2024年4月より建設業で適用される時間外労働の上限規制!進まぬ労働時間削減への指針が公開に

2019年から本格的に動き出した働き方改革の柱といえば、「時間外労働の上限規制」。現在、上限規制の適用が猶予されている一部の事業・業務でも2024年4月より適用となるとあって、猶予対象事業・業務で労働時間削減に向けた動きが徐々に加速しています。今号では、猶予対象事業のうち「建設業」における上限規制対応の指針について、2022年3月下旬に改定された内容を確認しましょう。

建設業では2023年度より前倒しで「時間外労働の上限規制」に対応へ

現在、時間外労働の上限規制の適用が猶予されている建設業でも、2024年4月以降、上限規制が適用されることになります(※)。これに先立ち、建設業界では、政府が時間外労働の上限規制を含む「働き方改革実行計画」を決定した2017年内より「時間外労働の適正化に向けた自主規制目標」を定め、「働き方改革推進の基本方針」を元に段階的に労働時間削減に取り組んできました。その結果、2019年度には前年比で改善が見られたものの、その後は時間外労働削減に向けた取り組みが進まぬ状況が続いています。

時間外労働の上限規制適用まで、残すところおよそ2年。更なる取り組みの強化を図るべく、2017年に定められた「時間外労働の適正化に向けた自主規制目標」の改定が行われ、時間外労働削減ガイドラインが公開されました。

※ ただし、災害の復旧・復興の事業に関しては、時間外労働と休⽇労働の合計について、「月100時間未満」「2~6ヵ月平均80時間以内」とする規制は適用されない予定です

改定された「時間外労働の適正化に向けた自主規制目標」とは

2022年3月に一般社団法人日本建設業連合会より示された「時間外労働の適正化に向けた自主規制目標」では、新たに「目標の前倒し」「フォローアップ調査実施強化」が盛り込まれました。

目標の前倒し

上限規制適用となる2024年度の前年である2023年度を試行期間と定め、改正法(特例)と同等の以下の条件を達成することを目標とする。

✓ 時間外労働が年720時間以内
✓ 時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満
✓ 時間外労働と休日労働の合計について、2~6ヵ月それぞれの平均がすべて1ヵ月あたり80時間以内
✓ 時間外労働が月45時間を超えることができるのは、年6ヵ月まで

上限規制の適用を見据えたフォローアップ調査の実施

「会員企業労働時間調査」において、上限規制の適用を見据えた以下の基準を設定し、達成状況をフォローアップする。また、従来は年単位で実施している調査を、労働委員会委員会社については半年ごとに実施する。

① 全社員(管理監督者・非管理監督者)年960時間(2021年度)、840時間(2022年度)以内
(自主規制目標に定められたその他条件も含む)
② 非管理監督者 年720時間以内(その他特例条件も含む)
③ 全社員(管理監督者・非管理監督者)年720時間以内(その他特例条件も含む)
④ 全社員(管理監督者・非管理監督者) 年360時間以内、月45時間以内

 

出典:一般社団法人日本建設業連合会「時間外労働削減ガイドライン 2022 年3月 23 日

時間外労働の上限規制対応のカギとなる「週休二日推進活動」

同ガイドラインでは、建設業が時間外労働の上限規制に対応するためのポイントとして、時間外労働の削減と週休二日推進を両輪とした一体的な取り組みが不可欠であることに言及しています

建設現場で土曜日が作業日となっているケースまだまだ多いですが、これが恒常的となると単純計算で32時間(8時間×4日)の時間外労働が発生することになります。時間外労働の上限規制では原則として月45時間、特別条項を締結しても月45時間を超えられるのは年6ヵ月までとされていますから、土曜日の作業を前提とすると、上限規制への対応が困難となります。この点に鑑み、4週8閉所をいかにして実現するかが課題であり、取引慣習の是正を含めて業界全体として取り組んでいく必要がありそうです。

 

時間外労働の上限規制対応には、無料のクラウド勤怠管理システム ハーモス勤怠 by IEYASUのご活用が便利です!勤怠状況を可視化できるので、従業員の働き方の見直しに役立ちます♪さまざまな働き方に合わせた打刻方法をお選びいただけるので、建設業にもお勧めです!

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