2023年度新設!時間外労働の上限規制猶予事業・業務で活用可能な「働き方改革推進支援助成金(適用猶予業種等対応コース)」

現状、時間外労働の上限規制の適用猶予対象とされている建設業等においては、2024年4月からの適用開始に向け、目下、労働時間削減に向けた取り組みが進められています。こうした背景で、現場の長時間労働解消を後押しすべく、政府は2023年度に「働き方改革推進支援助成金(適用猶予業種等対応コース)」を新設予定であることが明らかになりました。2022年9月30日時点では助成制度詳細について公表されていませんが、まずは概要を確認しておきましょう。

2023年度新設「働き方改革推進支援助成金(適用猶予業種等対応コース)」


出典:厚生労働省「令和5年度厚生労働省予算概算要求の主要事項

「働き方改革推進支援助成金(適用猶予業種等対応コース)」とは、時間外労働の上限規制の適用猶予事業・業務への労働時間短縮等に向けた支援として、就業規則の作成・変更や労務管理用機器の導入・更新等の労働時間短縮に必要な取り組みを行った事業主に対する経費助成制度です

対象となる事業・業務

時間外労働の上限規制の適用猶予とされる事業・業務
具体的には、建設事業、自動車運転の業務、医業に従事する医師、鹿児島県及び沖縄県における砂糖製造業
※2024年度以降も上限規制の適用除外とされる「新技術・新商品等の研究開発業務」は助成金の対象外

助成対象となる取組み

労働時間短縮や生産性向上に向けた取り組みが幅広く対象となります
取り組みの具体例:就業規則等の作成・変更費用、研修費用(業務研修を含む)、外部専門家によるコンサルティング費用、労務管理用機器等の導入・更新費用、労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新費用、人材確保等のための費用等

助成率

助成率は対象となる経費の3/4
ただし、事業規模30名以下かつ労働能率の増進に資する設備・機器等の経費が30万円を超える場合は4/5
助成上限額は、事業・業務ごとに定める成果目標の達成状況に応じて設定(上図参照)

猶予対象事業・業務における、2024年4月以降の時間外労働の上限規制適用内容

現状、時間外労働の上限規制の適用が猶予されている事業・業務では、2024年4月より、以下の通り適用を受けることとなります。

出典:厚生労働省「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説

医師に対する時間外労働の上限規制の内容

医業に従事する医師に適用される時間外労働上限については、以下の記事で解説していますのでご確認いただければと思います。

関連記事:『【医師の働き方改革】2024年4月から適用となる「医師の時間外労働上限規制」|キーワードは「月100時間」「年960時間」、特例水準として「年1860時間」

建設業は原則通りの適用に

建設業は、原則として以下に挙げる一般的な上限規制の対象となります。

◎ 時間外労働の上限は原則として月45時間・年360時間
臨時的な特別の事情がなければこれを超えることができない
◎ 臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合(特別条項)でも、以下を守らなければならない
□時間外労働が年720時間以内
□ 時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満
□ 時間外労働と休日労働の合計について、「2ヵ月平均」「3ヵ月平均」「4ヵ月平均」「5ヵ月平均」「6ヵ月平均」が全て1月当たり80時間以内
□ 時間外労働が月45時間を超えることができるのは年6ヵ月まで

 

2024年度からの適用に先立ち、前倒しでの対応を求めるべく、一般社団法人日本建設業連合会は2022年3月時点で会員企業に対し、法定の上限規制と同じ「720時間以内」の目標を2023年4月時点での達成目標へと修正し、取り組みの更なる促進を呼びかけています。

参考:一般社団法人日本建設業連合会「時間外労働削減ガイドライン

関連記事:『2024年4月より建設業で適用される時間外労働の上限規制!進まぬ労働時間削減への指針が公開に

長時間労働の是正は一朝一夕で達成できるものではありませんが、現場に合った取り組みを、少しずつでも着実に進めてまいりましょう!助成金活用のご相談は、お気軽に社会保険労務士までお寄せください。
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