労働基準法では、労働者の健康管理や正しい賃金支払のために、使用者に対して労働時間の適正な把握を義務付けています。現状、「全く勤怠管理をしていない」という会社はごく稀ですが、勤怠管理の方法が適切でないケースは意外と多くの現場で見受けられます。
新年度から正しい勤怠管理を行える様、今一度、これまでのやり方を見直しましょう。
目次
勤怠管理とは?すべての労働者について労働時間を把握が必要
正しい勤怠管理とは、労働時間を適正に把握することを指します。法定三帳簿のひとつである「出勤簿」には労働者各人について以下の項目を記載する必要があり、これらの情報を日々の勤怠管理で把握しなければなりません。
- 出勤日と労働日数
- 出社・退社時刻
- 日別の労働時間
- 欠勤した日の日付
- 遅刻・早退した日の日付・時間数
- 時間外労働・休日労働を行なった日の日付
- 時間外労働・休日労働を行なった時刻・時間数
- 深夜労働を行なった日の日付
- 深夜労働を行なった際の時刻・時間数
また、2019年4月1日から始まった年5日の有休取得義務に伴い、「年次有給休暇の付与・取得状況の把握」も勤怠管理上、重視しなければなりません。使用者には「出勤簿」に加え、「有休管理簿」の作成も義務付けられています。
「管理職」の勤怠管理も必要です
実務上「管理職に勤怠管理は不要」というお声を耳にすることがありますが、この認識は誤りです。
確かに、労働基準法上は「労働基準法第41条に定める者(※)及びみなし労働時間制が適用される労働者」を労働時間の適正な把握を行うべき対象労働者から除外しています。しかしながら、2019年4月の働き方改革関連法令の施行を受け、過重労働防止の観点から、厚生労働省のガイドラインは、使用者には「労働基準法第41条に定める者(※)及びみなし労働時間制が適用される労働者」についても適切な勤怠管理を行う責務があるとしました。
※労働基準法第41条に定める者
- 農林水産業に従事する者(林業は除きます)
- 管理監督者
- 監視業務や断続的な業務で、労働基準監督署から許可を受けた者
「労働時間」の定義を再確認
勤怠管理に取り組む上では、「労働時間」として扱うべき時間を使用者が正しく認識している必要があります。厚生労働省のガイドラインによると、労働時間について以下の説明があります。
労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間のことをいい、使用者の明示又は黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は労働時間に当たる。
こうした定義を元に、労働時間に該当するか否かを個別具体的に判断します。打刻ファーストでは、どのような時間が労働時間として取り扱われるかを解説していますので、参考にしてみてください。
参考記事:『【弁護士が教える】労働時間とは?~どのような場合が労働時間となるのか~』
勤怠管理は、ストレスフリーな「クラウド」一択!
労働時間把握の原則的な方法は、
- 使用者が、自ら現認することにより確認すること
- タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録すること
とされています。使用者が全ての労働者の出退勤、休憩の取得状況を逐一確認することは現実的に困難ですから、企業においては②の「客観的な記録を基礎として確認・記録する」方法を採用することになります。
タイムカードでの勤怠管理は簡単だが、集計・保管の問題あり
打刻機にカードを差し込むだけで勤怠の記録が行われるタイムカードは、労働時間の客観的記録を残す方法としては最も簡単な勤怠管理です。しかしながら、企業側にとっては毎月の集計やカードの準備に手間がかかったり、保管に場所をとったり等がネックとなることもあります。
また、タイムカードにはあくまで「記録」しか残らないため、時間外労働が法定の上限を超えていないか、休日を確保できているか等、会社が労務管理上確認すべき事柄については別途情報をまとめて分析する必要があります。加えて、勤怠データを読み込む上では、当然、担当者が最新の労働関係法令に精通していなければなりませんが、中小企業においてはこうした専門人材の確保も容易ではありません。
クラウド管理なら、勤怠の確認、分析、法令遵守が実現
その点、クラウドの勤怠管理システムを活用することで、膨大な集計作業やタイムカードの準備が不要となる他、保管場所を検討する必要もなくなります。また、データの収集だけでなく、勤怠状況の分析が可能となる、勤怠の法令遵守状況を確認しやすくなる等のメリットが期待できます。もちろん、システムが最新の労働関係法令に対応した上で分析してくれるので安心です。
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