「試用期間」の取扱いを総まとめ!社会保険加入や有給休暇、解雇、延長のルールを解説

現状、新規雇入れの労働者に対し「試用期間」を設定する会社が大半かと思いますが、試用期間中の労働者の取扱いについて、判断に迷うことはないでしょうか?今号では、「試用期間」をテーマに、社会保険加入や有給休暇、解雇、延長にまつわるルールをまとめて解説します。

試用期間中にも、れっきとした雇用契約が締結されています

会社によっては、「試用期間=気軽なお試し期間」と捉えるケースも少なくないようです。しかしながら、このような認識では、試用期間中の労働者に対する不適切な取り扱いを招きかねません。

第一に、「試用期間」といっても、労使間では長期雇用を前提とした雇用契約が締結された状態であることを意識しましょう。法的には「解約権留保付労働契約」といい、通常よりも幅広い事由での解雇が可能となりますが、社会通念上相当とされる、客観的に合理的な理由がなければ解雇は不当とされます。

よって、試用期間中とはいえ、いつでも解雇できるわけではありませんし、労働者として様々な権利を有していることに変わりありません。

試用期間中の労働者も、社会保険に加入させる必要があります

初めて試用期間中の労働者を迎え入れる会社においては、「社会保険の資格取得をさせるか否か」で判断に迷うことがあるようです。結論としては、前述の通り、試用期間中であっても長期雇用を前提としている以上、会社は雇用保険や健康・厚生年金保険の資格取得手続きを行わなければなりません。雇用保険や健康・厚生年金保険ではいずれも短期間雇用者を適用除外としていますが、試用期間中の労働者は短期の有期契約労働者には該当しません。

試用期間中の有休取得が認められるケースもあります

年次有給休暇は、法律上、「雇入日から起算して6ヵ月継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者」に対して付与されるものとされています。この「雇入日」は本採用日を意味するのではなく、試用期間開始日を指しますから、試用期間中も含めて6ヵ月間継続して勤務した場合には、有休を付与する必要があります。よって、試用期間が6ヵ月以上となる場合には、試用期間中であっても労働者に有給休暇の取得が認められます。

また、会社によっては雇入日から6ヵ月を待たずに、前倒しで有休を付与するケースも少なくありませんが、その場合は原則として試用期間中の労働者にも同様に付与することになります。前倒し付与の会社であっても、稀に就業規則等で試用期間中の有休取得を禁止する例が見受けられますが、取扱いに差異を設けることについて合理的な理由がない場合には見直しを行うのが妥当です。

試用期間中の解雇にも、解雇予告が必要な場合があります

試用期間中であっても、会社が自由に解雇を行えるわけではありません。労働者の能力不足や勤務態度の不良、経歴詐称が発覚した等、客観的に合理的な理由があることを前提に、下記の取り扱いが可能です。

✔入社日から14日以内であれば解雇予告無しに即時解雇が可能
✔14日を超える場合でも「労働者の責めに帰すべき事由がある場合」には、所轄の労働基準監督署へ申請し「解雇予告除外認定」を受ければ即時解雇が可能
✔14日を超える場合で「解雇予告除外認定」に該当しない場合には30日前の解雇予告、もしくは解雇予告手当の支払いが必要

よって、解雇事由によっては試用期間中でも解雇予告が必要な場合がありますので、慎重な取り扱いが求められます。

試用期間を延長する場合、「通算1年を超えない範囲」で

試用期間を経てもなお、本採用の有無の判断に迷う場合、試用期間の延長をすることができます。ただし、試用期間の延長にあたっては、以下の2要件を満たす必要があります。

  • 就業規則に試用期間延長に関する根拠条文が設けられていること
  • 試用期間を延長するための合理的な理由があること

ただし、試用期間が解約権留保付労働契約であることに鑑みれば、試用期間の延長は引き続き労働者を不安定な地位に置くことになりますから、あまりに長期に設定することは公序良俗違反とされます。試用期間は、通算1年を超えない範囲にとどめるようにしましょう。

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ABOUTこの記事をかいた人

HM人事労務コンサルティング 丸山博美

起業したての小さな会社支援を得意とする社労士事務所、HM人事労務コンサルティング代表・丸山と申します。 創業当初の事業主様に不足しがちな「経験」「人脈」「知識」を、 社会保険労務士という立場からサポートいたします。 労務関連の手続きやご相談、就業規則作成、助成金申請・・・等々、どんなことでもお気軽にご相談ください!東京はもちろん、日本全国からのご依頼に対応させていただきます。