「健康保険被保険者資格証明書」とは?健康保険証がすぐ欲しい従業員対応の実務ポイントを解説

新たな人材を迎え入れる、新年度。企業の人事労務ご担当者様であれば、社内に新入社員を迎える準備や提出書類の回収、雇用保険・社会保険関連の手続き等で忙しく過ごされていたかと思いますが、4月も下旬にさしかかるとそろそろ状況が落ち着いてくる頃でしょうか。
諸手続きを進める中では、想定外の問い合わせを受けて対応に困ることもあるでしょう。そのひとつに、「健康保険証を早く欲しい」という相談が挙げられます。

通院中の従業員への対応に、「健康保険被保険者資格証明書」の発行手続きを

社会保険手続きを担当していて、従業員から「なるべく早く健康保険証が欲しいのですが・・・」と言われたことはないでしょうか?健康保険証の交付を受けるための資格取得届は法定期限である5日以内に手続きをしていても、どのくらいの期間で健康保険証が届くかは手続き先での事務処理スピードによります。手続きが集中する3月、4月は通常よりも時間を要す傾向にあるため、特に「遅いな」と感じられることも。通院中だったり、小さなお子さんがいたりする従業員であれば、健康保険証はなるべく早く受け取りたいものです。

「健康保険被保険者資格証明書」とは?

社会保険手続きの事務処理スピードについては会社が調整できるものではありませんが、健康保険証の代わりとなる「健康保険被保険者資格証明書」の交付申請ができます。受診時にこの証明書を医療機関の窓口で提示することで、通常は一時的に全額自己負担となる医療費が、健康保険証使用時同様の負担で済むようになります

「健康保険被保険者資格証明書」交付手続き

「健康保険被保険者資格証明書」の交付を受けるためには、事業主または被保険者が「健康保険被保険者資格証明書交付申請書」を年金事務所へ提出する手続きが必要です。手続きは窓口持参、郵送のいずれでも行うことができますが、すぐに健康保険証が欲しい場合の手続きであることに鑑みれば、窓口持参が選択されるケースは多いようです。

交付申請書の添付書類は以下の通りです。

  • 申請書を窓口に持参する人の身分証明書(本人確認書類)
  • 事業所の事務担当者など事業主または被保険者以外が申請書を窓口持参する場合、「健康保険被保険者資格証明書」の受領について、事業主または被保険者の委任を受けていることが分かる「委任状」

参考:日本年金機構「従業員に健康保険被保険者資格証明書を交付するときの手続き

「健康保険被保険者資格証明書」交付申請 実務上のポイント

「健康保険被保険者資格証明書」の交付申請書作成や手続き自体に、さほど難しい点はありません。ただし、適正に交付を受けるためにはいくつか実務上の注意点がありますので、心得ておきましょう

✓ 「健康保険被保険者資格証明書」は、健康保険の被保険者または被扶養者となる方が、健康保険被保険者証が交付されるまでの間に医療機関で受診する必要がある場合に交付されるものであるため、窓口で申請理由を確認されます(「念のために」交付申請できるものではありません)

✓ 資格取得届や被扶養者(異動)届と同時に、証明書の交付手続きを行う必要があります(資格取得届提出後の交付申請は受け付けられないこともあります)

✓ 資格取得を複数人分行う場合で、一部の対象者のみ「健康保険被保険者資格証明書」の交付が必要な場合、資格取得届や被扶養者(異動)届は証明書交付を申請する人分と、それ以外の人分とで分けて作成します

健康保険証をなるべく早く、スムーズに受け取るために

この他、社会保険手続き時の基本として人事労務ご担当者様が意識すべきは、「必要書類・情報の収集をできる限り早期に行うこと」を念頭においたスケジュール管理です。担当者様ご自身が入社手続きの流れを正しく把握しておくことで、漏れのないよう、かつ迅速に手続きを進められるのが理想です。

今年度「上手くいかなかったな」という点については、来年度の課題として前向きに検討しましょう。自社での対応が難しい場合には、社会保険労務士の活用がお勧めです!

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