小さな会社が活用すべき「週44時間」特例!特例措置対象事業場は届出なしで適用可能

法定労働時間の原則といえば「1日8時間、週40時間」ですが、週の法定労働時間については特例的に「44時間」の上限が認められるケースがあります。対象となる少人数の事業場においては、必要に応じて本特例を上手く活用し、労働時間管理に役立ててまいりましょう。

週の法定労働時間の上限が「44時間」となる特例措置対象事業場とは?

まずは、一週間の法定労働時間44時間の特例を適用できる特例措置対象事業場となるための2つの要件を正しくおさえておきましょう

要件① 常時10人未満の労働者を使用すること

「常時10人未満」とは、「常態として労働者が10人に満たない」という意味です。
一時的に労働者の数が10人以上になることがあっても、通常の労働者数が10人に満たない状況であれば該当します。一方で、通常は10人以上の労働者を使用する事業場で、一時的に10人未満となった場合でも、特例措置対象事業場とはみなされません。なお、ここでいう「労働者」には、パートタイム労働者も含みます。

要件② 特定の業種に該当する事業場であること

・商業     :卸売業、小売業、不動産業、理容・美容業、出版業(印刷部門を除く)等
・映画・演劇業 :映画の映写、演劇、その他興業の事業(映画の製作の事業を除く)
・保健衛生業  :病院、医院、診療所、保育所、児童養護施設、児童福祉施設、老人福祉施設等
・接客娯楽業  :旅館、飲食店、ゴルフ場、公園・遊園地、その他の接客娯楽業

特例措置対象事業場について規定した条文は労働基準法施行規則第25条の2を、対象業種に関しては労働基準法別表第1をご確認いただくと分かりやすいと思います。

参考:
e-Gov「労働基準法施行規則(昭和二十二年厚生省令第二十三号)
e-Gov「労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)

さらに、労働基準法別表1の内容をより具体的にし、各業種区分を明確にしたものが、以下の「業種区分一覧表」です。自社が対象業種であるかどうかのご確認にお役立ていただけます。

参考:日本法令「業種区分一覧表

特例措置対象事業場に認められる、「週44時間」の活用事例

前項で解説した2要件、「常時10人未満の労働者を使用すること」「特定の業種に該当する事業場であること」を満たす事業場においては、週法定労働時間の上限として「44時間」を適用できます。各日について、具体的な勤務パターンを考えてみましょう。

週6日勤務のパターン

例えば、「月~金の平日5日を8時間勤務、土曜日を4時間の半日勤務」とする週6日勤務が可能になります。
各勤務日の労働時間に差をつけたくない場合、「月~土 各日7時間20分勤務」というケースが想定されます。このように、1日の労働時間を8時間以内に抑える形であれば、勤務日を増やすことで週44時間の勤務パターンを検討することになります。1日あたりの労働時間を8時間以内とする週6日勤務の場合、届け出は不要です。

週5日勤務のパターン

一方で、「勤務日数を変えるのではなく、1日あたりの労働時間を延長したい」というケースもあるでしょう。ただし、特例措置適用対象事業場で延長が可能なのはあくまで「週」の法定労働時間であり、「日」あたりの法定労働時間はあくまで8時間であることに留意する必要があります。そのため、1日あたりの労働時間が8時間の上限を超える場合、常に時間外割増賃金が発生することになってしまいます。
ここで注目したいのが、「1ヶ月単位の変形労働時間制」です。1ヶ月単位の変形労働時間制を活用することで、1ヶ月以内の期間を平均して1週間当たりの労働時間が44時間以内となるように、労働日および労働日ごとの労働時間を設定することにより、労働時間が特定の日に8時間を超えたり、特定の週に44時間を超えたりすることが可能になります。
1ヶ月単位の変形労働時間制の考え方については、以下のページでご確認いただけます。労使協定の締結・届出、就業規則等への規定、周知の他、制度運用にあたっての様々な注意点に留意する必要がありますので、導入時には労務管理の専門家である社会保険労務士にご相談いただくのが得策です。

参考:厚生労働省「1箇月単位の変形労働時間制導入の手引き

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