カスタマーハラスメント対策~顧客・取引先等に対する対応

ハラスメントには、パワハラ・セクハラ・マタハラ等様々ありますが、その中でも今多くなっているのが、カスタマーハラスメント(以下カスハラという)です。そこで、カスハラについて企業としてはどのような対策を講じるべきか解説します。

カスタマーハラスメント(カスハラ)とは

カスハラとは、顧客や取引先などが、上から目線で話すことやささいなことでもクレームにしがちなことを言います。相手が大事な顧客や取引先などのため強い対応ができないというジレンマを抱えているのではないでしょうか?
しかし、大切なのは顧客や取引先などではなく、自社の社員です。自社の社員がカスハラを受けて心の健康を害した場合、その責任は「使用者責任」「職場環境配慮義務違反」で雇用している会社にふりかかってきます。どの会社も営業等を担っている社員を守るために、カスハラについて早急に対応を考えることが必要です

カスハラの現状

カスハラの被害者は、多くの場合心の健康を害してしまいます。その結果、二度と顧客や取引先などに行けなくなってしまうのです。加害者のところに行くことだけでなく、外に出て仕事をすることができなくなります。顧客や取引先に行こうとすると、気分が悪くなったり頭が痛くなったりしてしまうのです。そのため、外に出ていく仕事ができなくなり、内勤の仕事しかできなくなります。つまり、被害者である社員の仕事の幅が狭められ、能力を発揮する機会を失ってしまうのです。このような例は、数多くあります。裁判に持ち込まれなくても、話し合いで会社が和解金を支払ったケースもあります。

カスハラの被害者の早期発見早期対応

カスハラの被害に合っている社員に対しては、早期発見早期対応が基本です。営業先から帰社した社員がいつもと様子が違う場合は、上司として注意をして下さい。「○○さんは嫌い、訪問するのが苦痛」とグチっている社員は大丈夫です。声をだしてグチることでストレスを発散することができます。しかし、黙ったまま元気がない場合は、様子を観察します。「××さんのことを考えると頭が痛い、気分が悪くなる」というようになった場合には、××さんから担当を外しましょう。このような時に「嫌なお客はいるもんだ。誰でもがまんしている」と無理をして続けさせると、本当の病気になってしまいます。

カスハラ対策

1.数年おきの担当変え

実は今、営業がメインの会社では、担当を頻繁に変えることを行っています。社員は、自分から「△△さんの担当を変えて下さい」とは言えません。そこで、2~3年おきに担当を変えることをしています。引継ぎをしっかりすれば大きな混乱もないでしょう。

2.会社としての対応の徹底

カスハラに対する会社としての対応を明確にして、社員一人ひとりに指導します。理不尽な担当先に対しては、自分の意見を言わずに会社に戻ってから対応を相談することを徹底します。担当先からささいなクレームを言われて土下座を強要された社員が、たった一度にかかわらず心の健康を害したケースもあります。

3.相談窓口の活用

パワハラ防止法が全企業に施行され、ハラスメント相談窓口の設置が義務となりました。しかし、実際には相談が全くないという企業が多いのではないでしょうか?「相談がない=ハラスメントがない」ではなく、「相談がない=相談しにくい」のが現状です。そこで、どんな相談にものること、そして相談担当者を紹介して誰でもどんなことでも相談できる窓口を全社員に周知します。実は、相談窓口がよく利用されるかどうかは、相談担当者にかかっているといっても過言ではありません。よく問題になるのが、「担当者がいばっている」「人の話を聴かないで意見を言う」「セカンドハラスメントを受けた」というものです。担当者は人事ではなく、社員に信頼されている方にお願いするのがよいでしょう。

4.上司による声かけ

社員は、自分から「相談したいことがあります」とか「最近体調がよくない」とか言えないものです。そこで、上司による声掛けをすることで、悩みを軽減することが可能となります。「最近、元気がないけれど、何か困っていることがあるのかな?」「よく眠れている?」など体調を気遣ってください。それにより会話が続き、相談に至ることも多いものです。

まとめ

カスハラは、いくら社員に対するハラスメント研修を行って注意喚起を促しても、会社の外でのことなので難しいものがあります。上司は、部下一人ひとりに声掛けを行って、仕事の進捗管理だけでなく体調管理も気遣うことが肝要です。

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