最近人手不足に悩んでいる企業が多いようです。「募集しても応募が全くない」とどうしたらよいのかわからない企業もいるでしょう。ポイントは「働きやすい職場環境」であるかどうかです。「自社は働きやすい職場環境です」と公表するために、「えるぼし」認定を受けることが一つの方法です。そこで、「えるぼし」認定についてご紹介します。
目次
女性活躍推進法とは
女性活躍推進法とは、女性が活躍できる社会にするために情報の見える化、活躍推進を目的とした法律です。常時雇用する労働者が101人以上の企業は、一般事業主行動計画の策定・届け出義務、そして女性活躍に関する情報を公表する義務が科されています。自社はパートが多いので常時雇用する労働者は101人もいないと勘違いしている企業も多々見られます。常時雇用する労働者には、1年以上雇用しているパート労働者も含まれるのです。時間の長短は関係ありません。パートが多い企業は、一度確認をするとよいでしょう。また労働者数が少ない企業でも自発的に一般事業主行動計画を策定することは可能です。
一般事業主行動計画とは
一般事業主行動計画とは、企業が自社の女性活躍に関する状況把握と課題分析を行い、それを踏まえた行動計画を策定するものです。行動計画には、計画期間・数値目標・取組内容・取組の実施時期を盛り込まなければなりません。そして行動計画を策定したら、社内に周知し、外部に公表します。外部への公表は、自社のHPでも厚生労働省の「女性の活躍推進企業データベース」での公表などでも構いません。その後労働局に届出をして、取組を実施します。一般事業主行動計画の策定の届出参考様式は、厚生労働省のHPからダウンロードできます。
出典:厚生労働省「令和4年4月1日から女性活躍推進法に基づく行動計画の策定・届出、情報公表が101人以上300人以下の中小企業にも義務化されます(周知リーフレット)」
「えるぼし」認定とは
女性活躍推進法に基づいた一般事業主行動計画の策定・届出等を行った企業のうち、女性活躍推進に関する取り組みの実施状況が優良であるなどの一定の要件を満たした企業は、労働局への申請により厚生労働大臣の認定(えるぼし認定)を受けることができます。認定を行けた企業は、「えるぼし」を商品や広告などに付して、女性活躍推進企業であることをPRすることができます。
出典:厚生労働省「えるぼし認定とは」
「えるぼし」には段階がある
「えるぼし」の認定には、3段階があります。「採用」「継続就業」「労働時間等の働き方」「管理職比率」「多様なキャリアコース」の5項目の認定基準のうち満たした数によって決まります。違いは「えるぼし」の星の数です。さらに、令和2年からはその上に「プラチナえるぼし」認定が創設されました。まずは、星1つを目指してみることをおすすめします。
「えるぼし」認定のメリット
「えるぼし」認定を受けると「えるぼし」認定のマークを商品や広告に付すことができ、女性活躍推進企業であることをPRすることで以下のメリットがあります。
- 企業イメージの向上
「えるぼし」認定を得た企業は、「働きやすい職場環境」というイメージを与えることになります。 - 優秀な人材の確保
「働きやすい職場環境」という安心感から求職者が増え、結果優秀な人材を採用しやすくなります。 - 公共調達では、加点評価される
入札案件を受託することができたりします。 - 日本政策金融公庫の融資では、低い金利が適用される
「えるぼし」と「くるみん」の違い
「えるぼし」と似ているものに「くるみん」があります。「くるみん」は、次世代育成支援対策の実施状況を公表している企業に付され、子育てサポート企業であると認定された企業です。「えるぼし」は、女性活躍推進法により女性が活躍している企業であると認定された企業です。「くるみん」は、平成27年4月から始まっていますので、花のつぼみのようなおくるみに包まれた赤ちゃんのマークを見た方も多いのではないでしょうか?つまり、それだけ広まっていると言えます。しかし、それに反して「えるぼし」のマークはあまり目にしたことがないと思います。だからこそ、他の企業に先駆けて認定されることが大きなメリットとなるのです。
それぞれの制度の概要は下記のとおりです。
えるぼし認定 | くるみん認定 | |
認定対象企業 | 女性が活躍している企業 | 子育てサポート企業 |
根拠法令 | 女性活躍推進法 | 次世代育成支援対策推進法 |
認定名称 | えるぼし認定 プラチナえるぼし認定 |
くるみん認定 トライくるみん認定 プラチナくるみん認定 プラス認定制度あり |
公表先 | 女性の活躍推進企業データベース | 両立支援のひろば |
出典:朝日新聞SDGs ACTION! 「えるぼし認定とは?認定基準やくるみん認定との違い、申請方法を紹介」
まとめ_「働きやすい職場環境」の形成を目指して、行動計画策定し取り組んでみてはいかがでしょうか
一般事業主行動計画は、労働者数に関係なくどの企業でも策定・届出・公表することができます。行動計画を策定し実施することで自社の課題が解決することになり、「働きやすい職場環境」を形成することができるのです。さらに要件を満たせば「えるぼし」認定が付されます。人が足りないと思っている企業にとっては、現社員を辞めさせないためにも、優秀な人材を採用するためにも「働きやすい職場環境」の形成を目指して、行動計画策定し取り組んでみてはいかがでしょうか