【医師の働き方改革】2024年度より導入される時間外労働の上限規制 - 原則は「年960時間」

2024年度以降、現状適用猶予の対象とされている医師にも、時間外労働の上限規制が導入されます。
今号では、医師の働き方改革に関する有識者会議において2019年春時点でまとめられた、勤務医に適用される時間外労働の上限の概要を確認しておきましょう。

医師の時間外労働時間上限は「年960時間」 一部特例として「年1860時間」の適用も

多忙極める医療の現場にも、ついに2024年4月より、時間外労働の上限規制が適用されます。
医師の時間外労働上限規制について、現状の方針では、原則「年960時間、月100時間」とする見込みとなっていますが、一部例外として「年1860時間、月100時間」の基準が設けられる方向で検討が進められています。

「年1860時間、月100時間」の特例が適用されるケースとして想定されるのは、下記の通りです。

□ 地域医療確保の暫定特例水準(B水準) ※特例適用は2035年度末まで

◎3次救急医療機関

◎2次救急医療機関のうち、
・年間救急車受入台数1000台以上または年間の夜間・休日・時間外入院件数500件以上かつ、
・医療計画で5疾病5事業確保のために必要と位置付けられた医療機関

◎在宅医療において特に積極的な役割を担う医療機関

など、地域医療確保のための必要な医療機関のうち、「労働時間短縮に十分に取り組んでいる」「労働法令違反がない」などと認められる医療機関に限定

□ 集中的技能向上水準(C水準)

初期臨床研修医・新専門医制度の専攻医や高度技能獲得を目指す医師

医師の時間外労働の上限規制 「年960時間」「年1860時間」の働き方の具体的イメージ

下記は、医師の働き方改革に関する検討会が公開する、医師への時間外労働上限規制の適用後のイメージです。
勤務間インターバル確保の徹底を図ることで、着実に就労時間の絞り込みを行うことが目指されていますが、実態として上限付の働き方が可能となるかどうか、といった点については各方面から問題視されている様です。

現状、病院の約3割、大学病院の約9割、救急機能を有する病院の約3割(救命救急センター機能を有する病院に限っては約8割)が、年間1860時間超の勤務をこなす医師を抱えているとのこと。
中には年間3,000時間近い時間外労働をこなす医師もいる中、現場では2024年4月までに早急な対応を迫られることになります。

医療現場の実態を把握すべく、厚労省が医師の勤務実態調査へ

医師への時間外労働上限規制の本格導入を前に、厚生労働省は2019年9月2日から1週間、医師の勤務実態調査を行います。
具体的には、病院や診療所など計約1万9000施設に調査票を配布し回収する方法で行い、調査結果は改正法に反映されるとのことです。

医師が時間外労働の上限規制に対応するために必要な考え方・取り組みについて、政府は上記の通り具体的な項目を示しています。
医師の労働時間短縮を考える上では、その特性上、一般企業以上の難しさがあり、工夫が必要となるでしょう。
医師の働き方改革実現に向けては様々な混乱が想定されますが、政府主導の支援が講じられる見込みとなっており、続報に注目が集まります。

本文すべての出典:厚生労働省「医師の働き方改革に関する検討会 報告書

労働時間の規制が困難とされる勤務医にも、いよいよ現実的に時間外労働の上限規制を適用するための方針が示され始めています。
現場においては対応に頭を悩ませるところでしょうが、まずは勤怠管理を徹底することで、現状把握や課題の抽出を進めてみてはいかがでしょうか?

クラウド勤怠管理システムIEYASUなら、シフト制や夜勤など複雑な勤務体系となる医療現場の勤怠管理にもしっかり対応!画面上で承認・申請作業を進めることができるので、業務効率化にもつながります。

LINEで送る

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事