新型コロナウイルス感染拡大防止を目的に、企業においてはテレワーク制度の導入が推奨されています。東京都が従業員30人以上規模の都内企業に実施した調査によると、2020年6月時点のテレワーク導入率は57.8%とのことで、2019年度調査時の25.1%に比べ2.3倍に上昇していることが分かります。
企業におけるテレワーク制度導入が進む一方で、柔軟な働き方を許容した故に、実際の対応に頭を抱える場面が生じることも。適切な対応策を、ケーススタディで検討しましょう。
目次
テレワーク労働者が副業に従事。本業先の労務管理で留意すべきポイント
今般の新型コロナウイルス感染拡大を受けてテレワーク制度を導入した企業の中には、働き方改革の一環として、すでに社員の副業を認めているところも多いと思います。テレワーク導入の難しさのひとつに「労働者の就労実態をいかにして確認するか」がありますが、会社として副業・兼業を容認しているとなればなおのこと、本業先としては管理しておきたいと考える部分でしょう。
ここでは、副業容認企業がテレワーク制度を導入する際のチェックポイントについて、3つの留意点を解説します。
ポイント① 社内制度は整っていますか?
副業とテレワークの両方を認める場合、会社としての制度をしっかりと設計しておくべきです。
具体的には、以下の観点からの制度設計が考えられます。
✔ 特別な労働時間制度や時間単位年休を活用して、労働者が主体的に、働く時間をコントロールできるよう制度を整える
✔ 労働者を成果で評価できる人事評価や賃金制度、目標管理を適用する
✔ 誓約書等で、勤務時間中は本業の職務専念を誓約させ、副業を行わないよう、労働者に意識づけを行う
ポイント② 就労実態を確認できるシステムを導入していますか?
労働者の職務専念状況を的確に把握するために、会社側はテレワーク中の労働時間把握が可能となるような管理システムを導入しておくべきです。副業を認めるのであれば、始業・終業、休憩時間といった最低限の労働時間把握の他、在席確認や業務進捗管理の観点から、本業に従事している実態が分かるようにしておく必要があります。方法によっては、「労働者を必要以上に管理することになるのでは」と思われるかもしれません。しかしながら、正当に職務に専念していることが証明されることは、労働者側にとっての不安解消につながるという見方もできます。
ポイント③ 勤務時間中の副業従事が発覚した時の対応を検討していますか?
万が一、本業の勤務時間中に副業に従事していたことが判明した場合の対応を、会社として具体的に考えておきましょう。一般的にはまず労働者への注意・指導からとなりますが、誰がどのような方法で行うのか、従業員にどのような内容を伝えるのかを決めておきます。
注意・指導の後にもまだ状況が改善されない場合、副業許可の取消や懲戒処分が考えられますから、就業規則等にそのような可能性を盛り込んでおく必要があります。ただし、実際に副業許可の取消や懲戒処分を下すには、本業への支障の程度を十分に考慮しなければなりませんので注意しましょう。
テレワークや副業の導入と併せて考えたい「健康確保措置」
テレワークも副業も、容認する場合には企業として労働者の健康確保に努めなければなりません。健康診断結果分析と適切な指導はもちろん、異常の所見がなかった場合にも労働時間を正しく把握すること、労働者とのコミュニケーション等を通じて心の状態を理解しておくことを心がけるのが得策です。また、必要に応じて、本業と副業の間で業務量や労働時間の調整ができるよう配慮していくことになります。
本業先としては、万が一、労働者の健康状態に何かあった際に「知らなかった」では済まされません。テレワークや副業に関わるガイドラインを参考にしながら、適切な体制を整備しましょう。
参考:
厚生労働省「テレワークにおける適切な労務管理のためのガイドライン」
厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」
無料のクラウド勤怠管理システム「IEYASU」なら、テレワークや副業の労働時間管にも万全対応!今、求められる「多様な働き方」の労務管理をサポートします♪