有期で雇用する場合の注意点|期間中に解雇または退職できるのか?

最近は、非正規の社員が増えています。なぜなら、正社員であれば定年まで雇用しなければなりませんが、非正規社員であれば会社の仕事量に合わせて雇用の調整が可能だからです。ただし、有期だからこそ、気を付けて欲しいポイントがあります。この記事では、いくつかあるポイントの中から一番重要なポイントについて説明します。

有期雇用とは

正社員の雇用は定年までですが、パートやアルバイトまたは契約社員、嘱託社員と呼ばれている非正規社員は、有期雇用が一般的です。短くて3ヶ月、半年や1年などその期間は様々です。普通は、1年の有期契約を更新して働き続けている労働者が多いようです。ただし、法律改正で5年ルールが適用され、5年目になる契約更新時に本人が希望すれば無期雇用にしなければならないという義務が会社にあります。そのため、5年目の契約は更新しないと始めから決めている会社もあるほどです。

有期雇用契約について

パートやアルバイトなどを雇用する時に、「労働条件通知書兼雇用契約書」などを交わします。口約束でも構わないのですが、後々問題が生じるケースがあるので、紙ベースで残しておくとよいでしょう。「労働条件通知書」は、「あなたをこの条件で雇います」という会社側の書面であり、「雇用契約書」は、「〇~〇の期間雇用を約します」「〇~〇の期間働くことを約します」という契約の書面です。この2つが1つになったものが「労働条件通知書兼雇用契約書」です。雇用契約書は契約書なので、違反すると契約違反となります。

この契約書で重要な箇所は、期間です。例えば雇用期間が、「〇年4月1日~○年3月31日」の1年であれば、この期間中会社は雇用をし続け、労働者は働き続けなければなりません。途中で辞めさせたり、辞めたりすることは契約違反であり、損害賠償が発生する可能性があります。

会社が契約期間中に解雇した場合

基本的に契約期間中は雇用の義務があるので、解雇はできません。期間の途中で解雇すると、労働者が残りの期間の賃金の支払いを求めてくるのが普通です。ここで支払わないと裁判になることも。しかし、解雇に正当な理由があれば、契約期間中でも解雇が認められる可能性が高くなります。

以下は裁判において労働者の勤務態度が相当な解雇理由とされたケースの一部です。

  • 会社の方針や指示に従わずに自分本位な仕事の進め方
  • 仕事に対する投げやりな態度
  • 日頃、同僚に対して挨拶をせず、口をきかない

ただし、勤務態度についての証明責任は、会社側にありますので、指導した日時などは記録して証明しなければなりません。上司は、勤務態度に問題がある労働者に対しては、日頃から注意しておくべきでしょう。

労働者が契約期間中に退職を申し出た場合

「アルバイトが採用してからすぐに辞めて困っている」というような話をよく聞きます。実は、これも契約違反です。ただ、問題とならないのは労働者から「辞めたい」と言われて、会社側も「わかった」と認めているからです。本来会社側は「契約期間満了までは働いてもらわないと困る」と強くでることも可能なのですが、辞めたいと思っている人を雇用し続けるのも大変なので、認めざるを得ないのが現状でしょう。

契約を交わすときにはきちんと説明をする

面接で採用が決まり、労働者と「労働条件通知書兼雇用契約書」を交わすときは、労働条件の確認はお互いにするのですが、契約についての確認まではしていない会社が多いようです。会社は事業で様々な契約を結んでいるのでその重要性を熟知していますが、労働者自身は契約の重要性に自覚がないケースが多々あります。特に若いアルバイトの人は、他にいい仕事があればすぐに辞めようと思っているケースが少なくないようです。

そこで、契約書の最後に署名と印鑑をもらう前に「会社は期間中は雇用を保証すること、労働者は勝手に辞めることはできないこと」をきちんと説明しておきましょう。こうすることで、この会社で期間満了までは働かなければならないという覚悟がでてきます。

まとめ_トラブルを避けるためにも説明は丁寧に

人を採用する場合、「労働条件通知書兼雇用契約書」の労働条件については、後から「条件が違う」と言われないために、しっかり説明をしているかと思います。しかし、契約書の説明はどうなっていますか?2つの書類が1つになっているので、分かりにくいかもしれませんが、会社と労働者の契約書です。特に、契約期間中の解雇や退職については事情によってはトラブルになってしまう可能性があります。説明は丁寧にして、労働者を納得させてから署名や印鑑をもらうようにしましょう。

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