「知らなかった」では済まされない!学生アルバイトに対する労務管理を総復習

厚生労働省では、毎年4~7月にかけて「アルバイトの労働条件を確かめよう!」キャンペーンを実施し、企業や学生アルバイトに対して適正な労務管理の必要性を訴えています。コンビニエンスストアやスーパー、飲食店等、学生アルバイトが多く活躍する職場も多いかと思いますが、労務管理は正しく行われているでしょうか?
今号では、正社員と比較するとつい疎かになりがちな、学生アルバイト雇用に伴い注意すべき労務管理のポイントをおさえましょう。

学生アルバイトに対する労務管理上、おさえておきたい「労働条件明示事項」と「シフト制の取扱い」

「学生アルバイトの労務管理」というと、現場では「週に数日、短時間働いてもらうだけだから、さほど厳密でなくて良いのでは?」と考えられているケースも少なくありません。しかしながら、労働者として「学生」を雇い入れること、さらに「シフト制」という特殊な勤務形態で働いてもらうことを踏まえれば、実はフルタイム勤務者以上に考慮すべきポイントがあるとも言えます。

最近ではインターネットで誰でも簡単に情報収集が行えるようになったためか、労働者である学生側の意識はひと昔前に比べると格段に高まっていると感じられます。また、アルバイト先が「ブラックバイト」であると感じられた場合、学生側がそのことを社会に発信することも容易です。学生アルバイトを多く活用する企業においては、「アルバイトの労働条件を確かめよう!」キャンペーンを契機に、今一度、襟を正す必要があるかもしれません。

アルバイトの労務管理で留意すべき5つのポイント

当該キャンペーンでは、学生アルバイト雇入れ時の重点確認事項として以下の5項目を挙げています。

◎ アルバイトを雇うとき、書面による労働条件の明示が必要です
◎ 学業とアルバイトが両立できるような勤務時間のシフトを適切に設定しましょう
◎ アルバイトに、商品を強制的に購入させることはできません
また、一方的にその代金を賃金から控除することもできません
◎ アルバイトも労働時間を適正に把握する必要があります
◎ アルバイトの遅刻や欠勤等に対して、あらかじめ損害賠償額等を定めることや労働基準法に違反する減給制裁はできません

 
参考:厚生労働省『令和4年度も「アルバイトの労働条件を確かめよう!」キャンペーンを実施します

学生アルバイトに対しても「労働条件の明示」が必要です

正社員に対しては当たり前に行われている労働条件の明示も、学生アルバイトに対してとなると徹底されていないケースは多く見受けられます。口頭ベースでざっくりと労働条件を確認し合っていたり、労働条件明示書(雇用契約書)を交付していても内容が不十分であったりする例は珍しいものではありません。

特に、短時間・有期雇用労働者に対する労働条件通知書(雇用契約書)における明示項目は、正社員とは一部異なります。以下を参考に、学生アルバイトに対する適切な労働条件の明示を徹底しましょう。

◎ 必ず明示しなければならない事項(書面による明示)

  • 労働契約の期間
  • 期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項
  • 就業の場所・従事する業務の内容
  • 始業・終業時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、交代制勤務をさせる場合は就業時転換に関する事項
  • 賃金の決定・計算・支払いの方法、賃金の締め切り・支払いの時期に関する事項
  • 退職に関する事項(解雇の事由を含む)

○ 短時間・有期雇用労働者に対しては必ず明示すべき事項(書面による明示)

  • 昇給の有無
  • 退職手当の有無
  • 賞与の有無
  • 相談窓口

△ 定めがある場合に明示しなければならない事項(書面の他、口頭の明示も可)

  • 昇給に関する事項
  • 退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算・支払いの方法、支払いの時期に関する事項
  • 臨時に支払われる賃金・賞与などに関する事項
  • 労働者に負担させる食費・作業用品その他に関する事項
  • 安全衛生に関する事項
  • 職業訓練に関する事項
  • 災害補償、業務外の傷病扶助に関する事項
  • 表彰、制裁に関する事項
  • 休職に関する事項

 
参考:厚生労働省「パートタイム労働者の適正な労働条件の確保のために

「シフト制」労働者に対する労務管理の留意点

学生アルバイトに「シフト制」を適用する現場は少なくありませんが、労働契約締結時点で労働日や労働時間を確定的に定めない特殊な勤務形態ゆえ、意図せず労使トラブルの温床となることがあります。

大原則として、学生アルバイトのシフトを組む際には、学業との両立を考慮しなければなりません。シフト作成時には労働者側の希望を聴取し、労使間で合意したシフトについて、使用者が一方的に変更することはできません。ただし、一方で「学生アルバイトがしょっちゅう急なシフト変更を申し出てきて困る」「シフト希望が、雇入れ時に聞いていた話と違う(実際には多すぎる、もしくは少なすぎる)」とお悩みの現場もあろうかと思います。このようなシフト関連の労使トラブルを回避するために、あらかじめシフトの作成・変更・設定に関わる取り扱いをルール化しておくことが大切です。


出典:厚生労働省「いわゆる「シフト制」により就業する労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項(使用者の方等向けリーフレット)

「シフト上の勤務時間分だけ」ではダメ!アルバイトの勤怠管理・賃金支払

勤怠管理の観点から言えば、アルバイトの始業・終業、休憩の時刻を1分単位で記録し、適正な賃金支払を行う必要があります。また、業務上必要な研修、当初の始業・終業予定時刻の前後に生じる準備や後片付けに要する時間も、もれなく労働時間に計上しなければなりません。

特に、シフト制で働く学生アルバイトに対しては、シフト表にある勤務時間についてしか賃金を支払わないケースを散見しますが、こうした取扱いは違法です。正社員同様、適切な勤怠管理を徹底しましょう。

打刻するだけで必要な勤怠データの収集・管理が行える無料のクラウド勤怠管理システム「ハーモス勤怠」なら、学生アルバイトでも簡単にご活用いただけます!まずはお気軽にお試しください^^

LINEで送る

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事