「従業員エンゲージメント」とは?向上に向けた企業における取り組みと課題を考察

厚生労働省が公表した、2020年3月卒業の新規学卒就職者の離職状況によると、就職後3年以内の離職率は、新規高卒就職者が 37.0%(前年度比1.1 ポイント上昇)、新規大学卒就職者が 32.3%(同 0.8 ポイント上昇)とのこと。深刻化する採用難に加え、人材流出防止に向けた対応にも迫られる中、昨今注目される「従業員エンゲージメント」向上への取り組みが打開策となる可能性があります。

「従業員エンゲージメント」とは

「従業員エンゲージメント」とは、企業に対して従業員が抱く愛着や信頼感を表す言葉です。従業員エンゲージメントが高いほど、従業員は企業理念に賛同し、自社への貢献意欲が高い状態であると捉えます。企業における人材定着を図るためには、各人の従業員エンゲージメントを高める施策が不可欠と言えます
ちなみに、従業員エンゲージメントと似た言葉に「従業員満足度」があります。しかしながら、こちらはあくまで現在の職場や仕事等に関わる従業員各人の満足度合の指標であり、貢献意欲の程度を表す従業員エンゲージメントとは意味合いが異なる点に注意しましょう。

各社における「従業員エンゲージメント」向上に向けた取り組み

中小企業における従業員エンゲージメント関連の取り組み状況に関して、商工中金が2023年8月に実施した「中小企業の従業員エンゲージメントに関する調査」の結果を確認しましょう。
各社で行われている施策、及び各施策に対する意識をまとめたグラフをご覧ください。


「賃金の引き上げ」「ワーク・ライフ・バランスや多様な働き方の推進」への取り組みが進む一方で、必要性を感じながらも実施が進まぬ施策も見受けられます。さらに、各施策について「取組済_効果不明」の比率の高さも気になるところです。

「従業員エンゲージメント」の計測を実施している企業はおよそ3割

企業における従業員エンゲージメントの重要性は年々注目されつつあり、前項の通り、何かしらの施策を講じる企業は増えてきたように思われます。しかしながら、商工中金の調査によると、計測を実施している企業は依然として全体の約3割にとどまるとのこと。つまり、「従業員エンゲージメント向上に向けて取り組んでいるものの、これらは計測結果に基づいて検討された施策ではない」ということになります。
一方で、6割程度の企業が「現在計測なし、必要性感じる」と回答していることが明らかになっており、従業員エンゲージメント計測への関心の高さが伺えます。

出典:商工中金「中小企業の従業員エンゲージメントに関する調査(2023年8月商工中金景況調査 トピックス調査分)

「従業員エンゲージメント」向上は、計測を実施することから

従業員エンゲージメント向上のための取り組みの検討に際し、「経営陣や管理職の思い込み」が色濃く反映されるようであれば、せっかくの施策も的外れになりかねません。効果的な取り組みを講じるためには、やはり従業員エンゲージメントの計測を実施することが肝心ではないでしょうか

「自社では対応困難・・・」で諦めない

従業員エンゲージメントの計測、及びその先の施策の検討、さらに実際の取り組みを進めていく上で、どうしても問題となるのが「情報・ノウハウの不足」や「人材不足」です。商工中金の調査でも、計測の実施率は従業員規模の大きい企業ほど高いことが明らかになっています。小規模企業における「従業員エンゲージメント関連の取り組みに関心はありつつも着手できない」といった状況の背景には、「自社対応の難しさ」の問題が立ちはだかるのです。しかしながら、たとえ現場にノウハウや人手がなくても、大きな負担なく、従業員エンゲージメントの計測ができる方法というのもあります。

従業員エンゲージメント測定を効率化する「ツール」の活用

従業員エンゲージメント計測の方法としてはアンケートやヒアリング等が想定されますが、これらは「外部ツールの活用」によって効率良く進めることができます。「従業員エンゲージメント」への関心の高まりに伴い、今や計測のために活用できるツールは数多く展開されています。ここでは特定のサービスをご紹介することはいたしませんが、自社の目的や費用感、導入のしやすさ等の観点から比較検討し、適切なツールを導入できるのが理想です。

自社の強みや課題に関わる客観的データを得ることで始めて、従業員エンゲージメント向上のための施策を具体的に検討することが可能となります。改善すべき点に積極的に目を向け、「長く働きたいと思える会社」の実現を目指しましょう。

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