前に設置
・タイムレコーダーを所属部署・事業所の出入口に設置

(ブラウザの勤怠管理アプリの場合)
・パソコンを起動させると自動的に勤怠管理アプリが起動するように設定

押し忘れ予防策② ツールの活用

張り紙などのアナログな方法や便利なリマインドツール等を活用して、打刻を忘れないようにリマインドします。「目に入る場所に張り紙を設置する」「対象の従業員には自分のスマートフォンでアラーム機能を設定してもらう」「チャット等の社内連絡ツールで、自動的にリマインドメッセージが送信されるように設定する」「ToDoリストに入力させる」など職場にあったリマインド方法を導入しましょう。

・タイムレコーダーの傍に張り紙
・業務上必ず目に入る場所に張り紙
・メールでリマインド
・チャットツール等の自動メッセージ機能でリマインド
・アラーム機能の活用
・ToDoリストに追記  他

押し忘れ予防策③ ”人”を絡めた対策

給与計算担当者だけで改善することは難しい場合も多々ありますので、周りの従業員を巻き込んで改善します。職場単位・チーム単位でタイムカードを押したかどうかを確認する担当者を決めたり(上司や現場の監督者でも可)、同僚や先輩に声がけをしてもらう手段もあります。また、反省文を書かせることで自分で改善策を考えさせることも1つの手です。

・先輩や同僚に協力してもらい声がけをしてもらう
・打刻の確認担当者を立てる
・反省文を書かせる

押し忘れ予防策④ 簡単な打刻方法に変更

タイムカードを押すことが面倒な場合、習慣付きにくく打刻を忘れることに繋がります。
近年は勤怠管理システム等が普及し、スマートフォン等の端末からの打刻、ICカードをかざす打刻、指紋認証をはじめとする生体認証での打刻など、タイムカードに変わるサービスが多数ございますので、従業員が簡単に打刻できる方法を検討してみてはいかがでしょうか。

タイムカードアプリ(勤怠管理システム)の導入

タイムカードのデメリットとして以下のような点が挙げられます。

■タイムカードのデメリット

・押し忘れや不正打刻などの人為的トラブルが起こる
・出退勤時にタイムレコーダー周辺が混雑する
・給与計算担当者の集計作業が煩雑で時間もかかる
・タイムカードそのもののコスト(備品代)がかかる
・支社や営業所が多い場合、タイムカードの郵送費がかかる
・タイムカードの保管スペースが必要で管理も面倒

タイムカードには上記のようなデメリットがあります。いっそのこと、タイムカードの押し忘れを予防するのと同時に、クラウド上で管理できる勤怠管理システム(勤怠管理アプリ)の導入を検討されてはいかがでしょうか。

■勤怠管理システムのメリット

・ログイン機能・GPS管理などにより不正打刻を防止
・自動の打刻漏れ通知も可能
・システム内で集計させるため集計作業が必要ない
・タイムカードそのもののコストや郵送費もかからない
・支社や営業所が複数あったとしても手間やコストがかからない

また、打刻方法も多様化しており、パソコンからログインをして打刻をする方法、スマートフォンやタブレット等の端末から打刻をする方法、ICカードをかざして打刻をする方法、指紋認証・顔認証などの生体認証にって打刻をする方法など、自社の運用に合わせて打刻方法を選ぶことができますので、タイムカードから勤怠管理システムへの移行もスムーズに進むと考えられます。

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■まとめ

「タイムカード押し忘れ問題」についてまとめてきました。
人を雇う以上、会社側には労働時間を把握する義務が発生しますし、タイムカードの押し忘れや遅刻のごまかしのための打刻漏れなどの人為的トラブルも発生します。たとえ、タイムカードの押し忘れがあったとしても正しく労働時間を把握し適切な賃金を支払わなければなりません。
タイムカードの押し忘れを防ぐための対策も必要ですが、コストや正確性を考慮して、アナログなタイムカードからクラウド型の勤怠管理システムへの移行も検討してみてはいかがでしょうか。

【関連記事】タイムカード・アプリ比較|保管期間等の基本情報から機械の選定ポイントまで

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