求人サイト運営に届け出制導入方針|2022年中に職安法改正へ

求人サイトの運営については、政府による「職業紹介事業との相違に関わる基準の明示」や「募集情報等提供事業のルールの新設」等、近年では運営に係る体制整備が進められてきたところです。そして現在、「求人サイト運営者の届け出制導入」に向けた準備が進められています。

求人サイト運営に係る届け出制導入の背景

今や就職活動の選択肢として「インターネット上の求人サイトの活用」はすっかり主流となっており、厚生労働省の調査によれば、ハローワークや民間職業紹介事業者以上に幅広く活用されていることが分かっています。一方で、求人サイトを巡っては、依然として「求人情報の記載内容と実際の労働条件との相違」等のトラブルが後を絶ちません。こうした状況を踏まえ、政府は「求人サイトの適正な運営」を確保すべく、求人サイト運営を届け出制とする方針を示しました。2022年の通常国会での職安法改正法案提出、2022年中の施行が目指されています

届け出義務の対象事業者とは?

単に情報を載せるだけの求人サイト、様々な求人サイトを横断的に検索できるサービス等、現行法で届け出や許可申請なく運営可能となっているサイト運営事業者について、新たに届け出義務が生じます
※求人及び求職の申込みを受け、求人者と求職者との間における雇用関係の成立をあっせんする「職業紹介」に関しては、現行法通り、許可申請が必要です

届け出義務の導入によって何が変わる?

届け出制の導入によって、政府は求人サイト運営事業者の名称・所在地等を適正に把握し、運営に問題のある事業者に対する助言・指導、改善命令等を円滑に実施できるようになります。
政府は届出事業者に対し、サービスに関わる定期報告、苦情処理に係る体制整備、個人情報の適正な取扱いを求める方針です。

求人サイトの適正運営を徹底しましょう!

求人サイト運営事業者の皆さんは、早ければ2022年にも導入される届出制への対応に向け、準備を進めましょう。取り組むべきは、「サイト運営が適正に行われているかどうかの確認」です。

提供するサービス内容が、職業紹介に該当していませんか?

まずは、現状のサービス内容が「職業紹介」に該当していないかをチェックします。

○ インターネットによる求人情報・求職者情報提供
情報提供事業者が、ホームページ上で求人情報又は求職者情報(いずれも事業所名、所在地、氏名、住所等個別の求人者又は求職者を特定できる情報を含むものをいい、以下単に「情報」という)を求職者又は求人者の閲覧に供すること
※これと併せて、応募又は勧誘のための電子メールの作成及び送信のための便宜を提供する等求職者又は求人者のための付加的なサービスを提供することを含む

 
ただし、以下のいずれかに該当する場合には「職業紹介」に該当するため、許可申請が必要となります

  • 提供される情報の内容又は提供相手について、あらかじめ明示的に設定された客観的な検索条件に基づくことなく情報提供事業者の判断により選別・加工を行うこと
  • 情報提供事業者から求職者に対する求人情報に係る連絡又は求人者に対する求職者情報に係る連絡を行うこと
  • 求職者と求人者との間の意思疎通を情報提供事業者のホームページを介して中継する場合に、当該意思疎通のための通信の内容に加工を行うこと
  • 情報提供事業者による宣伝広告の内容、情報提供事業者と求職者又は求人者との間の契約内容等から判断して、情報提供事業者が求職者又は求人者に求人又は求職者をあっせんするものであり、インターネットによる求人情報・求職者情報提供はその一部として行われているものである場合

参考:厚生労働省「民間企業が行うインターネットによる求人情報・求職者情報提供と職業紹介との区分に関する基準について

「募集情報等提供事業のルール」を遵守できていますか?

2018年1月1日施行の改正職安法には、求人サイト・求人情報誌等を運営する事業者に向けた「募集情報等提供事業のルール」が盛り込まれました。具体的に対応すべきは、以下の2点です。

✓ 募集内容の的確な表示等に関する事項
提供する情報が的確に表示されるよう、募集主に対して必要な協力を行うことが必要となります
募集主も、募集情報等提供事業者に必要な協力を求めるように努めなければなりません
① 以下のような募集情報については、募集主に対して募集情報の変更を依頼するとともに、募集主が依頼に応じない場合は、その募集情報の掲載を控える等、適切に対応することが必要です
また、以下に該当するおそれがあるときは、募集主に確認しなければなりません
・ 公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる目的の募集情報
・ 内容が法令に違反する募集情報
・ 実際の労働条件等と異なる内容を含む募集情報
② 募集主から承諾を得ることなく募集情報を改変して提供してはなりません

 

✓ 業務運営に関する事項
求職者の適切な職業選択、業務の改善向上を図るために、必要な措置をとるよう努めなければなりません
① 相談窓口の明確化等、苦情を迅速、適切に処理するための体制の整備及び改善向上をはかること
② 求職者の個人情報の収集、保管及び使用を行うに当たっては、指針を踏まえ、秘密に該当する個人情報の厳重な管理等、求職者の個人情報の適正な管理を行うこと
③ 募集情報等提供事業者は、募集に応じた労働者から、その募集に関し、いかなる名義でも報酬を受けてはなりません
④ 募集情報等提供事業者は、労働争議に対する中立の立場を維持するため、同盟罷業(ストライキ)又は作業所閉鎖(ロックアウト)の行われている事業所に関する募集情報の提供を行ってはなりません

 
参考:厚生労働省「平成29年職業安定法の改正について
 
サービス内容が「職業紹介」に該当するかどうか判断に迷う場合、または「募集情報等提供事業のルール」への対応にお悩みの場合には、お気軽に社会保険労務士にご相談ください。求人サイト運営の届け出制導入に向け、今一度、体制整備に取り組んでおきましょう。

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