【なぜ教師は忙しい?】教員の長時間労働是正に向け、正しい勤怠管理を

民間企業における働き方改革が進む一方、教育現場における労働環境の是正は遅々として進まぬ現状があります。こうした中、平成30年5月18日に「学校における働き方改革特別部会(第13回)」が開催され、学校の組織運営体制に関わる具体的な論点が明示されました。その中には、「時間外勤務抑制に向けた制度的措置の在り方」が、検討事項の一つに盛り込まれています

今後は教育現場においても、例外なく「適正な勤怠管理」の徹底が求められることになります。

教員の長時間労働の原因は?

日本の“先生”は総じて働き過ぎです。実態をよく知らない人には「公務員で安定した給与を得られて、可愛い子どもに囲まれて、恵まれた職業だ」と考えられている節もあるようですが、最近では教員の過労死に関わる報道を目にする機会は確実に増えており、教員の長時間労働の実態が徐々に明らかになってきていると感じられます。

そもそも、なぜ教員は長時間労働を余儀なくされるのでしょうか?その原因は、「膨大な業務量」にあります。授業の実施とそれに伴う準備、各種行事の準備と実施、保護者会、家庭訪問、PTA、会議、研修・・・等々、一つひとつを挙げればきりがないくらいの仕事に、日々追われています。加えて、児童・生徒や保護者への対応が入ることもあり、そうなれば優先的に時間を確保することとなります。

文部科学省の調査によれば、“1週間当たりの学内総勤務時間について、教諭(主幹教諭・指導教諭を含む。)のうち、小学校は 55~60 時間未満、中学校は 60~65 時間未満、副校長・教頭のうち、小学校は60~65 時間未満、中学校は 55~60 時間未満の者が占める割合が最も高い”とのこと。

出典:文部科学省「教員勤務実態調査(平成28年度)の集計(速報値)について(概要)

労働基準法に定める法定労働時間は「週40時間」と比較すれば、教員が恒常的にいかに働き過ぎの状態であるかは一目瞭然です。厚労省が過労死ラインとするのが「月80時間以上の時間外勤務」ですが、「週60時間以上の勤務」はまさしくこれに該当することになります

教員の残業代ゼロの背景にある「給特法」とは?

とはいえ、「週60時間の労働なんて、民間企業の社員でも珍しくないよ」というお声もあるかもしれません。しかしながら、学校の先生には、これだけ働いても一切残業代が支払われないことがあるというから驚きです。

なぜそんなことが起こりえるのかといえば、その背景には「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(給特法)」の存在があります。給特法では、教員の労働にも基本的には労働基準法を適用するとしつつも、時間外労働については労基法37条の適用を除外し、「原則として時間外勤務を命じないものとする(正規の勤務時間をこえて勤務させる場合は,文部大臣が人事院と協議して定める場合に限る)」という前提のもと、「時間外勤務手当および休日勤務手当は支給しない」旨を明記しています

ただし、臨時又は緊急にやむを得ない必要のために生じる時間外労働(生徒の実習、学校行事、教職員会議、非常災害等やむを得ない場合)を想定し、「俸給月額の百分の四に相当する額の教職調整額を支給する」として、法律上、残業代相当を支払っていることになっています。もっとも、給特法が制定された1971年時点では4%の教職調整額で残業代相当がまかなえる算段だったようですが、最近の教員の時間外労働の実態は当時の働き方からはるかにかけ離れており、このことが昨今問題視されています。

参照:e-Gov「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法

ちなみに、給特法の適用を受けるのはあくまで「公立学校の教員」であり、私立学校の教員の労働時間や残業代については一般的な労働者同様、労働基準法が適用されることになっています。しかしながら、実態としては「公立校に準ずる」という学内規定を根拠に、適正な残業代支払いがされていないケースが散見されます

教員の勤怠管理、その実態は?

教員の日常的な残業や不適切な賃金支払については、すでにいくつかの訴訟で判決が下されていますが、労働者にとって不本意な結果となる例も珍しくありません。なぜそのような判決になるかといえば、その原因は主に「労働性の否定」と「不十分な勤怠管理」にあるようです。前者については、時間外勤務は教師が自主的自発的に行ったものだから 「労働」 と評価することができないという考え方、後者は、そもそも勤怠の状況が正しく把握できないという実態によるものです。

教員の勤怠管理の実態については、現状、多くの学校で「報告や点呼、目視によって管理職が把握」「出勤簿への押印」などによって行われており、厚生労働省が示す「労働時間の客観的な把握」に適う方法とは言えません。

出典:文部科学省「勤務時間管理の現状と在り方について

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