【医師の働き方改革】2024年4月から適用となる「医師の時間外労働上限規制」|キーワードは「月100時間」「年960時間」、特例水準として「年1860時間」

現在、各企業において進められている時間外労働の上限規制への対応。現状、医業等の一部業種では適用が猶予されていますが、施行に向けて着々と準備が進められています。かねてより議論されてきた医業に従事する医師の時間外・休日労働の上限については省令案がまとめられ、2021年11月23日までパブリックコメントによる意見募集が行われているところです。

「医師の時間外労働上限規制」のポイント

医師の時間外労働上限規制については既に以前の記事で解説していますが、公開された省令案を元に、改めて概要をまとめておきましょう。

一般的な医業に従事する医師の時間外労働の上限水準(A水準)

  • 原則は、1ヵ月について「45時間」、1年について「360時間」
  • 臨時的な必要がある場合に限り、1ヵ月について「100時間未満」かつ「1年について960時間」
    ※時間外・休日労働が1ヵ月について100時間以上となることが見込まれる者については、36協定に面接指導を行うこと等を定めた場合に1年について960時間とする
  • 一般労働者について一定の時間を超えて労働させる場合に求められている健康福祉確保措置に加えて、厚生労働大臣が定める要件に該当する面接指導を行うこと等を36協定に定める

地域医療確保の暫定特例水準(B水準・連携B水準)

特例適用は2035年3月31日まで。以降はA水準適用とすることを目標に施行後3年ごとに見直しを行う

  • 36協定に定めることのできる時間外・休日労働の上限時間を、1ヵ月「100時間未満」1年「1,860時間」とする
    ※連携B水準の指定のみを受けた医療機関の時間外労働上限は「年960時間」
    ※時間外・休日労働が1ヵ月について100時間以上となることが見込まれる者については、36協定に面接指導を行うこと等を定めた場合に1年について1,860時間とする
  • 一般労働者について一定の時間を超えて労働させる場合に求められている健康福祉確保措置に加えて、面接指導を行うことや連続勤務時間制限と勤務間インターバルの確保等を36協定に定めることとする

集中的技能向上水準(C水準)

  • 36協定に定めることのできる時間外・休日労働の上限時間を、1ヵ月「100時間未満」1年「1,860時間」とする
    ※時間外・休日労働が1ヵ月について100時間以上となることが見込まれる者については、36協定に面接指導を行うこと等を定めた場合に1年について1,860時間とする
  • 一般労働者について一定の時間を超えて労働させる場合に求められている健康福祉確保措置に加えて、面接指導を行うことや連続勤務時間制限と勤務間インターバルの確保等を36協定に定めることとする

面接指導の要件について

  • 管理者が、事前に面接指導の対象となる医師(以下「面接指導対象医師」)の睡眠の状況等を確認した上で、1ヵ月について時間外・休日労働時間が100時間に達するまでの間に行われること
    ※ただし、A水準の対象となる医師については、疲労の蓄積が認められない場合は、時間外・休日労働時間が100時間に達するまでの間、100時間以上となった後に遅滞なく行われること
  • 面接指導を実施する医師(以下「面接指導実施医師」)が一定の講習を受講していること等の要件に該当すること
  • 面接指導実施医師が、管理者から、面接指導対象医師の労働時間に関する情報その他の面接指導を適切に行うために必要な情報の速やかな提供を受けていること
  • 面接指導実施医師が面接指導対象医師の勤務の状況等について確認を行うものであること

参考:e-Gov「労働基準法施行規則の一部を改正する省令案、医療法第百二十八条の規定により読み替えて適用する労働基準法第百四十一条第二項の厚生労働省令で定める時間等を定める省令案及び労働基準法施行規則第六十九条の三第二項第二号の規定に基づき厚生労働大臣が定める要件(案)に関する御意見の募集について

各水準の定義について

以上の解説に登場する「A水準」「B水準」「C水準」については、以前の記事をご参照ください。「連携B水準」はこのたび新設された区分で、「大学病院や地域医療支援病院等のうち、医師の派遣を通じて、地域の医療提供体制を確保するために必要な役割を担う医療機関」を指します。指定を受けた医療機関で対象業務に従事する医師は、派遣先との通算で「年1860時間」の上限が適用されます(ただし、連携B水準の指定のみを受けた医療機関の時間外労働上限は、あくまで「960時間」となります)。

医師に対する時間外労働の上限規制適用が、着実に迫っています。改正法対応にあたり、まずは「労働時間」に対する労使双方の大きな意識改革が必要となることはもちろんですが、勤務体制の整備に際しては「現状の労働時間を適正に把握すること」が第一歩となります

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