速報!2023年度地域別最低賃金|全国加重平均はいよいよ1000円台を達成

毎年夏に公開される、地域別最低賃金の改定額目安。2021年度、2022年度と、全国加重平均の上昇額は大幅な引き上げとなっていますが、2023年度にはこれらを超える過去最高の引き上げ率を達成する見込みです。今秋以降、従業員の賃金額見直しが必要となる現場が多く生じることが予想されます。

2023年度地域別最低賃金改定額のランク別引き上げ目安

2023年10月から適用予定の新たな最低賃金額の目安が、2023年7月28日開催の第 67回中央最低賃金審議会で答申されました。政府が掲げる「誰もが時給 1,000 円」への通過点となる「全国加重平均 1,000円」が、ついに実現することになりそうです。都道府県の経済実態に応じて分けられたABCDの4ランクごとに、引き上げ額の目安を確認しましょう。


参考:厚生労働省「令和5年度地域別最低賃金額改定の目安について

地域別最低賃金の全国加重平均は「1,002円」に

2023年10月より適用となる地域別最低賃金額は、このたび公開された中央最低賃金審議会での答申を受け、今後、各地方最低賃金審議会での調査審議・答申を経て、各都道府県労働局長により最終決定されます。仮に目安どおりに引上げが行われた場合、最低賃金の全国加重平均は「1,002円」です。全国加重平均の対前年比上昇額は41円、引上げ率換算では4.3%となることに鑑みれば、過去最大の引き上げが実現することとなります。


出典:厚生労働省「地域別最低賃金の全国加重平均と引上げ率の推移

地域別最低賃金の大幅引き上げを前提に、今秋に向けて従業員の賃金見直しを

地域別最低賃金の引き上げに伴い、現場においては「従業員の賃金見直し」ついて検討していく必要があります
パート・アルバイトを多く雇用する場合、最低賃金を基準に時給設定している事業場も少なくないと思いますが、このような現場では10月以降、最低賃金を下回る従業員が生じる可能性があります。特に盲点となりがちなのは、「研修期間中の時給を、通常よりも低く設定しているケース」です。この場合、研修中であっても、最低賃金を超える時給を設定しなければなりません。また、事業場内で下限となる賃金を引き上げると同時に、全従業員の時給の底上げを検討できなければ、ベテラン従業員から不満が噴出するでしょう。

日給制や月給制の賃金確認も忘れずに

地域別最低賃金は時給で示されるため、日給制や月給制の従業員への対応は意外な盲点となりがちです。
「最低賃金以上か?以下か?」の確認方法について、日給制や月給制の場合の時給換算方法については以前の記事で解説していますので、ご一読ください。
この他、固定残業代を採用している場合にも見直しが必要となりますのでご注意ください。判断に迷われる場合は、社会保険労務士にご相談いただくのが得策です。

賃金引き上げに伴い、目を向けるべき「生産性向上」

最低賃金改定への対応として、単に「従業員の賃金引き上げ」だけを行おうとするのであれば、当然のことながら限界があります。生産性向上に向けた取り組みや雇用計画の見直し等にも目を向けていくことで、継続的に賃上げしやすい環境整備に努めることが肝心です。
事業場内の賃金見直し、生産性向上に取り組む企業には、「業務改善助成金」のご活用がお勧めです。業務改善助成金は、事業場内で最も低い時間給を一定以上引き上げ、生産性向上に取り組んだ場合に支給される助成金です。

参考:厚生労働省「業務改善助成金

事業主様にお話を伺うと、ほぼすべての方が「生産性を向上したい」と考えているにもかかわらず、実際に取り組みを検討し、実践するケースはごく少数であることが分かります。背景には「時間がなくて色々と考えることができない」「課題は分かっているが、何をしたらよいか分からない」等の要因があるようです。
そんな時に役立つのが、中小企業・小規模事業者を対象にした支援情報サイト「ミラサポplus」です。助成金・補助金の利用を前提に、現場に合った取り組みを前向きに検討してまいりましょう。

参照:中小企業庁「ミラサポplus

LINEで送る

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事