2016年4月1日に施行された女性活躍推進法は、働く場所で活躍したいと考えるすべての女性が能力を発揮できる社会を目指そうと制定されました。この法律の特徴となるのが「えるぼし」ですが、一体どのような意味もつのでしょうか?
えるぼし-女性活躍推進法の目的
女性活躍推進法は、少子高齢化により労働人口が減少し続ける日本において女性労働力に着目した法律です。将来的には企業の管理職や議員などの30%を女性が占めることを目標に、女性が働く上で仕事だけでなく暮らしにも目を向けた計画策定であり、同時に数値目標も定めています。従業員数301人以上の一般事業体には届け出が義務化されており、それ以下の一般事業体は任意になります。
女性が働くというと「キャリアウーマン」を思い浮かべがちですが、この法律では本人の意志に基づくものです。それゆえ仕事と家庭の両立といったワークライフバランスを重視しているのが特徴です。
女性活躍推進法で定められた国と自治体の役割
女性活躍推進法において、国の役割は「行動計画」の指針づくりです。優れた行動計画を作成した企業を認定し、国が発注する事業において優遇をします。これに加え、職業選択情報の提供と公開、法律や行動計画の推進・啓発活動、職業紹介、職業訓練・起業支援等を行います。女性活躍推進法では霞が関に建ち並ぶ官庁や国の機関も対象となっているため、国自体にも行動計画を策定し実施状況の公表が求められることとなります。
地方自治体の役割は、働こうとする女性とその家族・関係者らの相談に対応することと、それに合わせた情報提供や助言をすること。そして認定された対象に対して自治体が発注する事業を優遇したり、自治体の機関で行動計画策定を定めその実施状況を公表することとなります。
女性の活躍に向け、一般企業に求められることとは
企業では採用や勤続年数、管理職にまつわる状況を分析し、女性が活躍できるよう行動計画を策定することが求められます。分析対象となるのは男女採用比率、勤続年数の男女差、女性管理職、労働時間などです。これら分析から確認される課題を把握し
、改善する計画を定めて届け出をし、組織内での周知徹底と実施状況を随時公表しなければなりません。2017年12月31日時点での一般事業体の行動計画の策定は、301人以上の条件を満たす全1万6124社の内、1万6071社が届け出しており、実に99.7%に達しています。また301人未満の一般事業体の中でも3866社が行動計画を策定しており、その注目度の高さがうかがえます。
えるぼし認定企業には様々な優遇が
女性活躍推進法で定められた行動策定と実施状況を国や自治体に届け、優れていると認定されると「えるぼし」がもらえます。これは女性の英語表記であるLadyの「L」と三ツ星ホテルなどの「星」を合わせた認定マークのことで、この証があることで国や自治体は発注業務を受注しやすくなります。また会社のホームページや自社商品や広告、求職情報にえるぼしマークを掲載することができるようになります。企業情報を調べている人や商品を探している人、仕事を探している人がえるぼしマークを見ることで、「ここは女性が働きやすい会社である」とアピールできるものとなるのです。
女性活躍推進法は、国や自治体や企業だけでなく、消費者も含めて女性が働きやすい環境を作るための法律です。多くの企業が女性の活躍を応援できるようになることが望まれています。