
従業員が、仕事中にケガをしてしまった…。
そのようことは、起きないことが一番良いですが、もし起きてしまった場合、休業補償を行わなければならない場合があります。
今号では、休業補償を行う対象の日の所定休日が含まれていた場合について解説していきます。
会社の所定休日分も支給しなければなりません
たとえば所定休日が土曜日と日曜日で、従業員が木曜日の始業直後に被災し、被災日当日から週明け月曜日まで欠勤となった場合、労災保険の休業補償給付の待期期間について、会社で支払う休業補償は所定休日も支払わなければいけないでしょうか?
この休業補償については労働基準法第76条に規定されています。
- 業務上の事由による負傷や疾病による療養のため
- 労働することができず
- 賃金をうけていない
上記要件を満たしていることが必要です。
今回のような所定休日が土曜日と日曜日で、当該従業員は木曜日の始業直後に被災し、被災日当日から週明け月曜日まで欠勤となった場合も、被災日当日から3日間について、平均賃金の100分の60の休業補償を支払うことになります。
なお、通勤災害の場合は事業主に休業補償の義務は課せられていないため支払の必要はありません。
労災の休業補償の待期期間カウントの注意
労災の休業補償の待期期間のカウントについては以下の通りになりますので、注意が必要です。
- 災害が労働時間内に発生し、所定労働時間の一部について労働することが出来ない場合 ⇒ その日が休業1日目
- 残業中に発生した場合 ⇒ 翌日が休業1日目
したがって、所定労働時間内に負傷した場合はその日を含めた3日間の待期期間後、4日目から休業補償給付が支給されます。残業時間中に負傷した場合は次の日から3日間の待期期間後、4日目から休業補償給付が支給されます。また、療養のため労働することができない状態にあれば、会社の所定休日に関係なく、暦日数で待期期間をカウントします。
労災の休業補償と健康保険の傷病手当金の待期期間との違いは?
休業(補償)給付は、「通算3日」の休業日があれば待期期間が完了します。通算ですので、休業日が連続している必要はありません。
一方、健康保険の傷病手当金では、待期期間の完了までに「連続3日」の待期期間が必要になります。待期期間は一度完了すればよく、待期期間が完了した後は、勤務日と休業日が交互にあったとしても休業した日ごとに傷病手当金が支払われます。
健康保険と労災保険のいずれの場合であっても、待期期間は、実際に勤務をしていない日であればカウントすることができ、その日が所定労働日であったかどうかは問いません。そのため、土日祝日などで会社が休みの日だったとしても、その日を待期期間としてカウントすることができます。
また、年次有給休暇を取得した場合、その日の給料は支払われることにはなりますが、実際の勤務は行っていませんのでやはり待期期間に含めることが出来ます。
困ったら専門家に相談することを検討
労務関係や助成金のことで、困ったことや具体的に聞きたいことがあれば社会保険労務士に相談してみるのも一つの方法です。
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