速報!2024年度「キャリアアップ助成金正社員化コース」が変わる|4つの改正ポイント

2023年11月10日に閣議決定された令和5年度補正予算案に、2024年度からのキャリアップ助成金正社員化コース拡充案が盛り込まれています。三位一体の労働市場改革の推進等の一環として示された「キャリアアップ助成金による正社員転換を希望する非正規雇用労働者の正規化促進」について、4つの改正ポイントを踏まえて確認しましょう。

2024年度から、キャリアアップ助成金正社員化コースが大きく変わる予定です

キャリアアップ助成金正社員化コースとは、有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者といったいわゆる非正規雇用労働者の企業内のキャリアアップを促進するため、正社員化の取り組みを実施した事業主を助成する制度です。数ある雇用関係助成金の中では比較的幅広く活用されている助成金であること、さらに、ここ数年たびたび改正されていることから、企業側にとっては注目の助成金制度のひとつとして知られています。

冒頭でも触れたとおり、2024年度より、キャリアアップ助成金正社員化コースが制度拡充される方針であることが分かりました。改正点について、現段階で判明している範囲で見ていきましょう(2023年11月22日時点)。

キャリアアップ助成金正社員化コース改正① 一人あたりの助成金額見直し

正社員化のさらなる促進のため、助成額が以下の通り見直されます。


現行のキャリアアップ助成金正社員化コースは、正社員転換後、従業員に対して6ヶ月分の賃金を支給した場合に、会社が57万円の助成金を受け取ることができる制度です。この点、制度拡充後は12ヵ月分の賃金支給後に「80万円」が助成される制度に生まれ変わる見込みです。大企業の場合、支給額は「60万円」となります
なお、上記は有期→正規の場合の助成額であり、無期→正規の場合は半額となります

キャリアアップ助成金正社員化コース改正② 対象となる有期雇用労働者等の要件緩和

対象となる有期雇用労働者等の雇用期間について、現行制度では「6ヵ月以上3年以内」に限定されています。この点、2024年度からは「6ヵ月以上」に緩和され、長年継続勤務している有期雇用労働者も対象とされます。 ただし、有期雇用期間が通算5年を超えた有期雇用労働者は、転換前の雇用形態を無期雇用労働者とみなし、「無期→正規」として助成対象とされる点に留意しましょう。この場合、助成金額は有期→正規の半額となります。

キャリアアップ助成金正社員化コース改正③ 正社員転換制度の規定に係る加算措置

新たに正社員化制度を導入する事業主を支援するため、正社員転換制度を新たに規定し、当該雇用区分に転換等した場合、1事業所あたり1回のみ、「20万円(大企業の場合は15万円)」が支給されます。本加算は2024年度新設措置であり、助成金支給要件に加えて加算要件を満たせば、一人目の転換時に①+③で合計100万円(大企業75万円)が助成されることになります
なお、正社員転換制度導入済み企業においても、「無期→正規」の転換制度を新たに規定した場合も同額の加算措置を受けることができます

キャリアアップ助成金正社員化コース改正④ 多様な正社員制度の規定に係る加算措置

併せて、正社員制度設計にあたり、通常の正社員だけでなく多様な正社員の選択が可能となるよう、新たに勤務地限定・職務限定・短時間正社員制度を規定し、当該雇用区分に転換等した場合の助成が、現行から以下の通り拡充されます


これにより、助成金支給要件と加算要件の両方を満たせば、一人目の転換時に①+④で合計120万円(大企業90万円)が助成されることになります。また、無期→多様な正社員の転換制度を新たに規定した場合にも、同額の加算措置を受けることができます

参考:厚生労働省「令和5年度厚生労働省補正予算案の主要施策集

2024年度に改正されるキャリアアップ助成金正社員化コースを活用しましょう

今号で解説した通り、2024年度より、企業における非正規雇用労働者の正社員転換に際しての支援がますます強化される予定です。これから正社員化を制度化しようという企業はもちろん、要件や手続きの複雑さでこれまで申請を見送ってきた企業においても、キャリアアップ助成金正社員化コースのご活用を前向きに検討されてみてはいかがでしょうか?ますます深刻化する働き手不足には、非正規雇用労働者の雇用安定や処遇改善の観点からのアプローチも有効となります。助成金申請のご相談は、お気軽に社会保険労務士までお寄せください。

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