多発する熱中症による死亡災害・・・猛暑下の「職場における熱中症予防」徹底を

全国的に、例年以上の厳しい暑さに見舞われる2022年の夏。暑さのピークを迎え、企業においてはより一層、「職場における熱中症予防」に注力する必要があります。熱中症というと、主に屋外作業で生じるものというイメージがありますが、条件さえ揃えばデスクワークでも熱中症を発症する労働者が出てきます。企業における安全配慮義務の一環として、今一度、職場環境を見直しましょう。

埼玉県では、職場における熱中症死亡災害が過去最多に

埼玉労働局の発表によると、埼玉県内の職場においては今夏、熱中症による死亡又は休業4日以上の労働災害が多発しているとのこと。とりわけ死亡災害については、2022年7月28日時点で、すでに過去最多となる3件の発生が確認されているようです。

職場において必要な熱中症対策を知る

死亡災害発生の内訳は、建設業で2件、警備業で1件となっています。埼玉県では、建設業及び警備業を中心に、全業種の事業者に対して以下の通り、熱中症予防対策の徹底を要請しています

  1. 暑さ指数(WBGT値)の測定と測定した暑さ指数(WBGT値)に応じた作業計画の変更に関すること。具体的には、休憩サイクルの変更、気温が上昇する時間の作業を避ける、作業負荷の低い作業に変更する、作業を中断する等。
  2. 水分・塩分の定期的な摂取、こまめな休憩と管理の状況確認に関すること。
  3. 作業員の健康状態の確認、異常時の措置に関すること。管理者はもちろん、作業員同士が頻繁に声をかけあい、お互いの健康状態を確認し、異変があれば、必ず作業を中断させ休憩し、体調不良者を一人きりにせず誰かが様子を確認し、体温を下げるための措置等を行うとともに、病院への搬送、救急隊の要請を行うこと。
  4. 作業員に対する教育に関すること。具体的には、雇入れ時、新規入場時、日々の朝礼等の際に、作業員に対し、熱中症の症状、予防方法、救急処置の方法等。

参考:埼玉労働局「職場における熱中症による死亡災害が多発

「熱中症予防管理者」の選任を

労働安全衛生法では、労働者の安全や健康確保などに係わる業務を担当させるために、職場規模に応じて「安全衛生推進者」「衛生推進者」「衛生管理者」等を選任する旨が定められています。これに加え、厚生労働省では、熱中症予防の推進役となる「熱中症予防管理者」の選任を推奨しています
現場においては、「安全衛生推進者」「衛生推進者」「衛生管理者」との兼任等で対応する等し、職場において必要な管理が行き届く様な体制を整えておけるのが理想です。

参考:公益社団法人東京労働基準協会連合会中央労働基準協会支部「熱中症予防管理者(指導員)研修

デスクワークでの熱中症に要注意

熱中症とは、高温多湿な環境下において、体内の水分及び塩分のバランスの乱れ、体内の調整機能の破綻が生じることを指します。たとえ屋内で仕事をしていても、節電のためにエアコンの設定温度を高めにしていて、しかも換気が不十分な状況であれば、必然的に熱中症発症条件を満たすこともあります。また、デスクワーク中はつい水分補給を怠りがちになりますが、これもまた熱中症リスクを高める要因となります。酷暑の夏、屋内においても意識的な熱中症対策が不可欠です。

5~9月は、毎年恒例「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」を実施中

例年5月から9月にかけて、厚生労働省では職場の熱中症対策を推進する取り組みとして「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」を実施しています。期間中、事業者は「初期症状の把握から緊急時の対応までの体制整備を図ること」「暑熱順化が不足していると考えられる者をあらかじめ把握し、きめ細やかな対応をすること」「WBGT値を把握してそれに応じた適切な対策を講じること」等、重点的な対策の徹底を図るべき旨が呼びかけられています。

参考:厚生労働省特設サイト「学ぼう!備えよう!職場の仲間を守ろう!職場における熱中症予防情報

熱中症対策というと、「各人で気を付けるべき問題」と捉えられがちです。ところが、職場における熱中症対策は、事業者の責任として意識的に講じるべきテーマであることを忘れてはなりません。

各地で異常な暑さを観測する今夏。今一度、御社の熱中症予防対策の見直しを行いましょう。

LINEで送る

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事