雇用契約時に明示すべき事項とは?

新たに社員を雇用する場合、トラブルを避けるためにも雇用契約書作成している、会社も多いかと思います。
この雇用契約書の作成は、事業主の義務ではありませんが、労働条件通知書については作成が義務付けられています。
記載する内容には重複している部分が多いため、混同しがちなものかと思いますが、厳密には異なる部分もありますので、今号では、その違い等についてまとめていきます。

雇用契約書と労働条件通知書は違います

雇用契約書の作成は任意、労働条件通知書の作成は義務であり、厳密には違いますが、記載する内容には重複する部分が多いため、労働条件通知書で明示すべき項目を記載しておけば、雇用契約書において必要な項目もカバーされることになります。

厳密には以下のように異なります。

①雇用契約書の作成は任意、労働条件通知書の作成は義務
②雇用契約書は契約という合意であり、労働条件通知書は一方的な通知である
③雇用契約書は労働契約法第4条、労働条件通知書は労働基準法第15条がその根拠
④雇用契約書は罰金なし、労働条件通知書は罰金30万円

雇用契約書 労働条件通知書
作成義務 無し あり
義務不履行
による罰則
無し あり
(罰金30)
性質 合意の証明 一方的な通知

労働者への「労働条件の明示」は、労働基準法、パートタイム労働法、労働者派遣法に基づく事業主の義務です。これらの労働関係法令により明示すべき労働条件のうち、書面で行う項目があるために「労働条件通知書」は必要なのです。

一方、雇用契約は、民法による典型契約の一つであり、書面でなくても口頭により労働者と使用者が契約内容に合意していれば成立します。そのため法的な書面による締結の義務はありませんが、後に起こり得るトラブルを防ぐ有効な手段として雇用契約書を交わしておく企業は多いでしょう。

法定に必須とされているのは労働条件通知書ですが、これは使用者による一方的な通知なので、双方で押印又は署名する労働者側も同意しているという証拠を残すことができる雇用契約書と合わせて一つの書類にすることは実務上メリットがあると言えるでしょう。必要な明示事項はこちらを参照してください。

実態に則した運用をしていきましょう

労働条件通知書が義務付けられていて、雇用契約書は任意となっていますが、実際のところ「これは聞いてない」「私はこんなことしなければならないのですか」「勤務時間や休みが聞いていたことと違うのですが」など就業が始まってから上長や人事に連絡がくることがあります。

労働条件通知書を入社前に提示した上でもこのような質問は寄せられているのです。従業員数が多い、拠点が全国にあるなど人事だけでは対応できず、拠点ごとで従業員の受け入れや入社説明を行っている事もあるかもしれません。労働条件通知書を提示すれば法律的には問題ありませんが、提示イコール内容を理解してるとは言い切れないのが実情です。

そこで雇用契約書に本人のサインを貰うということが同意の証ともなります。法律上は労働条件通知書が必須ですが、雇われる方は同意の有無に重きを置いています。法律を遵守することは企業の義務です。ですが、実態に対しての対応が出来ていないと企業運営に支障をきたします。

これからの働き方を見据えフローを改善する時期に来ている

現状の問題点や改善したい点を洗い出し、それを網羅するフローの確立が必要です。昨今は在宅勤務が推奨され、フローを見直す必要があるのではないでしょうか。今は労務管理システムも様々なものがあります。包括的に先を見据えた改善をする時期に来ているといえるでしょう。

困ったら専門家に相談することを検討

労務関係や助成金のことで、困ったことや具体的に聞きたいことがあれば社会保険労務士に相談してみるのも一つの方法です。

もしお困りのことがございましたらこちらをクリックし、どんな小さなことでもお気軽にお問い合わせください。

LINEで送る

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事