【その対応、間違っていませんか?】アルバイトの正しい雇用管理 3つのポイント

新年度を迎え、新たにアルバイトを迎えた会社も多いのではないでしょうか?この時期、厚生労働省では、「アルバイトの労働条件を確かめよう!」キャンペーンを全国で実施しており、今後、事業所における対応によっては指導対象とされる可能性があるかもしれません。アルバイトとの雇用契約の方法や日々の勤怠管理の仕方について、今一度確認しましょう。

学生アルバイトに対して、適切な対応を心がけましょう

「アルバイトの労働条件を確かめよう!」キャンペーンでは、学生アルバイトとして働く大学生を対象に、全国の労働局が主体となって下記の取組みが行われています。

○ 都道府県労働局による大学等への出張相談の実施

○ 学生用のクイズ形式のリーフレットを大学等で配付するなどによる周知・啓発

○ 都道府県労働局及び労働基準監督署に設置されている総合労働相談コーナーに「若者相談コーナー」を設置し、学生からの相談に重点的に対応

参考:厚生労働省『「アルバイトの労働条件を確かめよう!」キャンペーンを全国で実施

労働条件や雇用管理について学生アルバイトの意識が特に高まっているこの時期、使用者側も襟を正す必要があるのではないでしょうか。本号では、特に労使トラブルとなりがちな3つのポイントについてご紹介しましょう。

アルバイトにも「労働条件通知書」を交付していますか?

面接を経て晴れて採用が決定したアルバイトに対して、書面で労働条件を明示している会社はどのくらいあるでしょうか?個人的な話になりますが、私自身は学生時代からいくつものアルバイトを経験してきましたが、労働条件通知書の交付を受けたことは残念ながら一度もありません・・・。

現在では、ひと昔前と比べて企業における労務管理が厳格化されているため、きちんと交付している会社もあるかもしれません。しかしながら、必要記載事項含め、改めて確認しておきましょう

1.労働契約の期間

2.契約期間の定めがある場合、更新があるか、更新する場合の判断材料など

3.就業場所

4.仕事の内容

5.労働時間(始業・終業の時刻、休憩時間、残業の有無、休日・休暇、シフトなど)

6.賃金(具体的な額、賃金決定の方法、計算方法、支払方法、支払日)

7.退職・解雇に関すること

このように、アルバイトに対しても、正社員同様の内容を盛り込んだ労働条件通知書の交付が必要となります。労使が納得の上で雇用契約できるよう、後々の労使トラブル回避のためにも、使用者の責任として上記の事項を事前に書面で通知しましょう。

アルバイトの勤怠管理は、社員同様、適切に行いましょう

御社では、アルバイトの始業・終業、休憩の時刻を記録していますか?
業務に必要な研修、当初の始業・終業予定時刻の前後に生じる準備や後片付けに要する時間も労働時間に計上していますか?
日々の労働時間の端数は1分単位で管理し、適切な残業代を支払っていますか?

学生アルバイトに対して、シフト表にある勤務時間についてしか賃金を支払わないケースを散見しますが、こうした取扱いは違法です。正社員同様、適切な勤怠管理が必要となります。

事業所によっては、アルバイトと正社員とで勤怠管理の方法が異なる場合も少なくないでしょう。しかしながら、両者について同じレベルでの管理が必要となることを鑑みれば、雇用形態によって管理方法を区別することはお勧めできません。ちなみに、クラウド勤怠管理のIEYASUなら打刻してもらうだけで勤怠データの収集ができるので、学生アルバイトでも簡単に扱えるのが魅力です

遅刻や欠勤のペナルティとして「損害賠償額」を設定するのはNGです

少し前の報道で、大手コンビニエンスストアの加盟店で体調不良の学生アルバイトに対して罰金を支払わせたことが問題となりました。

参考:毎日新聞「バイト病欠で「罰金」 女子高生から9350円

「急に欠勤したアルバイトが悪いのだから、罰金をとっても良いのでは?」と考える方もいるかもしれませんが、こうした取扱いは原則NGです。遅刻や欠勤に関わる損害賠償額をあらかじめ就業規則等に規定していても、また、採用時にアルバイトに説明して合意を得ていたとしても、無効となります。労働基準法16条で、「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。」と定められているからです。

前述の大手コンビニエンスストアの加盟店の例では、「欠勤するためは自身で代わりを見つけること」をルールとしていたようですが、学生アルバイトがこれを実現できなかったために罰金を支払うはめにはったとのこと。この点、業務に支障がないよう雇用管理に努める(この場合は「急な欠勤に伴い代理を見つけること」)のは、そもそも会社側の責任といえます。よって、アルバイト自身が責任をとる必要はないのです。

ただし、労働者があまりにも遅刻や欠勤を繰り返す場合には、「懲戒処分」として減給をすることができます。この場合にも、悪質性を慎重に判断した上で、労働基準法の定める範囲での処分とする必要があります。

【労働基準法91条】
就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。

御社では、アルバイトの雇用ルールや勤怠管理について、適切な対応ができているでしょうか?
働き手不足が今後ますます進んでいくことを鑑みれば、アルバイトであっても貴重な労働力となることは言うまでもありません。まずは会社としてアルバイトの受け入れ体制をしっかり整えることが、定着率を高めるポイントととなるのです

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